【ライブレポート】Psycho le Cemu、15周年復活ライブで「この先もこの曲を胸に頑張っていきます」

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Psycho le Cemuが2015年2月11日、豊洲PITにて15周年復活ライブ<Psycho le Cemu 15th Anniversary Live TOKYO PARALLEL WORLD 〜はじまりの奇跡〜>を開催した。

◆Psycho le Cemu(サイコ・ル・シェイム)画像

2002年にシングル「愛の唄」でメジャーデビューを飾り、当時のV系シーンの中でもひと際異彩を放つ衣装、コンセプト、エンターテイメント性など、独自のアイデンティティーを駆使したパフォーマンスで新たな旋風を巻き起こしたバンドがPsycho le Cemuだ。2006年に惜しまれつつも活動休止し、その後は2009年にバンド結成10周年記念ライブを行ったのみで表立った正式な活動はなかったが、結成15周年を迎えた2014年10月2日のデビュー記念日に復活ライブを発表。チケットは全て即日完売するなど、ファンの期待も高まる中での復活ライブとなる。

会場の照明が落とされると、大きな歓声と共に闇に包まれたフロアはメンバーカラーの5色のペンライトで埋め尽くされた。そして次の瞬間、うっすらとした光がステージに戻る。目に飛びこんで来たのは、横一列に並ぶPsycho le Cemu5人の姿だった。中央に立ったYURAサマが、今回のライブのストーリー“TOKYO PARALLEL WORLD”の案内人となり、メンバー1人1人のキャラクターを説明するという他に類を見ないオープニング。この斬新さこそが、Psycho le Cemuなのである。

そんな彼らが幕開け1曲目として選んだのは、下手ギターのLidaとベースのseekは楽器をプレイするも、上手ギターのAYAとドラムのYURAサマは、ボーカルのDAISHIを挟んでダンスで魅せるというスタイルの同期曲「激愛メリーゴーランド」。今や、大衆的な人気を誇る“エアーバンド”ゴールデンボンバーの出現により、バンドでありながら楽器を持たずパフォーマンスで魅せるというステージングは珍しくないご時世となったが、Psycho le Cemuは15年も前からこのスタイルを個性としてきたバンドなのである。

さらに、彼らを語るのに特筆すべきことはもう1つ。“スーパーコスプレバンド”と称されたキャラクターが最大限に活かされたカラフルでポップな衣装だ。結成当初、楽曲の方向性よりも、まず最初に話し合ったのが“衣装”だったというほど、衣装は彼らにとって何よりも一番大切なもの。中でもバンドのアイコンとも言える女キャラのパイオニアAYAとキワモノキャラを務めるseekの存在は一際目を惹く存在だ。またこれも、現代のファッションリーダーと言われるきゃりーぱみゅぱみゅや、ゆるキャラブームの先駆けと言えるかもしれない。

しかし、彼らの強みはキャラクターを活かしたエンタテイメント性の高いパフォーマンスだけではない。AYAとYURAサマの先導によって、ペンライトで埋め尽くされたオーディエンスが、楽曲に合わせて揃いの振り付けで盛り上がる様子は、新たな時代の幕開けを予感させるもの。それ以上に何よりも素晴しいのは、どこまでもディープで激しくありながらも、歌えるメロディーをしっかりと中心に置いている音楽性の高さだ。ヘヴィメタルをルーツとするメインコンポーザーのLidaが生み出す楽曲センスは、実にクオリティが高い。この日も、そんな激しさとメロウさを共存させた独自のサウンドでライブを盛り上げていった。ほとんどのシングル曲を網羅したセットリストは、色濃く当時を蘇らせる時間でもあったと言える。

中盤で差し込まれた“お芝居”は、夢も希望もなく現代の街をふらつく若者DAISHIが、そんな人間が迷い込むという“裏の東京”である“TOKYO PARALLEL WORLD”にトリップ。パラレルトラベラーとなって、裏東京の住人である新宿カジノ町を仕切るギャンブラーキング・YURAサマ、原宿ホロスコープストリートの占いババ・AYA、上野ミュージックサファリパークのパンクモンスター・seek、水道橋コロシアムで戦う男爵レスラーⅢ世・Lidaと出逢っていくという物語だ。

DAISHIは、ギャンブラーキングから「元の世界に戻るには占いババに占ってもらうしかない」と入れ知恵されるが、占うには「333万円を払うか、パンクモンスターのネックレスとの引き換えが条件」だと言われてしまう。そこでパンクモンスターを探し当てたところ、ネックレスを外すカギは男爵レスラーⅢ世が持っていることを知り、共に会いに行く。しかし、カギが錆びていて開けることが出来ない。そこへギャンブラーキングであるはずのYURAサマがギャンブルに負け、実はバイトをしていた“鍵の110番”からかけつけて、ネックレスを外そうとするも失敗。絶望の底に突き落とされた4人が集まっているところへ占いババが現れ、「この5人でバンドを組めば成功するのが見える」と告げる。こうして5人はPsycho le Cemuというバンドで、一緒に夢を追いかけることとなる。それはまさに、この日のサブタイトル『〜はじまりの奇跡〜』を描いたドラマだった。

2015年のバンドシーンの中で、Psycho le Cemuというバンド名はとても新鮮に響くが、時代は今彼らを求めている。そう感じた夜だった。アンコールでは、インディーズ時代から歌い続けてきた彼らの代表曲「聖〜excalibur〜剣」「Murder Death Kill」を披露。

「僕たちは5人は、この曲に助けられて頑張ってきたし、この先もこの曲を胸に頑張っていきます」──DAISHI

この一言から、いつもライブを締めくくっていた彼らとオーディエンスにとって大切な曲「Remembrance」に繋げられ、幕を閉じた。“TOKYO PARALLEL WORLD”と題された記念ライブは、この後Zepp DiverCity Tokyoに舞台を移す。14日の『〜思い出のあの時へ〜』、15日の『〜あの場所を夢見て〜』では、いったいどんなドラマが描かれていくことになるのだろうか? そしてこの先Psycho le Cemuは、どんな展開を魅せてくれることになるのか? 期待は膨らむばかりだ。なお、2月11日の豊洲PITのライブの模様は、4月にWOWOWで放送されることが決定している。


■<Psycho le Cemu 15th Anniversary Live 「TOKYO PARALLEL WORLD」>

2015年2月11日(水・祝) 豊洲PIT 〜はじまりの奇跡〜
開場17:00 /開演18:00
2015年2月14日(土) Zepp DiverCity Tokyo 〜想い出の時へ〜
開場17:00 /開演18:00
2015年2月15日(日) Zepp DiverCity Tokyo 〜あの場所を夢見て〜
開場15:00 /開演16:00
前売り 1F立ち見¥6,800/2F指定¥7,800 (税込) ドリンク代別
[問]DISK GARAGE:050-5533-0888 (平日12:00-19:00)
※全公演、即日完売

■2月11日豊洲PIT公演がWOWOWで4月オンエア決定
http://wowow.co.jp/plc/

◆サイコ・ル・シェイム オフィシャルサイト
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