忌野清志郎へ、映画からの巨大なリスペクト。園子温最新作『ラブ&ピース』に光る“清志郎愛”
2009年、癌性リンパ管症によりこの世を去った“KING OF ROCK”こと、忌野清志郎。ド派手なメイク、心に痛烈に突き刺さる歌声、そして一度でも見たら決して忘れられなくなる強烈な存在感は今もなお多くの音楽ファンを虜にしている。彼が亡くなって早6年、命日にあたる5月2日には毎年の恒例イベントとなった<忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 渋谷公会堂 Love & Peace 2015年5月2日>が予定され、生前、清志郎と親交の深かった井上陽水のほか、奥田民生、トータス松本、仲井戸“CHABO”麗市ら豪華アーティストの出演が決定し、チケットもソールドアウトとなっている。そんなカリスマ的人気を誇る忌野だが、映画業界にもファンが数多く存在する。映画監督・園子温もその一人だ。
◆映画『ラブ&ピース』 画像
6月27日公開の園子温監督最新作『ラブ&ピース』ではRCサクセンション時代の名曲「スローバラード」が作品の主題歌に起用されている。本作は園が映画監督を夢見るまだ無名だった時代に脚本を書き下ろした私小説的作品。うだつの上がらないサラリーマン、鈴木良一(長谷川博己)が一匹のミドリガメとの出会いから人生が一変し、ロックスターへと成り上がっていく物語だ。
園監督は本作の脚本を完成させた1990年当初、この鈴木良一役をファンでもあった清志郎にオファーするが、脚本は気に入ってもらったものの、俳優業はやっていないとの理由から断られたという。そして、映画化が決定し、当時のエピソードをプロデューサーに話したところ、「じゃあ曲を流そうよ」という話になり、「スローバラード」が主題歌に決定。さらに劇中では、長谷川博己演じる鈴木良一がロックスターとなり、ドーム級のスタジアムで行うライブシーンでは、派手な衣装と金髪ロン毛という生前の清志郎を彷彿とさせるスタイルで登場。まさに園監督の“清志郎愛”を感じずにはいられない作品となっている。
園監督の他にも、劇作家として有名な鴻上尚史が監督した『ジュリエット・ゲーム』(88年)では同様にRCサクセションの「スローバラード」、「トランジスタ・ラジオ」そして、忌野清志郎&ザ・レザー・シャープスの「スタンド・バイ・ミー」が劇中に使用され、作品の世界観を作り上げた。また、長年親交があった俳優、竹中直人が監督した『119』(94)では音楽監督として参加し、翌1995年の第18回日本アカデミー賞で最優秀音楽賞を受賞した。
映画の物語を昇華させる忌野清志郎の楽曲とカリスマ性は音楽、映画の枠を超え、今後も様々なジャンルで愛されていくことだろう。
映画『ラブ&ピース』
長谷川博己 麻生久美子 渋川清彦 奥野瑛太 マキタスポーツ 深水元基 手塚とおる / 松田美由紀
<声の出演> 星野源 中川翔子 犬山イヌコ 大谷育江
西田敏行
監督・脚本 園子温
主題歌:RCサクセション「スローバラード」 特技監督:田口清隆
『ラブ&ピース』 あらすじ
2015年、来る東京オリンピックに向けて湧く東京。
うだつの上がらない日々を過ごすサラリーマン・鈴木良一(長谷川博己)。ある日、
良一はデパートの屋上で一匹のミドリガメと目が合い、運命的なものを感じる。あきらめたロックミュージシャンへの道、まともに話せないが恋心を抱いている寺島裕子(麻生久美子)への想い・・・彼の人生を取り戻すのに必要な最後の欠片(ピース)、それが・・・そのミドリガメだった!
(C)「ラブ&ピース」製作委員会
◆映画『ラブ&ピース』 オフィシャルサイト
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