【インタビュー】FLiP、結成10周年を目前にした『BIRTH』は新しいFLiP誕生のきっかけになるミニアルバム
躍動感あるエネルギッシュなロックサウンドが持ち味、元気いっぱいのガールズバンドFLiPが、前作の3rdアルバム『LOVE TOXiCiTY』からシングルを挟んで約2年ぶりとなるミニアルバム『BIRTH』をリリースする。2015年は結成10周年を迎えるFLiPだが、実はこの2年間は彼女たちにとってとても重大な意味を持つ期間だったという。この間彼女たちは壁にぶつかり、もがき、苦しんだ末に新たな方向性を見出し、進化してきた。その新生FLiPの出発点とも言えるのが『BIRTH』なのだ。この作品について、Sachiko(Vo & G)とYuko(G)に語ってもらった。
◆FLiP~画像~
■FLiPが次に進んでいくためにどうするのか
■そういうことをすごく考えた2年間だったんです
▲『BIRTH』初回限定盤 |
▲『BIRTH』通常盤 |
Sachiko:3枚目のフルアルバム『LOVE TOXiCiTY』から約2年ですね。その間はフェスに出たり、FLiP史上最大規模のワンマンを渋谷AXでやったりしましたけど、それよりもこの2年間は、バンドをこれからどうするのかという問題にぶつかった重い2年間だったんです。結成から10年やってくると紆余曲折というか、色々なことがあるんです。一番大きかったのは私自身のスランプだと思いますが、メンバーそれぞれにとっても分岐点だったような、そんな気がします。
Yuko:前回、3枚目でインディーズぶりの全曲セルフプロデュースでやったんですが、それをすごく集中して作って、その後にAXのワンマンがあって。そこで達成感というか、FLiPの中で何かが終わったというような感じがあったんです。
Sachiko:そう、サウンド面でも歌詞の面でも、バンドそのものという意味でもやり遂げた感じがあった。そこで、次にどういうFLiPを出していけるのか、バンドが次の新しい道に進んでいくためにどうするのか、そういうことをみんながすごく考えた2年間だったんです。FLiPを今後続けるのかどうかという話までしました。でも今回は全員が今までで一番腹を割って話をできた2年間だったと思うし、それで絆も強くなった。だから今はすごく笑顔でいられるんです。
――では10周年を迎えるまでのこの2年は、バンドにとってすごく大きな意義があった期間なんですね。
Sachiko:はい。この2年、とくに2014年の前半は、次の制作のためにそれぞれがインプットの時間にするということにして、バンドは止めないけど、でも精神的には少し休みながら活動していたという感じです。
Yuko:だから10周年となる2015年が、ある意味新たなFLiPのスタートになるんだと思います。実は2014年のシングル「GIRL」の頃から曲作りの方法も変わってきたんです。それまではスタジオでセッションして作っていたんですけど、この頃からSachikoがすべてデモを作って持ってくるというやり方になったんです。
Sachiko:私がProToolsを使い始めたのも、シンセを導入したのもそこからなんです。ホントに大きな流れが変わった期間でした。
――では新生FLiPの誕生という意味で、この新作のタイトルが『BIRTH』なんですね。
Yuko:その通りです。
――新生FLiPの特徴って、サウンド的にはどんなところですか?
Sachiko:ドメスティックなサウンドにとらわれない、というところだと思います。メンバーはみんな、FLiPをやる前から洋楽をよく聴いていたし、私も音楽にのめりこんだきっかけがバックストリートボーイズで。バンドというより、歌に魅力を感じるポップスがすごく好きだったんです。だから、バンドという音にしばられない方向性をもっとこのバンドで追求しようというのが、2014年のシングルからの流れなんです。
――今回の『BIRTH』でも、「ONE」や「LET IT DIE」にアナログシンセが使われていたり、ダンスミュージックの雰囲気が感じられるところがあるのは、そういうことの表れなんですね。
Sachiko:そうですね。ライヴでお客さんに踊ってほしいなと思ったんです。ミディアムテンポとかバラードでも身体が揺れるような、グルーヴのある雰囲気をそれぞれの曲で出したかった。シングルの「GIRL」や「MADONNA」のような振り切ったブライトな世界観をベースに、今のFLiPが出せるダンサブルなロック感を足すことで、次に行きたいと思ってるんです。まだこれからも変わっていこうと思っているので、これは新しいFLiPの誕生、そのきっかけになるアルバムだと思って聴いてもらいたいです。
――今後も変わっていくという、その方向性はもう見えているんですか?
Sachiko:私の頭の中ではやりたい音の世界が鳴っています。たとえば音のコントラストが、最もブライトでポップところが100、暗いアングラなところが0だとすると、ちょうどこのアルバムは50から60くらいなんですね。これをベースに、もっと100に近い方向に行きたいと思っています。それが私の中ではシンセの広がりだったりするので、そういう音の使い方をもっと追究したいですね。生のロックのサウンドにシンセを付け足すことで世界をもっと広げられると思うんです。だから今すごく面白くなってきています。
――楽曲制作のためのインプットの期間を設けたということですが、そこでインプットされたものがこのアルバムにも表れているわけですよね?
Sachiko:「GIRL」を作った頃から私が影響を受けているのが、アメリカのガールズバンドのハイムなんです。ハイムのアンサンブルって詰め込むんじゃなくて、間引いた世界の組み合わせで世界観を作り出していくんですね。音楽性ではなくて、そういう構成とか楽曲の作り方の影響は大きいと思います。
Yuko:そういう意味では、私は2014年のシングル以降、自分の音作りも変わってきました。私、好きなギタリストがジョン・フルシアンテなんです。“レッチリ”って演奏隊が3人なのにジョンのギターは歪みで音を埋めるんじゃなくて、それぞれのプレイの絡みでアンサンブルを構成していくところが好きなんですけど、その感じが今やっと出せていると思うんです。FLiPはギターが2人いるけど、埋め過ぎないで4人の絡みでグルーヴを生み出すという。そういう音が作れていると思うから、今はレコーディングしててもホントに音がいい、カッコいいと思えるんです(笑)。
Sachiko:ホント、いいよね。
Yuko:早くCDにしてみんなに聴いてほしいって思っていました。
◆インタビュー(2)へ
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