【対談】人間椅子 鈴木研一×BARKS編集長、ライブ盤を語る
烏丸:では、次のカードを出します。クイーン『ライヴ・キラーズ』です。
鈴木:これ来ましたか…クイーン好きですか?んじゃ、悪く言わない(笑)。
烏丸:言っていいですよ。全否定しますから(笑)。
鈴木:いやだってこれ、もうちょっといい選曲あったんじゃないの?って思うんですよ。そう思いません?「ゲット・ダウン・メイク・ラヴ」って入れる必要ないっしょ。もっといい曲いっぱいあるでしょ。
烏丸:んー、ま、まあね。
鈴木:この曲を初めて聴いた時は凄く暗い気持ちになってね、「クイーンにもハズレの捨て曲ってあるんだなぁ」と思ったんだけど、この曲をライブ盤に入れてきたんすよねー。これ入れるんだったら「オウガ・バトル」とか入れて欲しかった。
烏丸:そういう意味で言うと、常に進歩/進化を遂げていったバンドだから、あの頃のクイーンにとって1st〜3rdアルバムあたりの初期作品は、既に過去のものだったんじゃないのかな。最終的にはフレディは風貌も大きく変化していくくらいだから、当然最も尖った最新のクイーンを選ぶわけで。
鈴木:そうかそうか。「オウガ・バトル」は髪の長い頃にやるからこその曲だったんすね。なるほど。でも「39」を入れてくれたのは嬉しかった。この曲はすごい好きで。懐かしい気持ちにさせてくれる曲なんですよね…なんかキュンとしちゃう。
烏丸:ブライアン・メイの歌が朴訥としていますよね。『ライヴ・キラーズ』は、たった4人でクイーンの世界をライブでどう再現するのかが楽しみで、発売日に買ったんです。なのでこれ、初回限定の赤/緑のカラーレコードなんですけど、これが普通の黒いレコードより音が悪いという(笑)。
鈴木:見てもいいですか? おーカッコいい。衝撃すね、この緑のレコード。パッと見はソノシートみたいで安っぽいんだけど、でもカッコいいわ。いい色。この『ライヴ・キラーズ』の印象は赤と緑でしたよね。
烏丸:当時のクイーンのステージ・ライティングが、この色でしたね。で針を下ろして、いきなり「ウィ・ウィル・ロック・ユー」のファスト・バージョンにびっくり。
鈴木:どうすか、あれ。ファンとしては。
烏丸:とにかく最初は驚きと戸惑い。「僕はこんなのは求めてない」と(笑)。
鈴木:求めていないですよね。「なんでこんなふうにするんだ。こんな軽快な「ロック・ユー」はいらない」と思っていました。むしろもっともっと遅くなって場内大合唱にしてほしかった。あと「ボヘミアン・ラプソディ」の途中がテープになるのって、どう思いました?
烏丸:「あの壮大なコーラスを4人でどう表現するのか?」が最大の謎だったから、まさかのテープでずっこけた。
鈴木:「演奏を途中でやめるってこと、あるんだ…」って衝撃だった。たとえしょぼいアレンジでも生演奏でやって欲しいと思ったなぁ。
烏丸:全く同感ですね。そんな反則あるんか?って(笑)。
鈴木:びっくりしましたよね。それで『ライヴ・キラーズ』の印象が悪いんです(笑)。
烏丸:なるほどね。僕はむしろ「クイーンはスタジオ・アーティストなんだから、ライブで再現なんかできっこない」と勝手に思い込んでいたので、ライブ盤が発売されるということ自体がサプライズだったの。だから、そういう意味では何も期待していなかった分、裏切られた感は小さかったのかも。
鈴木:次のカードいいですか?これ、いろいろ問題ありますけど…ジューダス・プリースト。
烏丸:『イン・ジ・イースト』ですね。ロブ・ハルフォードのボーカル差し替えまくりの(笑)。
鈴木:それでもいいですよね、このアルバム。今だから分かるんだけど、そういう差し替えってみんなやっていたんですね(笑)。
烏丸:ライブ・イン・ジャパンと言わず『イン・ジ・イースト』と付けたネーミングもカッコいいと思ったな。
鈴木:確かに。日本のライブがアルバムになったのって、ディープ・パープルとこれと、あとチープ・トリックくらいしかなかったですよね。このアルバムから学祭でコピーしたから、さんざん聴き込みましたよ。
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