【インタビュー】RYUICHI [LUNA SEA]、「HOLY KNIGHT」を語る「神聖なフィールドを5人が守る」

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■LUNA SEAにしかできない楽曲だった
■ということじゃないですか?

──そんなSLAVEも2017年で設立25周年。「HOLY KNIGHT」は、LUNA SEA側からSLAVEへの感謝を込めたプレゼント、という意味合いも強いんですよね?

RYUICHI:そうですね。「HOLY NIGHT (聖なる夜)」というタイトルはどうかな?と、メンバーで話している中で、「だったら、Kを付けてナイト、“聖なる騎士”にしない?」と僕が言ったら、「あ、それいいね!」となって。騎士というと王様を守る衛兵隊とかを思い浮かべるかもしれないけど、僕のイメージはちょっと違っていて。ファンの皆の一人一人の夢というのがライヴにあるとしたら、ファンの子たちにとってライヴは現実を忘れる場所でもあり、また、本当の自分に還る場所なのかもしれない。僕らはその空間にもちろん全精力を傾けてライヴをやっているんだけども、その夢の続きを守っていく5人のナイト、という印象が最初にパッと浮かんできたんです。悪者がいてソイツから守ってやるとか、そういう物理的なことじゃなくてね。ライヴ会場はその都度変わりますけど、LUNA SEAの“音の聖地”を守り続けていく5人のスピリチュアルなものが曲に反映されたらいいな、と思って。そんなイメージで歌詞は書いていきました。

──原曲はSUGIZOさんがお持ちになったとのことですが、最初に聴いた時の第一印象は覚えていらっしゃいますか?

RYUICHI:たしか、SUGIZOのデモではメロディーもギターソロのように既に弾いてあったんですよ。いつものSUGIちゃんのギターソロのような感じのエフェクティヴな音色で。それを元に、「じゃあこここうしようか、ああしようか」と皆でキャッチボールしながら曲をつくっていって。この曲に関しては、はっきりとSUGIZO色というのが出てることがすごくいいな、と僕は思ったんですよね。メンバーが5人いるので、JにはJの色、SUGIZOにはSUGIZOの、INORANにはINORANの色があって、特にこの3人はコンポーザーとして書く曲数も多いから、バラければバラけるほど複雑に配色されていくことになる。この曲は「思いっきりSUGIZO色じゃん!」って。SUGIZOにしか書けないし、金太郎飴のようにどこを切ってもSUGIZO。「SUGIZO飴だよね」って(笑)。

──(笑)。

RYUICHI:でもそこに、真(矢)ちゃんがドラムを叩いて、Jがベースを弾いて、INORANがギターを、そして僕も歌って……と色を加えていくことで、また捻じ曲がっていくんですよね。それがすごくいいなあ、と思って。やっぱりアーティストを長くやっていると、鮮度とか、ドキドキすること、感動すること、驚くことが減っていくと思うんですよ。その中で、“ああ、このバンドはやっぱり強いな”って。それぞれにカラーがあるから、しっかりコントラストがあるから飽きない。それがいいな、と今回改めて思いましたね。


──RYUICHIさんの前にSUGIZOさんにインタヴューさせていただいたのですが、実はこの曲は15年前ぐらいからデモの原型があった、と。他アーティストへの提供曲候補に何度も挙がりながら、「RYUICHIにしか歌えない」と、今まで温存していた特別な曲だったようですね。

RYUICHI:ありがたいですよね、そんなふうに言ってもらって。責任重大ですね。ライヴ本番で歌詞を間違えないようにしないと(笑)。でも、LUNA SEAにしかできない楽曲だった、ということじゃないですか?

──メンバーの皆さんの演奏に関しては、どんな印象を持たれていますか?

RYUICHI:この曲の肝はやっぱり、“間(ま)”ですかね。これはよく言うことなんですけど、真矢くんのドラムで僕ら4人は育っていると思うんですよ。逆に、僕の歌で皆が育ってくれている部分も、Jのベースが皆を育てている部分もあって。例えば、日本を代表するスーパーセッションズ・ミュージシャンの人たちが集まったとしますよね? 全員が譜面を見れば何でも器用にできて、とても正確に弾ける人たちが集まれば、クリックに合わせた“うまい”演奏はできると思うんです。でも、いくらすごいミュージシャンの人たちが急に集まっても、たぶんLUNA SEAみたいな音は出ないんですよ。野球でいえば、人気投票で集められたオールスターチームが優勝チームと戦ったら、優勝したチームのほうが強いことってあると思うし。それは要するに、グルーヴするかしないかなんですよね。例えば僕の歌がモタッとした時に真ちゃんがスネアをタメてくれていたりとか、いろんな場面場面でのお互いのキャッチボールが見えるから面白いし、それが多角的な形になってLUNA SEAが存在していると思うので。一人一人の癖をお互いに共有し合っているというか、誰かがハネたら一緒にハネて、といった阿吽の呼吸がグルーヴになるし、そうやってお互いが引き合って生まれるものにこそ魅力を感じるんじゃないかな。もちろん、正解を目指して皆リハーサルするんですけど、やっぱりそれだけじゃないんですよね。やっぱり僕らはまだ何も分からないような時から集まって、SUGIZOのギターを聴きながら、INORANのギターを聴きながら、真ちゃんのドラム、Jのベースを聴きながら僕は歌っていたわけだし、皆もそうやってお互いの音を聴き合いながらやってきているから。癖を共有しあって生まれるグルーヴ、それがやっぱりLUNA SEAのすごさだし。「HOLY KNIGHT」の場合は“間(ま)”がすごく大事で、LUNA SEAにしか出せない、特にキックの“ドン!”とスネアの“タン!”間にある“間(ま)”を誰かが埋めているわけですよ。LUNA SEAにしか出せないグルーヴがそこにあるな、と僕は思いますね。

──この曲はストリングスアレンジも存在感がありますが、RYUICHIさんの歌にどんな影響を与えていますか?

RYUICHI:最初の、ストリングスが入っていない状態よりも、よりコード感が鮮やかに、明るくなった感じがしましたね。比較的オーソドックスというか、コード的に“(歌うには)キツいな”と感じるストリングスではなかったですね。あと、SUGIちゃんがオブリ(ガード)を弾いてるんですよ。あのピロピロピロピロッていうフレーズを最初聴いた時に、“これ、デカい音量で弾かれたら、歌えるのかな?”と一瞬不安に思ったんですけど(笑)、不思議とそれをカットするとLUNA SEAにならないんですよね。これが面白いところで。それがあることによって、LUNA SEAの世界になっている。“正解”を追い求めるというよりも、メンバー同士、「もうちょっとこれ、こうなったほうがよくない?」とか、「でも、いいか。これ取ったら変だもんね」みたいなことをああでもない、こうでもない、と言い合ってやっているのがいいんじゃないですかね。

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