【インタビュー】KAMIJO「ファンの24時間を自分の音楽で染めたい」

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1999年にメジャーデビューしたLAREINEや、海外でも絶大な人気を誇ったVersailles等、独特の耽美な世界観を持つバンドのボーカリストとして、そしてプロデューサーとして、長きにわたりシーンの第一線で活動してきたKAMIJO。2015年を音楽活動開始20周年のアニバーサリーイヤーとし、2月末からはヨーロッパ・南米・北米を、そして日本を廻るワールドツアーも現在敢行中である。また、6月には20周年記念リリース第1弾として、オール・タイム・ベスト・アルバム『20th Anniversary All Time Best〜革命の系譜〜』を発表。そして到着する第2弾『Royal Blood〜Revival Best〜』は、なんと全曲新録音のリバイバル・ベスト・アルバムだという。“僕セレクトのベスト”と語る本作について、そしてヴァンパイアの歌声を目指す彼が見据える今後の展望について聞いた。

取材・文=清水素子

◆KAMIJO 画像+コメント動画

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■自分がずっと持っていた宝物を
■やっと人に自慢できる時期が来た。



── 20周年記念にベスト・アルバムをリリースするのは珍しくない展開ですけれど、それに続いてリバイバル・ベストも出そうという発想は、どこから生まれたんでしょう?

KAMIJO:最初にリリースのプランとして挙がったのは、実はリバイバルのほうだったんですよ。僕としては、やっぱり20周年を迎えた“今”しかできない作品を作りたかったんです。今の僕が歌ったら、もしくはリメイクしたら面白いであろう楽曲を選んだという、つまり僕セレクトのベストですね。その後にレコード会社の方から“どうせだったら今までの作品を集めたオール・タイム・ベストも、ファンに買いやすい価格でリリースしないか?”というアイディアを頂いたという順番なので、あくまでもリバイバルありきのオール・タイム・ベストなんですよ。



── そうだったんですね。しかし20年となると、これまで発表してきた曲数も膨大なはず。

KAMIJO:しかも、どの時代も好きな曲しか歌ってこなかったので、曲を選ぶという作業は本当に辛かったです。ただ、20年間の活動の中で多くの人に曲を届けられた時期もあれば、そうでない時期もあって。この楽曲になんとか陽の光を当てたい、もっと多くの方に聴いてもらいたい……という想いで選んだ曲も中にはありますし、ファンの声を参考にして収録を決めた曲もあります。

── ファンから収録希望曲を募ったりしたんですか?

KAMIJO:はい。Twitterで意見を聞いてみたこともありますし、去年2014年12月13日のAiiA Theater Tokyoワンマンで“来年はワールドツアーを行って、過去に在籍したバンドの楽曲も歌う”と発表したら、みんな“この曲を歌ってほしい”と、それぞれに自分の思い入れのある曲や希望を訴えてきて! もう収集つかない状態だったんですけど、「Audrey」と「God Palace」はそういったファンの方々の意見に少し左右された部分があります。「God Palace」はVersailles時代の楽曲で想像以上に人気がありましたし、NEW SODMYというバンドで活動していたときの「Audrey」に関しては、実は存在を忘れていまして(笑)。ファンの方の声で“確かにあの曲メチャメチャ良かったな”と、改めて思い出させてもらったんですよ。

── 結果、厳選された7曲のうちには、メタルからオペラ調へとアレンジが一変した「Aristocrat’s Symphony」あり、EDMを取り入れた「冬東京」ありと、あくまでも“今”の目線で制作に当たられたことが窺えます。



KAMIJO:唯一変えようがなくて、ギターソロや歌のテイクで差をつけた「God Palace」も含め、“今の僕がやったらこうなる”というのを素直にやった感じですね。自分で言うのもおかしいんですけど……僕、メチャメチャ歌が上手くなったんですよ!(笑) それが今回、この作品で活かせたなとは思います。そういう意味では“今の僕が歌って思い出を壊さない曲”というのも、選曲基準の一つではありますね。LAREINEのメジャーデビュー曲「fiançailles〜フィアンサーユ〜」とかは、ライブはともかく、CDでは歌いたくなかったんですよ。あの曲はアレで、もう完成しているんで。

── その時だからこその良さってありますからね。出来上がりを聴いて、やはり20年が走馬灯のように巡ったりしました?

KAMIJO:いや、全然そんなことなかったです。今、20周年記念ツアーを回っていても、昔を懐かしむ感じは全くなくて。まるで全部が新曲のような新鮮な気持ちでライブができているので、音源を聴いても……なんて言うんでしょう? 例えば、自分がずっと持っていた宝物を、やっと人に自慢できる時期が来たっていう、そんな気持ちなんです。“あの頃は良かったな”って懐かしむんじゃなく、ファンの皆さんであったり今後KAMIJOに触れてくれるであろう方々に、この曲たちで出会いたいなと。

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