「ドラマーの世界を広げてくれるトリガーが抜群に使いやすくなった」、ローランド「RT-30シリーズ」をFLiPのYuumiが徹底試奏

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ローランドの「RT-30シリーズ」は、アコースティック・ドラムに取り付けて電子ドラム音を鳴らすことができるドラム・トリガーだ。前モデルの「RT-10シリーズ」をブラッシュアップし、多くのドラマーの要求に応えるべく細部まで突き詰め、格段に使いやすくなっているという。その実際の使い勝手を確かめるべく、今回も沖縄出身ガールズ・バンドFLiPがリハーサルを行なっているスタジオを訪ね、ドラムのYuumiに「RT-30シリーズ」の製品を実際に使ってもらった。

◆RT-30&FLiP~画像~

■抜群に使いやすくなったドラム・トリガー「RT30シリーズ」


▲左よりバス・ドラム用「RT-30K」、スネア・ドラム用「RT-30HR」、タム用「RT-30H」。

まずは、今回試奏してもらった製品について簡単に説明しておこう。Yuumiに試奏してもらったのは、ドラム・トリガーの「RT-30シリーズ」。アコースティック・ドラムに取り付けて、叩いたタイミングや強さといった演奏情報を音源モジュールなどに伝えるための製品だ。「RT-30シリーズ」を取り付けてドラムを叩けば、ヘッドやリムの振動を感知し、接続したドラム音源モジュール「TM-2」やサンプリング・パッド「SPD-SX」などの音を鳴らすことができる。音源モジュールのサウンドをミックスすることで、アコースティック・ドラムのサウンドを補強する、別の楽器の音を重ねるなど、多彩な表現ができるようになるというわけだ。


▲ドラム音源モジュール「TM-2」(写真:左)、サンプリング・パッド「SPD-SX」(写真:右)。

前モデルの「RT-10シリーズ」もトリガー性能の精度の高さに定評があり、多くのドラマーが導入した製品だったが、今回はそれをさらに使いやすくすることを主眼にブラッシュアップを行なった。そして主にその取り付け方法を大幅に改良して完成したのが「RT-30シリーズ」だ。最大の改良ポイントは、装着方法がとても簡単になったことだ。ドラムへの取り付けを指で回せるネジ1つだけで行なえるようになり、従来必要だったセンサー位置の調整が不要となっている。だからすばやく取り付けることができ、面倒な手間も不要ですぐにトリガーを使うことができるのだ。


▲「RT-30シリーズ」取り付けイメージ。

同シリーズにはバス・ドラム用の「RT-30K」、スネア用の「RT-30HR」、そしてタム用の「RT-30H」がある。このうち「RT-30K」と「RT-30H」はシングル・トリガーだが、スネア用の「RT-30HR」はデュアル・トリガー仕様だ。デュアル・トリガーでは、ヘッドとリムそれぞれにセンサーがあって、別々の音色をトリガーすることが可能だ。そして、いずれもドラムのメーカーやフープの形状を問わず、ほぼすべてのアコースティック・ドラムに取り付け可能になのもうれしいポイントだ。使用中のドラム・セットに容易に導入できるし、取り付けも手軽。いつものアコースティック・ドラムのセッティングや叩いた感触をほとんど変えることなく、電子ドラム音を取り入れた多彩な表現ができるようになるのだ。

■FLiPのエネルギッシュなビートを、歯切れ良いサウンドで生み出すYuumi


▲FLiP。左から2人目がYuumi。

今回「RT-30」を試奏してくれたYuumiが所属するFLiPは、2005年に沖縄で結成されたガールズ・バンドだ。ポップで軽快、弾けるような元気に満ち溢れたロック・サウンドは当初から各所で注目を集めていて、インディーズ時代にはすでにアメリカの複数都市での公演を経験するなど、海外でも評価されている実力派だ。結成10周年を記念するワンマン・ツアーも無事終えたばかりのFLiPだが、5月にはミニアルバム『BIRTH』もリリースする予定、エネルギッシュに活動中だ。そのFLiPに、シャープなビートで活き活きとしたエネルギーを与えているのがドラマーのYuumiだ。明るくパンチの効いたドラム・サウンド、歯切れよく軽快なグルーヴは、FLiPの元気いっぱいのサウンドの原動力になっている。

■取り付けはあっさり完了、“ホントにすばやくできる”と驚いたYuumi

そんなYuumiはすでに少し前から、ローランドのサンプリング・パッド「SPD-SX」や、「RT-10シリーズ」のトリガー・システムを導入して、アコースティック・ドラムのセットに電子音を積極的に組み込んで使っている。リハーサル中のYuumiのドラム・セットにももちろんこれらが組み込まれていた。そこでスネアとバス・ドラムに取り付けられている「RT-10シリーズ」のトリガーを外し、代わりにスネア用「RT-30HR」とバス・ドラム用「RT-30K」を取り付けてもらうことにした。


▲Yuumiがラクラク取り付け。前モデルに比べ装着が圧倒的に簡単になっている。

Yuumiは、スネアには身体から遠い位置のフープに「RT-30HR」を、バス・ドラムにはフープの上の方に「RT-30K」を取り付けていく。スネアの場合は遠い位置につければ演奏のじゃまにならないし、バス・ドラムの場合はツイン・ペダル使用時に左右のストロークを均等に検出しやすいからだ。

さて、実際の取り付けだが、これは拍子抜けするほどあっさりと簡単に終了した。指でネジ止めするだけなので簡単なのは当然だし、すでにトリガーを使っているYuumiだけに、要領がわかっていて手際も良かったのだろうと思っていたのだが、ここまですばやくできたのは、「RT-30」の取り付け機構が改良されていたから、というのが大きかったようだ。

“これ、やりやすいですね。ネジで取り付けるだけでいいし、センサーの位置も気にしなくていいから楽です。ホントにすばやくつけられます。”とYuumi。自分で取り付け作業をやってみて、いつも使っている前モデルに比べ、装着が圧倒的に簡単になっていることを実感したようだ。

Yuumiは、接続したドラム音源モジュール「TM-2」の音をイヤー・モニターで聴きながら、リズム・パターンをプレイ。そして笑顔で“ホントに簡単でいいですね”


さらにドラムをしばらく叩いてみた後、“ただ簡単に取り付けただけで、感度の調整とかもしていないんですけど、レスポンスも問題ないです。サッとつけてすぐプレイできるのがいいですね。あと、細かいことですけどケーブルを挿す位置も変わってるんですね。これも助かります。以前は背面側だったんですが、これは側面に挿すようになってるんです。背面側、つまり向こう側にあると、暗いライヴハウスでセッティングするときに見えにくかったこともあるんです”と、実際に使ってるドラマーならではのコメントも飛び出した。取り付けの簡単さに加えて、全体に渡って細かいところまで配慮が行き届いていることにも感心したようだった。

■ドラマーの世界を広げてくれるトリガー、使ってみればイメージもわいてくる


試奏後、Yuumiに話を訊いてみた。

――トリガーはすでに使っているそうですが、どんな音を鳴らしているんですか?

Yuumi:以前は生音にこだわってました。それも“抜けのいい生音”にこだわっていたんですけど、最近はEDMを聴いて影響を受けたりして、ちょっと違う音色も欲しくなってきたんです。スネアにクラップを混ぜたような音とか。それは生ドラムでは難しいし、レコーディングでも音作りに時間がかかったりしますよね。そこで去年からトリガーを導入して、色々な音を混ぜて鳴らしてます。メタルっぽいバキバキの硬いアタックを生音に足したり、逆にモワッとした音でクラブ・サウンドっぽくしたり。生音を補正することもあるし、まったく違う音を足すという使い方もしてます。あと、ツイン・ペダルを使うときの左右のキックの粒をそろえるのも、トリガーだと簡単にできて便利ですね。

――今回使ってみた新しい「RT-30シリーズ」の印象はいかがでしたか?

Yuumi:とにかくセッティングがしやすい!ということですね。今までセンサーの位置をチューニング・キーで調節してたんですけど、それが一切なくて、つけるだけで完了ですもんね。数分かかっていたのが数十秒でできる感じ。ホントに早いです。ライヴハウスなどの暗いステージでセッティングすることも多いので、簡単にできるのはすごく重要なんですね。今までもちろんトリガーは便利に使っていたんですが、その中でケーブルを挿すところの見やすさとか、こうだったらいいな、と思うことがほんの少しだけあった。でも今回そういう細かいところも全部改善されていて、さらに便利になったと思います。


――より手軽にトリガーを使えるようになると、もっと色々なことをやりたくなるんじゃないですか?

Yuumi:そうですね。トリガーの演奏フレーズをサンプリング・パッドに入れてループ再生しながら“一人ドラム・アンサンブル”みたいなことも面白そうだと思ってます。あと、アコースティック・ドラムならライブ会場に合わせて音を作り込まないといけないけど、トリガーなら理想の音をボタン一つで呼び出せます。レコーディングでどんな音を録るのか、曲にどんな音が合うのかを、これでシミュレーションするような使い方もアリだと思います。表現の幅が広がるだけでなく、面倒なことを簡単にしてくれて作業時間も短縮できる。色々な場面で使えると思います。

――敷居が高いイメージもあるトリガーですが、初心者も含めて様々なドラマーが活用できそうですね。

Yuumi:そう思います。トリガーって、生のドラムの良さも活かせるし、電子音で遊ぶのも簡単。ドラムっぽくないこともできるから、ホントに色々な可能性があると思います。ドラムって機材をそろえるのも大変で、たとえばまずはいいスネア、それからシンバル、とか順番にそろえていくパターンも多いと思いますけど、ドラマーとしての殻を破れるような機材って、意外とこういう電子機器なのかもしれないと思いますね。確かに敷居が高い印象はありますけど、私も使い始めてからイメージがわいてきて、こういう音を使いたいとか、こういう曲をやりたいとか、考えも広がったんです。使ってみれば色々な発見があって、プレイの“語彙”みたいなものも増えるはずだし、やりたいことも色々見つかるんじゃないでしょうか。ドラマーの世界を広げてくれるのがトリガーなんだと思います。

製品情報

<主な仕様>
●RT-30K
トリガー:1(ヘッド)
接続端子:トリガー・アウトプット・ジャック(標準タイプ)
付属品:取扱説明書、「安全上のご注意」チラシ、ステレオケーブル(3.5m)
取り付け可能な寸法:リム上端からヘッドまでの高さ= 30 ~ 36mm、リムの厚さ=最大12mm
外形寸法 / 質量:幅 (W)38 mm 奥行き (D)111 mm 高さ (H)62 mm、質量95 g

●RT-30HR
トリガー:2(ヘッド、リム)
接続端子:トリガー・アウトプット・ジャック(ステレオ標準タイプ)
付属品:取扱説明書、「安全上のご注意」チラシ、ステレオケーブル(3.5m)
取り付け可能な寸法:リム上端からヘッドまでの高さ=最大13mm、リムの厚さ=最大12mm、リム内側から先端までの幅=最大5mm(内向きフープの場合)
外形寸法 / 質量:幅 (W)39 mm 奥行き (D)112 mm 高さ (H)45 mm、質量69 g

●RT-30H
トリガー:1(ヘッド)
接続端子:トリガー・アウトプット・ジャック(標準タイプ)
付属品:取扱説明書、「安全上のご注意」チラシ、ステレオケーブル(3.5m)
取り付け可能な寸法:リム上端からヘッドまでの高さ=最大13mm、リムの厚さ=最大12mm、リム内側から先端までの幅=最大5mm(内向きフープの場合)
外形寸法 / 質量:幅 (W)39 mm 奥行き (D)112 mm 高さ (H)45 mm、質量67 g

◆Kick Trigger RT-30K(バス・ドラム用)
価格:オープン
◆Dual Trigger RT-30HR(スネア・ドラム用)
価格:オープン
◆Single Trigger RT-30H(タム用)
価格:オープン

FLiPリリース情報

『BIRTH』
2015年5月6日発売
<初回盤>CD+DVD
品番:UPCH-29184
POS:4988005887733
税込価格:2,300円(税抜:2,130)
<通常盤>CD
品番:UPCH-20388
POS:4988005887740
税込価格:1,800円(税抜:1,667)
※CD (初回・通常共通) 全6曲収録予定

ライブ・イベント情報

ファンクラブイベント「Dear Ms.&Mr. ep.3~FLiPヒストリーCHiLDHOOD編~」
「Dear Ms.&Mr. ep.3~FLiPヒストリーADULT編~」
[開催日程]2015年4月12日(日)
[会場]Shibuya 7thFLOOR


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