【インタビュー】SHOW-YA、男前過ぎるカバー第二弾で熟女ロックの真髄を聴け！

■「ゴロワーズ…」はパンキッシュに歌いたいからマーティにアレンジしてもらって
■かまやつさんに怒られちゃうかもと思いながら、思いっ切り変えさせてもらいました

──「やさしくなりたい」はこのアルバムの中では一番最近の曲ですが、オリジナルの印象的なディレイのイントロを残しつつ、ミディアムテンポにアレンジされていますね。

寺田：この曲はちょっとバラードっぽく歌いたいというのがあって。気持ちテンポを落としつつ、あのイントロは残したいよねというのはみんなでアレンジの段階で話していて、こういうアプローチになりました。

──斉藤さんの歌い方ってあまり起伏が激しくないですよね。

寺田：そうなんです、淡々と歌うんですよ。でもその淡々さが切なかったりするんで、ボーカルスタイルとしては私と真逆なタイプなんですよね。だから熱すぎないようにして、でも自分の良さも残したいからテンポを落としてバラードっぽくしたんです。でもAメロのところは、あまりにも自分らしく歌いすぎて暗くなりすぎたんで、少しだけ気持ちを明るく、マインドを抑えて歌いました。

──「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」はすごくかっこいいですね。アルバムのハイライト的な1曲だと思います。これはどなたが選曲したんですか？

寺田：ありがとうございます！ これは私がどうしてもやりたくて選びました。しかもパンキッシュに歌いたいって言って、マーティにアレンジしてもらって。この曲は昔から大好きな曲なんだけど、私には絶対歌えないと思ってた。だけどパンクにしたら歌えるかも、と思って。かまやつさんに怒られちゃうかもと思いながら（笑）、思いっ切り変えさせてもらいました。サウンドはSHOW-YAっぽいんだけど、歌ったことのないような歌い方をしているので、そういう意味ではチャレンジでしたね。

──「眠れない夜」の歌い出しは泉谷さんの歌い方を意識している印象です。

寺田：泉谷さんも大好きで、「眠れない夜」もずっと歌いたいと思ってた曲なんですよ。それでよくアコギを弾いて真似したりもしているので、それが若干出ちゃってるじゃないかな（笑）。でも元々私はブルースとか泥臭くて人間の感情を吐き出している音楽が大好きなんですよ。だから泉谷さんの音楽も大好きなので、それを歌えるのが自分の中ですごく嬉しかったですね。

──福山雅治さんの「Gang」はまたカラーの違う選曲ですね。

寺田：これはドラムのmittan（角田mittan美喜）が選びました。じつは本人がこの曲のPVに出ているんです（笑）。

──え、そうなんですか？

寺田：福山さんの曲って何をやろうか？って言ってたら「「Gang」が良い」ってずっと推してたから、なんでだろう？って思ってたら、レコーディングが終わってから「実は一緒にやってた」って（笑）。それはメンバーも知らなかったんですけど。女性バンドの「e-ha?」で福山君のバックをやっていた時代があったんで、その縁でPVに参加していたみたいです。でも楽曲も詞の世界も含めて一番SHOW-YAっぽいかもって思いましたね。


──確かに“Glamorous”という言葉に一番相応しい曲かもしれないですね。

寺田：そうだね（笑）。だから歌も今までやってきたSHOW-YAのノリでできたから、メンバーもそうだったんじゃないかな。

──最後の2曲は80年代日本のロックの代表格2人ですね。まず浜田省吾さんの「悲しみは雪のように」。

寺田：この曲をライヴで歌うことを想定したときに、ギターを弾きながら歌いたいなって思ったんです。だからアコースティック・ギターを入れたアレンジにしてほしいって言いました。レコーディング中も実際にギターを弾く真似をしながら歌っていました（笑）。

──「So Young」は元々、山下久美子さんに佐野元春さんが提供した曲ですね。これが一番意外な気がしました。

寺田：ああ、本当に？ でもね、私は「YOUNG BLOODS」をやりたかったの（笑）。しかも全部マイナーにして。でも明るい曲があんまりないので、最終的には「So Young」になったんですけど。一番最後にこれを持ってきたのは、これを聴くと未来が明るい気がしません（笑）！？まだまだうちらって若いんだよって。「次があるさ！」みたいな（笑）。

──リリース後は東名阪ツアーや目黒鹿鳴館でのライヴ、年末には国際フォーラムでのライヴも決まっています。さらにオリジナル・アルバムもリリースと、ものすごい精力的な活動ですね。

寺田：そうなんですよ（笑）オリジナル・アルバムは来月からレコーディングで、それと並行して8月の＜NAONのYAON＞の準備にも入っています。


──2015年は2回開催となる＜NAONのYAON＞ですが、まず4月29日におこなわれたライヴを振り返ってもらえますか？イベント翌日のテレビの情報番組などでピンクレディーの未唯 mieさんと踊っている姿を見て驚いたんですけど。

寺田：あははははは！もうピンクレディーは世代だよね、私と（中村）あゆみちゃんは。うちらの世代は細かい振りは忘れてても、大きなキメポーズはだいたい踊れる世代だから。サプライズで色んな方に声をかけようっていうのがあったんだけど、ご本人に「ピンクレディーの曲で出てもらって良いですか？」って声をかけたら了解してくれたんで、私も「がんばります！」って。振付用のDVDまでお借りして、色々教えていただきました（笑）。＜NAONのYAON＞は元々、女の子が楽しく集まれるイベントになったら良いかなっていうのがあって。やって行くうちにイベントも進化して行ったんですけど、始めた当時は女性ロックシーンというのがなかった時代なので、アイドルの方とかとテレビ局で一緒になっては声をかけて「＜NAONのYAON＞ってイベントがあるんだけど出てくれない？」って頼んだりとか、3回目くらいまでは直接ブッキングしてたんですよ。その後プリンセス プリンセスが売れて、SHOW-YAもメジャー・シーンの仲間入りしたときに、レコード会社がこぞって女性バンドをデビューさせたから、段々女性バンドだけでやれるイベントになって行ったんだけど。できればスタッフも女性で揃えたいなって告知したら、音楽学校でPAの勉強しはじめた子がいたり、照明さんにも女性が増えたし。昔はみんなが夢を実現させるための場所だったんだよね。でも今は、「みんなが帰ってこられる場所」にイベントが進化しているんじゃないかなって思って続けています。

──＜NAONのYAON＞で全員で最後に「LEMON TEA」を演奏しましたね。シーナ＆ロケッツのシーナさんとの想い出を聞かせてもらっても良いですか？

寺田：レコードを初めて聴いたのが学生時代に「ユー・メイ・ドリーム」が売れたときで、カッコイイなって。声自体は甘い感じなのにパワフルだし、女の人のロックってこういうものだっていう感じがしてすごく憧れていたというのもあるんですけど、＜NAONのYAON＞に出てもらったときも立ち振る舞いから何からカッコイイんですよ。あそこはね、家族がみんなカッコイイの！ もうロックをやっている人の理想の形だったんだよね。だからといって尖がってるのかといったらみんな優しいし、実際にご近所に住んでたときもあって、鮎川さんが子供を乗せて自転車乗ってたりするのも見ていたので。清志郎さんもそうだけど、普通にロッカーとしてじゃなくて1人の人間としてちゃんと自分の人生を生きていて、表現の仕方としてロックがあったっていう感じで、カッコイイよなあって思っていて…。近いうちに＜NAONのYAON＞にまた出てほしいなって思っていた矢先だったから、すごく残念だし、ファミリーのことを想うと色んなことを考えてしまうし。やっぱり女性のロックの歴史というのは、生き方も含めて、若手のミュージシャンもみんな知っておくべきだと思う。だからアン（・ルイス）さんにも出てもらいたくて（息子の）美勇士にいつも「ロスに行くんだったらお母さんに、歌いたくなったらいつでも待ってるからって言っといて！」って話していて（笑）。席はいつでも空けてるから、歌いたくなったら真っ先に連絡がほしいっていうのはずっと伝えてあるので。だからアンさんの曲もずっと歌ってたりもするんだけど、今年はどうしてもやっぱりシーナさんの曲で締めたかったんですよね。「あなたの時代はロック・シンガーが少なかったけど、今はこんなにいっぱいいるんですよ、見てください！」って。

取材・文●岡本貴之






◆インタビュー（１）へ戻る