【インタビュー】VALSHE、5周年の集大成盤に「ひとことで言うならば戦いの日々」

■デビュー前との親和性も感じていただけたら
■「本当は繋がってたんだよ」っていう

▲『DISPLAY-Now&Best-』通常盤

──1曲目に収録されている新曲「DISPLAY」のミュージックビデオのコンセプトは最初からあったんですね。

VALSHE：はい。コンセプトと同時進行で生まれてきたのが「DISPLAY」という曲です。

──ロック色の強いアグレッシヴなナンバーに仕上がっていますが、トラック的な部分でminatoさんにリクエストしたことは？

VALSHE：いつもは「こういう曲を歌ってみたいな」とか「こんな感じの曲をやろうよ」って話をするんですが、「DISPLAY」に関しては、彼には彼が感じる5年間があると思ったので、何も言わずに委ねました。出来上がってきた彼の曲を初めて聴いたときに思ったことは、自分がベスト盤に入れる新曲に思い描いていたものと相違がないなって。ベストだからといって過去のVALSHEの曲を並べたときに馴染みのいい曲を書こうとしていない。そこが自分がやりたいことと一致していたんですね。前作『ジツロク・クモノイト』からよりロックな方向にシフトしたサウンドを打ち出していたので、その流れを断つことなく、ベスト盤の表題曲なのにゴリゴリの攻めた楽曲で行くっていう姿勢がいいなって。

──なるほど。

VALSHE：彼は彼で歌詞をすべてこちらに任せてくれたので、ベストに入れる新曲として、自分の新たな気づきや決意、意思表示を書きました。デビュー当時は、多くの人たちにとって当たり障りのない言葉選びをしようという意識がどこかにあったのかもしれません。だから言葉を抽象的にしたり、比喩を使うにしてもできるだけキレイに例えていたんですが、今回はいい意味で言葉を選ばずに行こうって。自分らしく素直に書いたので、歌詞も曲も立ち戻ることなく、最新のVALSHEになっていると思います。そういう楽曲からベストの1曲目が始まるのがウチらしいなって。

──5年という節目に立ったVALSHEさんの決意、今の心境を歌ったのが「DISPLAY」ですか？

VALSHE：5年間のいろいろな活動や経験を通して、今、思っていることです。皮肉めいた表現も自分を隠さなくなったからだと思うし、この世界の中で生きていくという覚悟の曲でもあります。

──“極めて身勝手な圧力にもう不感症”とか“事実と異なるデタラメなノンフィクション”とか、かなりドキッとする表現もしていますが、不条理なことに対する怒りや葛藤も今までよりストレートに表現している？

VALSHE：そうですね。これまでいろいろ越えてきて、今はやりたいことを楽しんで活動できているからこそ書けた歌詞だと思います。自分がいる世界に限らず、いろんな職場で起こり得ることだと思うので、“そうそう！”って発散して楽しんでほしい気持ちもあります。

──“「先へ進む」以外はいらない”って名言している歌でもありますもんね。

VALSHE：はい。絶対、後退したくないという意思表示でもあります。

──VALSHEさんの凛とした生き方が出ている曲だと思います。ミュージックビデオの見どころについても教えてください。

VALSHE：「DISPLAY」のミュージックビデオもアルバムのコンセプト同様、ベストでしか作れない映像になっています。看守役の現在のVALSHEが牢獄に過去のVALSHEをディスプレイしている様子をわかりやすく楽しんでいただけるんじゃないかと。これまで聴いてきてくれた人たちに“こんな衣装もあんな衣装もあった”って楽しんでいただきたい部分もありますし、もっと言うと、ひとりひとりの在り方が全然違うので、着目してほしい気持ちもあります。

──VALSHEさんの演技に注目です。

VALSHE：“ここから出たくない”と塞ぎ込んでいるVALSHEもいれば、“今すぐに出せ！”ってもがいているVALSHEもいるんです。起承転結のある映像になっているので、最後にVALSHEがどういうふうになるのかも、ぜひ見てほしいですね。

──看守自らが牢獄の中に入っていきますよね。

VALSHE：そうです。ベストアルバムがリリースされた瞬間、新しいVALSHEも記憶になっていく。また新しい看守がそこに立つというメッセージを込めています。

──未来を予感させるエンディングですね。ある意味では、ひとつエンドマークを置いて、ここから先にまた新たな始まりがある、そんなことを感じさせるような。では再び、ベストアルバムの曲の話に戻りますが、VALSHEさん自身が、「これは絶対に入れたい！」と主張した曲は？

VALSHE：念願だったのは2曲目の「crash-REBIRTH-」です。これは唯一インディーズ時代の楽曲で、minatoと共作した初めてのオリジナル曲なんです。この曲をいつか自分たちが理想とする形にリファインしたいと思っていたんですけど、今が一番いいタイミングだろうって。ほかの楽曲に関してはオリジナルヴァージョンのままで収録していますが、「crash-REBIRTH-」だけはヴォーカル、アレンジ、ミックスダウンと全てを生まれ変わらせて、最新のVALSHEを提示しています。6年前のバージョンのほうが手探りの感じがあって荒々しくていいと思う方もいらっしゃれば、最新バージョンのほうがいいと言う方もいらっしゃると思うんです。そこは聴き手のみなさんに委ねたいと思います。

──初心を映し出した曲でもあるんでしょうか？

VALSHE：もともと自分は“バルシェ”としてのネット活動からスタートしているので、アルファベット表記のVALSHEでメジャーデビューする前からみなさんに支えられてきたという想いがあるんです。その当時から聴いてくださっている方たちにとって「crash-REBIRTH-」は大事な曲だと感じていたので、ここで新たな形で意思表示の曲を収録することが自分の答えというか。自分は今でもこう思っているよということが伝わってくれればいいなと思って収録しました。

──変わらない想いですね。

VALSHE：この曲の最後に“Break myself”＝自分を壊すという歌詞が出てくるんですが、そこからメジャーデビューミニアルバムの表題曲「Myself」に移行していったんです。その親和性も感じていただけたら。「本当は繋がってたんだよ」っていう。

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