【インタビュー】FLiP、結成10周年を目前にした『BIRTH』は新しいFLiP誕生のきっかけになるミニアルバム

■“唯一無二”といわれるガールズバンドって増えているけど
■私たちはもっと女性のロックの壁を壊していきたい

▲『BIRTH』初回限定盤

▲『BIRTH』通常盤

――歌詞もSachikoさんがすべて書いてるんですね。

Sachiko：心がけているのはリアルな歌詞ということですが、今回に関してはすべて等身大で書こうと思っていました。強い意志を込めて“聴いてくれ！”というより、私はこう思ってるんだよね、っていうフランクな感覚で書こうと。最後の方で歌詞が行き詰ったとき知り合いに、“歌詞進まないんだよね”なんて軽く話をしたら、“直感的に書けばいいじゃん”って言われたんです。それで、仮歌から浮かぶ言葉を直感でリストアップして、最初に曲が生まれたときに頭の中にあったイメージなんかをもとに、言葉を決めていったんです。

――仮歌から歌詞を作るということは、歌詞は最後に完成するんですね？

Sachiko：そうです。歌録りの前、オケを全部録り終わってから作っているんです。だからメンバーは歌録りの日まで歌詞を知らない（笑）。

Yuko：そういえば、最短でできた歌詞ってあったよね。

Sachiko：30分くらいで作ったのがあったね。

Yuko：あれはビックリしました（笑）。

Sachiko：「LET IT DIE ～K & Q～」だったと思いますけど、もう直感で行こうと思ったんで。

――ボーナストラックとして、MONGOL800の「小さな恋のうた」のカヴァーもやってますね。この曲を選んだのは、やはり同郷のバンドということで？

Sachiko：そうですね。やっぱり同じ沖縄出身ということもありますし、10周年ということで原点回帰するという意味も込めました。

Yuko：以前はそうでもなかったんですけど、普通に日常の会話の中で“やりたいね”と言ってた曲を今はできるようになった。それでこの曲をやれたんです。

Sachiko：今のFLiPはすごく肩の力が抜けているんです。今までだったら、FLiPのカラーがあるから、とか気にしてたんで、こういう曲はできなかったんだと思います。

Yuko：うん、アコースティックでやるのは違和感があるんじゃないかとか、2年前までだったら思ってた。ボーナストラックだし、アルバム本編とは違う、素のFLiPに近いものを入れるほうが、聴いていて特別な感じがあるだろうし。

Sachiko：ボーナスだもんね（笑）。

――初回盤はDVDつきですが、その内容は？

Sachiko：10周年のスペシャル・ムービー、もうこれは特典中の特典という感じで（笑）。ホントに素のFLiPが見られます。

Yuko：私たちの自撮りみたいなのもあるし、それぞれが東京に来てから一番思い入れがある場所とかに行って撮ったりしました。

Sachiko：誰がどこに行ったのかもお互い知らなかったんですけど、後で答合わせみたいにみんなで見ながら思い出話をしたり。

Yuko：あー懐かしいねえ、なんてみんなで話しています。でもやっぱりこの10年、短いと思っていたけど、振り返ると長いと思いました。


――紆余曲折ありながらも、FLiPというバンドが10年間続いてきた理由ってなんだと思いますか？

Sachiko：みんなそれぞれタイプの違う人間だからかな。デコボコであるほど噛み合うっていうか。その中でつながってる部分がちゃんとある。だから10年一緒にいても飽きないです。でも、ちょっと空気感的にマンネリになって、楽曲に新鮮さが欲しいということになった。それで新しい方向に行くためにインプットの時間を設けたんです。

――では、この10年でもっとも印象に残っていることは？

Yuko：私は＜SUMMER SONIC＞のマウンテン・ステージに立ったこと。FLiPで一番大きい会場でしたから。あの景色はすごく印象に残っています。今後はあれを超えたいと思いますね。

Sachiko：私は「GIRL」ができた瞬間かもしれないな。あの曲ができたとき、可能性を感じるというか、FLiPというバンドをまだまだ楽しめるなと思ったので。

――最後に、今後目指していくことは？

Yuko：近いことで言うと、今年の10月6日が10周年なので、そこでまた新たな一区切り、FLiPの集大成を感じられるような日にしたいと思います。だから2015年が勝負なんです。といってもまあ、これからもずっと続けていくことなので、そんなに気合入れ過ぎてはいないんですけど（笑）。

Sachiko：大切にしたい年ではあるよね。それはメンバー全員が思っていることだと思います。私は、私たち女性4人がロックが好きでFLiPをやっているという意味を、もっと音楽で追求していきたいと思っています。“唯一無二”といわれるガールズバンドって増えてるけど、私たちはもっと唯一の存在になって、女性のロックの壁を壊していきたい。それがFLiPにはできると思っています。

取材・文●田澤仁




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