【インタビュー】ポップのDNAを受け継ぐコレサワ「そばに行きたいけど、行くことはできないから──」

■そばに行くことはできないから、
■近くに感じられる歌を

── 「トーキョー」という曲も、すでに東京ソングっていっぱいあるけど、私が上京してきた女子だったらこの東京ソングを聴きたいなって思いました。東京ソングってかなりセンチメンタルなものが多いけど、「トーキョー」はコレサワさんっぽく凄く前向き。曲調もアップテンポのバンドサウンドで、せっかく東京に来たんだから、これくらいイケイケなほうがきっと夢を掴めるよっていうメッセージもあるんじゃないかなと。

コレサワ：そうですね。私は18歳で上京してきたんですけど、23歳にもなると、音楽をやるためにせっかく出てきたのに地元に帰っちゃった子も周りにいるんですよね。でも当時は「がんばって」とか何も言えなかったから、今そういう状況にいる子達に向けて歌いたくって。私自身、「やるぞ！」って決意して喝を入れる意味も込められてますしね。東京ってやっぱりライバルが多いので、負けたくないって常に思えるいい環境だと思ってるんです。同世代でメジャーデビューしてる子もいっぱいいるし、少なからずエネルギーのもとになってる。

── 今回のEPは、5曲中2曲に地上波のテレビ番組のタイアップがついています（「あたしを彼女にしたいなら」／日本テレビ系『バズリズム』＆「シュシュ」​／​テレビ東京『廃墟の休日』​））。この状況を客観的にどう感じてますか？

コレサワ：親は大喜びなんですけど（笑）、まだ売れてない私なんかでいいのかなって思っちゃいますね。でも、ライブハウスやCDショップを利用できない若い子や地方の子に聴いてもらえることは凄く嬉しいです。『廃墟の休日』のエンディングテーマにしていただいた「シュシュ」は、初めて書き下ろしという経験もしました。


── 「シュシュ」は、抽象的な歌詞なのでいろんな意味に受け取られると思うんですけど、このEPの最後に入ってくると、＜何かが起きるのを待っている＞っていうラストセンテンスに今のコレサワさんのミュージシャンとしてのタイミングをイメージしました。

コレサワ：この番組はカメラだけ持って旅をするという内容だったんですけど、私も音楽を持って人生を旅してるじゃないですか。でもその旅の中で、曲ができなくて病んじゃったりとか、音楽のせいで不幸になるような距離感ではいたくないと思っていて。「シュシュ」っていうのはフランス語で「お気に入り」っていう意味なんですけど、「音楽がないと生きていけない！」ってしがみつくよりは、音楽のことは「お気に入りです」っていうくらいでいたいっていう気持ちを込めてます。

── 音楽と長く付き合っていきたいっていうことですよね。

コレサワ：今も頭のどこかにはプレッシャーに押しつぶされちゃうんじゃないかっていうネガティブな気持ちもあるけど、音楽とは自然な関係でずっと仲良くいたいんです。普通の女の子として、いつか主婦になって子ども欲しいっていう気持ちもあるし（笑）。という音楽に対する私の気持ちを歌った曲なので、EPの最後に持ってきました。あと、いつもは歌詞をわかりやすく書いちゃうんで、この曲では気持ちをふわっと表現してみました。

── この曲、曲調もふわふわとしたベッドルームミュージックで、とても気持ちよく眠れるんですよね（笑）。コレサワさんのバラードは、歌声も本当に耳の近くで聴こえる感じがするし。

コレサワ：ありがとうございます。私は、ビブラートを綺麗にかけられるわけでもピッチが全部合うわけでもないし、歌の上手さでは勝負できないから、聴いてくれる人との距離を詰めていけるかどうかなんです。そばに行ってあげたいけど行くことはできないから、いかに近くに感じられる歌を歌ってあげられるかだと思っていて。コンプレックスをどうにかいい方向に持っていきたかったんですよね。

── なるほど。謎めいたイメージだったので、今日コレサワさんとお話ができてよかったです。次はアルバムかな？　早くも新しい曲が聴きたい。

コレサワ：ぅう、どうなんでしょう～（苦笑）。曲、作らなきゃぁ…………。（と、机につっぷす）

── ……なかなか顔を上げてくれない（笑）。とっても楽しみにしてますよ。

コレサワ：プレッシャーありがとうございます（笑）。『君のバンド』っていうEPは、「君のバンド」を聴いてもらうための1枚だったんですけど、今回は5曲全部を同じように聴いてもらいたいと思ってるので、EPってこういうものなのかとわかったので、次もがんばります。

── 11月には、女子と男子、それぞれ限定のフリーライブがありますね。これは、一度コレサワを観てくれれば好きになってくれるという気持ちの表れですね？

コレサワ：そういう願望は凄くありますし、女の子にももっと聴いてほしいので、女の子が来やすいライブをやりたいというのがきっかけだったんです。けど、それじゃあ男子がヤキモチを焼くかなと思って。ライブハウスに初めて来てくれたり、大事な人を連れてまたライブに来てくれるようになったり、何かいいきっかけになって欲しいですね。

── そして年明けの2月には、渋谷のWWWでワンマンライブがあります。

コレサワ：埋まるか心配なんですよ……。でも、自分にプレッシャーかけないとダメな人なんで、やったことないキャパだけど挑戦します。昔からファンでいてくれる人にも、ちゃんとコレサワが前に進んでるところを観てもらいたいんです。

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