【ライブレポート】the GazettE、アクシデントもファンとの強い信頼関係で乗り切ったライブ@越谷

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“再定義”と銘打ち、2014年を過去にリリースしたフルアルバム6作を再現するツアーの開催にあてたthe GazettE。これまでの歩みを振り返る中で、自分達が生み出して来たすべての楽曲がthe GazettEであると感じると同時に、“では、バンドの本質は何なのか?”ということを全員が考えたことは想像に難くない。

◆the GazettE~画像~

そんな2014年を経て、2015年8月にリリースされた最新アルバム『DOGMA』は、the GazettEのアグレッシブ側面を押し出した一作だった。彼らは、激しさこそがthe GazettEの根幹をなす要素だという答えを出したのである。とはいえ、ただ単に激しいだけではなく、翳りや抒情性などを散りばめている辺りは実に見事で、『DOGMA』は発売と同時に高い評価を勝ち取った。

もう一つ、the GazettEは生粋のライブバンドなだけに、『DOGMA』という作品からは、今の彼らがアグレッシブなライブをしたいと思っていることも伝わってきた。9月5日から始まった全42本に及ぶ<the GazettE LIVE TOUR 15 DOGMATIC -UN->で、彼らはどんなステージを披露しているのか? ツアー開始から10本程のライブを終えた現在のthe GazettEを体感するために、サンシティ越谷市民ホールへと足を運んだ。


不意を打つように暗転した場内にオープニングSEの「NIHIL」が流れ、ステージ前に降ろされたスクリーンに描かれたDOGMAを表すマークがフラッシュ・ライトに浮かび上がる。重々しい雰囲気に場内は“シン”とした空気になったが、スクリーンが開くとステージにthe GazettEのメンバー5人が立っていて、客席から炸裂するように大歓声が湧きあがった。続いて轟音が鳴り渡り、ライブはヘヴィな「DOGMA」から始まった。




ステージ中央に立って、“尖り”と妖艶さを併せ持った歌声を聴かせるRUKI。華麗な雰囲気を漂わせつつ、ハードなギター・サウンドを響かせるURUHA。内面の感情が伝わってくる荒々しいステージングとソリッドなギター・プレイの取り合わせが光るAOI。激しくヘッドバングしながら、うねりに満ちた重低音を紡いでいくREITA。ドラムライザーの上から強力な存在感を発して、躍動感に溢れたリズムを生み出すKAI。5つの強い個性が重なり合って生まれるケミストリーとタイトなサウンドが相まって、ライブが始まると同時に場内はthe GazettEの世界へと染まった。

その後も超高速で疾走するビートをフィーチュアした「RAGE」やハイエナジーな「DAWN」、エレクトロ・テイストとヘヴィネスを融合させた「BIZARRE」などを相次いでプレイ。ステージに漂う緊迫感は圧倒的で、引き締まった表情でハードなサウンドを叩きつけてくるメンバー達の気合の入った姿に目を奪われずにいられない。ハイボルテージなステージにオーディエンスのテンションも高まり、場内はライブ前半から熱狂的な盛り上がりを見せている。『DOGMA』に収録されたナンバーは1曲1曲の世界観が深いため、大掛かりなギミックなどが無いにも拘らず、場内が完全に非日常の空間と化していることも印象的だった。

どこか呪術的な味わいを放つ「WASTELAND」を聴かせた後、ライブ中盤では力強さと翳りを兼ね備えたスロー・チューンの「DERACINE」と、新境地の抒情性を湛えた「GRUDGE」を披露。攻撃性と並んで彼らの魅力になっている“エモーショナルなthe GazettE”を、じっくりと味わせてくれた。激しいライブの中で、こういった楽曲もしっかり聴かせる辺りはさすがの一言で、ハード・チューンで盛大に暴れていたオーディエンスも静まり返って、抒情的な世界に浸る心地好さに身を委ねていた。


続く「DEUX」でさらに深度を深めていく中、突然アクシデントが発生。URUHAのギターの音が出なくなってしまったらしく、彼はプレイするのを諦めて、ステージ袖でローディーとやり取りを始めた。残りの4人は全く動じることなく、何事もなかったかのように「DEUX」を演奏し終えたが、その後ステージ・スタッフによる「機材トラブルが発生したため、申し訳ありませんがライブを一時中断させていただきます」というコメントが入った。

不満の声が上がるかと思いきや、客席から“ワァーッ!”という歓声と拍手が起こったことには、やや驚かされた。事態はかなり深刻らしく、予想以上に中断が長びいたが、その間もオーディエンスのテンションは下がることもなく、ワイワイガヤガヤした雰囲気で場内は賑わっている。笑顔に溢れた客席を見渡して、みんな本当にthe GazettEが好きで、彼らのライブ会場に少しでも長くいられることが嬉しいんだな…と思わずにいられなかった。

インターバルを経てメンバーが再びステージに姿を表し、客席から大歓声が湧きあがった。「俺の機材のせいで、みんなに迷惑をかけて本当にスミマセン」と謝罪するURUHA。機材トラブルは彼の責任ではないのに丁寧に謝ったことからは彼の人柄の良さを改めて感じたし、彼の言葉に向けて起こった歓声と拍手が温かさに溢れていることも強く心に残った。


その後は、RUKIの「いけるかい? いけるかい!? かかって来い!!」というアジテーションを皮切りに、後半戦へ。「PARALYSIS」や「INCUBUS」「DISCHARGE」といったハード・チューンが畳みかけるように演奏された。フィジカルなパフォーマンスを展開しながら勢いと安定感を備えたハイ・クオリティーなサウンドを聴かせるメンバーの姿からは、彼らが長い中断の間も緊張の糸を切らすことなく、ライブの再開に身構えていたことがうかがえる。本編のラストを飾った「OMINOUS」までの6曲を休むことなく全力疾走する流れは本当に観応えがあったし、激しくヘッドバンギングして、拳を振り上げ、何度となく大合唱を湧き起こすオーディエンスの熱狂的な盛り上がりも圧巻の一言だった。

ハードネスを打ち出した『DOGMA』を引っ提げたthe GazettEのライブは決してマニアックなものではなく、“カッコ良い!”と感じる瞬間の連続で大いに楽しめた。ハイボルテージに突き進むアプローチを基盤としながら喜怒哀楽を絶妙に織り交ぜてオーディエンスの感情を揺らし、結果的に気持ちを引き上げるライブに仕上げているのはさすがといえる。『DOGMA』は、一見間口を狭めたように感じさせるアルバムながら、実はより多くのリスナーを惹き込む力を持った作品であることをライブを観て実感できた。

充実したライブの内容に加えて、アクシデントに見舞われながらも見事に乗り切ったthe GazettEを見れたのも良かった。アンコールのMCでRUKIが「こんなに長い中断は、13年やって来て初めてです。ちょっと心拍数が上がりました(笑)。帰ってしまう人もいるんじゃないかと思ったけど、さすがはthe GazettEのファンですね」と語ったが、それは全く同感だった。もしもファンとの強い信頼関係が築けていないバンドなら悲惨なライブになってしまったことも考えられるが、そんな気配は微塵もなかった。今回のthe GazettEのライブを観て、目指す音楽性にせよ、ライブのあり方にせよ、ファンとの関わり合い方にせよ、すべてを真摯に突き詰めることの大切さを改めて感じさせられた。

長いツアーの序盤戦で、非常に良いライブを披露してみせたthe GazettE。今回のツアーを通してさらなる進化を遂げることは間違いないだけに、今後のthe GazettEにも大いに期待したい。

取材・文●村上孝之

ライブ・イベント情報

<LIVE TOUR 15「DOGMATIC -UN-」>
09.05(sat) 羽生市産業文化ホール HERESY ONLY
09.06(sun) 羽生市産業文化ホール
09.08(tue) 金沢市文化ホール
09.10(thu) 新潟テルサ
09.14(mon) 神奈川県民ホール
09.17(thu) 市川市文化会館 大ホール
09.19(sat) 千葉県文化会館
09.22(tue) 相模女子大学グリーンホール
09.24(thu) 茨城県立県民文化センター
09.26(sat) コラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
09.29(tue) 三重県文化会館 大ホール
10.03(sat) サンシティ越谷市民ホール
10.04(sun) サンシティ越谷市民ホール
10.06(tue) 長野県・ホクト文化ホール 中ホール
10.07(wed) 富山県民会館
10.09(fri) 前橋市民文化会館
10.11(sun) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
10.14(wed) 栃木県総合文化センター
10.15(thu) 大宮ソニックシティ
10.27(tue) 弘前市民会館
10.28(wed) 秋田市文化会館 大ホール
10.30(fri) 郡山市民文化センター 中ホール
総合問い合わせ
Zeppライブ 03-5575-5170(平日13:00~17:00)

<LIVE TOUR 15-16「DOGMATIC -DUE-」>
12.01(tue) よこすか芸術劇場
12.03(thu) オリンパスホール八王子
12.09(wed) 松戸・森のホール21
12.11(fri) 高知市文化プラザ・かるぽーと
12.13(sun) サンポートホール高松
12.15(tue) 広島アステールプラザ 大ホール
12.17(thu) 倉敷市芸文館
12.19(sat) オリックス劇場
12.20(sun) オリックス劇場
12.23(wed) 和歌山市民会館
12.24(thu) 神戸国際会館 こくさいホール
12.27(sun) 仙台サンプラザホール
01.07(thu) 旭川市民文化会館大ホール
01.09(sat) 札幌市教育文化会館
01.11(mon) 山形市民会館 大ホール
01.13(wed) 盛岡市民文化ホール
01.16(sat) 福岡市民会館 大ホール
01.18(mon) 鹿児島市民文化ホール 第2ホール
01.23(sat) 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール(名古屋市民会館)
01.24(sun) なら100年会館 大ホール
総合問い合わせ
Zeppライブ 03-5575-5170(平日13:00~17:00)

『DOGMA』

2015年8月26日(水)発売
■完全生産限定盤
(CD+2DVD+写真集+BOOK)
SRCL-8887-8890
\10,800 (tax-in)
■初回限定盤
(CD+DVD)
SRCL-8891-8892
\4,320 (tax-in)
■通常盤
(CD ONLY)
SRCL-8893
\3,300 (tax-in)

DISC 01:CD
01.NIHIL
02.DOGMA
03.RAGE
04.DAWN
05.DERACINE
06.BIZARRE
07.WASTELAND
08.INCUBUS
09.LUCY
10.GRUDGE
11.PARALYSIS
12.DEUX
13.BLEMISH
14.OMINOUS
DISC 02:DVD
01.[DOGMA] MUSIC VIDEO
DISC 03:DVD
01.DOCUMENTARY OF [-13-] AT 日本武道館
02.[DEUX] MUSIC VIDEO
03.[OMINOUS] LYRIC VIDEO
04.MAKING OF [DOGMA] MV
05.TRAILER COLLECTION

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