ついに日本上陸、<ゴッドファーザー・シネマコンサート>の魅力とは?
ロンドン、アメリカ各都市で絶賛を浴びた映画イベント<ゴッドファーザー・シネマコンサート>が、10月3日に東京国際フォーラムに上陸する。このイベントは、映画史上に燦然と輝く大作「ゴッドファーザー(1972年公開)」のセリフや効果音はそのままに、音楽パート部分を東京フィルハーモニー交響楽団が生演奏し、指揮はイベントのプロデューサーでもあるジャスティン・フリーアが担うという、映画を「生=ライブ」で観るという全く新しい感覚のエンターテイメント・イベントだ。
◆<ゴッドファーザー・シネマコンサート>画像
フランシス・フォード・コッポラ監督の描く映像美と、ニーノ・ロータの書いた音楽の素晴らしさが同時に堪能出来る「ゴッドファーザー・シネマコンサート」の魅力を、映画「ゴッドファーザー」ファンで知られる映画監督の井筒監督に伺った。
──映画『ゴッドファーザー』との初めての出会いは?
井筒監督:19歳の夏、道頓堀の戎橋劇場で見た。見終わった後は呆然唖然沈黙。何をしていいか、わからんかった形容し難い感覚。映画の中に自分がメルトダウンしたような、立ち上がれないぐらいの感覚やった。「イージー・ライダー」とか「明日に向って撃て!」とかのアメリカン・ニューシネマを見て育った映画青年のボクの前途が絶望されたような気分やった。こんな映画見させられたら、これ超える映画は撮れんと思ったよ。これ見て、ボクの生き方が変わってしまった。まさにニューシネマの金字塔やね。
──この映画を撮ったときのフランシス・フォード・コッポオラはまだ29歳の若さでしたが、その演出力についてどう思いますか?
井筒監督:その頃、自主映画を色々と撮ってたけど、ボクの映像なんて蛙のションベンや、足元にも及ばんと思ったね。もっとも映画見たときは、コッポラが29歳だってあんまり意識していなかった。どこかの巨匠が撮ってるものかと思ったよ。イタリア系のそんな新人が撮ったとは思えないよ。後になって調べたら、コッポラもポルノ映画から始めたわけなのよ。一緒じゃんって感じ。だから生い立ちって言い方じゃないけど、若い学生上がりでポルノを撮って、オレらと一緒と思って自信がついたわけ!早く一般映画を撮ろうねって思うきっかけにもなったね。
──世間的には『ゴッドファーザー』はギャング映画という認識が一般ですよね。
井筒監督:ギャングも何も、ただの家族の物語だよ。アメリカに渡ってきたマイノリティの血族の運命を描いた物語。そういうマイノリティの民族とアメリカン資本主義とは何たるかを描いて人間を捉えているから、普遍性があるわけなのよ。血族縁者の物語として、一回見直した方がいいんだよ。
──ニーノ・ロータと『ゴッド・ファーザー』の音楽の魅力はいかがですか?
井筒監督:例えば、長男のソニーが惨殺されるシーンの後に風情ある音楽が流れる。全編に渡って非常に細やかにニーノ・ロータの劇伴音楽がちりばめられているのよ。(撮影時点で)青二才のコッポラが、同じイタリア系の巨匠ニーノ・ロータを、どうやって口説いたか分からんが、アメリカのハリウッドの作曲家ではなく、イタリアの芸術家でまとめたのが良かったのよ。音符が飛び跳ねて踊ってるでしょう?この奥ゆかしい音楽、やっぱりうまいのよ。そこに尽きる。同じイタリア系でも、エンニオ・モリコーネに頼んでたら、本物のギャング映画になってたと思う。やっぱり叙情派のニーノ・ロータだよ。これが、この映画の運命の分かれ道だったと思うよ。
──<ゴッドファーザー・シネマコンサート>はどう思いますか?
井筒監督:まさか「生」で見られるなんて、今まで考えられなかったね。こういうのは、ええと思いますよ。最近のシネコンの音響設備は良くなってるけど、いくらスピーカーが良くても「生」に勝るものはないよ。ボクは50~60回は見てるけど、見る度に打ちのめされて、見る度に新しい発見があるのよ。特に若い子は見た方がええよ。ボクはコッポラの映像とニーノ・ロータの音楽だけで育ったようなもの。久しぶりに、ニーロ・ロータの音楽に聴き惚れに行こうと思ってる。画面に吸い込まれるよ、きっと。
<The Godfather Live 2015 ゴッドファーザー・シネマコンサート>
2015年10月3日(土)・昼夜2回公演
@東京国際フォーラム ホールA
昼の部 12:00開場 13:00開演
夜の部 17:30開場 18:30開演
S席:9800円
A席:8800円
B席:7800円
*未就学児入場不可
上映作品:ゴッドファーザー/The Godfather (監督 :フランシス・フォード・コッポラ/音楽:ニーノ・ロータ/1972年公開作品)──日本語字幕付き
指揮:ジャスティン・フリーア
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
◆<ゴッドファーザー・シネマコンサート>オフィシャルサイト
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