【再考レポ】PIERROT、<DICTATORS CIRCUS FAINAL>初日「最後に演奏された曲で」

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2014年10月24日と25日の2日間にわたり、<DICTATORS CIRCUS FAINAL>と題してPIERROTが約8年ぶりに集結、さいたまスーパーアリーナのステージに立った。先ごろ、この歓喜の瞬間を全曲収録した映像作品のリリースが発表となったばかりだが、ここで改めて当日のステージの詳細を未公開写真とともにレポートしたい。まずは奇跡の初日<DICTATORS CIRCUS FINAL -I SAID「HELLO」->から。

◆PIERROT 拡大画像

開演予定時刻の18時30分を数分過ぎたところでSEが鳴り響き、紗幕に覆われたステージにメンバーのシルエットが映し出されると大歓声に場内が揺れた。オープニングナンバーはラストシングルであり、2014年4月に新宿アルタビジョンで復活を告げると同時にミュージックビデオの“2014年Ver.”が放映された「HELLO」だ。イントロで幕が落とされると目の前に表れたのはキリト、アイジ、潤、KOHTA、TAKEO。この5人が揃ってステージに立っているという紛れもない現実。にも関わらず、“これは夢の中の出来事なのか、本当なのか”という想いに囚われずにはいられなかった。解散ライヴも行なわない状態で空中分解したPIERROTの復活は望んでいたとして、想像できなかったことだったからだ。演奏が終わった直後、真っ白なスーツを着たキリトが客席に拍手を送る姿が目に飛びこんできた。

アイジのギターに歓喜の声が上がった「PSYCHEDELIC LOVER」ではKOHTAが定位置から離れて煽り、キリトがアイジの肩に手をかけて歌うというレアな場面が3曲目にして飛び出した。“引き裂いてしまった可能性の扉がまだ消えていない事を”という歌詞がPIERROTの解散とかぶって、特別な意味を持つかの如く響いてきた。

「逢いたかったか、キ●ガイども! やり方、わかってるんだろ? いきなり暴れるぞ! ぶっ壊すぞ!」──キリト

WOWWOWで生放送されているにもかかわらず、キリトの物騒な煽りは期待を裏切らない。そして派手な特効に続いてアグレッシヴな「ENEMY」に突入した。アイジと潤がそれぞれ上手と下手のスロープを走り、赤に染まった照明の中、PIERROT初期の代表曲「Adolf」へ。不穏なサウンドや、全員がキリトと同じように腕をクロスさせる一種異様な光景はあの頃と同じだ。続いてステージセットの一部となったいくつものモニターに見る人を心理的に追いこんでいく映像が映し出された「脳内モルヒネ」など、インディーズ時代のナンバーがたて続けに放たれていく。潤のギターシンセの響きが時間を巻き戻し、「トリカゴ」のイントロではひときわ大きな歓声が上がった。

MCも挟まずに多くの人が聴きたかっただろう楽曲を次々に披露した初日のステージでは、不思議な感覚に襲われた人も多かったのではないだろうか。TAKEOのドラムで始まる「REBIRTH DAY」で“再会の日はやがて来る”と歌いながら、両手を広げたキリト。「PURPLE SKY」「COCCON」と思い出がフラッシュバックするような曲が鳴らされていくが、それは決して過去の再現ではなく、今現在を生きている5人のPIERROTである。この“再会”は何を意味しているのか──?

「逢いたかったぞ! 今日の日を迎えてどういう気持ちになるんだろう、といろいろ考えていました。ただ、どうしてだろう。久しぶりという気がしないんですけど(笑)。でも、今日は8年ぶりの奇跡のライヴということで(笑)、生中継も入ってますから、この場で何を言おうか迷ってました。僕もいろんなことを乗り越えて大人になったつもりです(笑)。丸くなったと思います。生中継で取り返しがつきませんから。もう昔のようにヒドイことはしない。ちゃんと言葉を選んで、8年ぶりの再会を思う存分、暴れちゃってもらいたいと思います」──キリト

その舌の根も乾かぬ内にキリトが「覚悟できてるのか!? キ●ガイども!」と叫ぶと、オーディエンスも「やっぱり、そう来たか」とばかりの声援を浴びせ、絶妙のタイミングで「AGITATOR」が投下された。現実と夢の間を彷徨っていただろうオーディエンスは我を失なうほどボルテージを上げていく。TAKEOの胸がすくようなパワフルなドラミング、KOHTAの重厚なベースのフレーズが挑発し、キリトのシャウトが空間を切り裂く。

後半にいくにつれて、熱を帯び、カオスへと突入していく演奏と構成力には何度聴いても唸らされる。ここから“キミは誰よりも美しくグロテスクだ”と歌うPIERROTの最強R&Rであり、ピエラーへの限りない愛がこめられた「ネオグロテスク」へと移行する流れは、初日のハイライトだったと言っていいかもしれない。気づいたらライヴは後半戦に突入していた。火柱が上がる中、個人的に聴きたかった曲のひとつ「ゲルニカ」が演奏され、場内はヘドバンの嵐。赤く染まる空の映像をバックに「MAD SKY -鋼鉄の救世主-」とヘヴィチューンが興奮を加速させていく。

「気の利いた言葉が見つからないので、いつも通りに暴れるだけです。いろんな想いがあるでしょうが、受け止めるのは得意なので、どんどんぶつけてください。そして生中継、どうなってるんでしょう。ちゃんと信号音が鳴ってるんでしょうか(笑)。それも込みでPIERROTということで、こうやってまたこの5人でみなさんに逢うことができました。8年間、止まらずにそれぞれが戦ってきて、今があるからこそ、こうやってこの場でみなさんと逢うこともできたと思ってます。俺たちは生きて、常に前に進んできたから、ここに居られて今があります。これ以上は言いません。ただ行動で見せていくだけです!」──キリト

そう宣言してアイジと潤のカッティングが痛快なPIERROT後期のシングル「MY CLOUD」へ。そして、彼らのライヴで常に高い人気を得ていた「ATENA」では銀テープが降り注ぎ、KOHTAとアイジが向かい合ってプレイ、潤のエキゾティックなギターとスケール感たっぷりのサウンドが彼らならではの景色を作り上げた。本編ラストはキリトが煽り、へし折ったマイクスタンドを肩にかけて歌った興奮度大の「CREATURE」だった。この曲と「ネオグロテスク」は表現方法は異なれど、同じベクトルを持っている。人間の中に潜んでいるクリーチャー(ムリに抑えこんでいる本能や感情など)をひきずり出して、キリトは解放させてきた。それは現代社会の進化によって歪み、鈍化していくものへの警告だったのかもしれない。PIERROTは非常に知的なロックバンドであった。そういうことを改めて感じさせてくれたのが初日のライヴだった。

20時に本編終了。PIERROTを呼ぶ声がどんどん大きくなっていったアンコールはステンドグラスの美しい映像が映し出された「THE LAST CRY IN HADES(NOT GUILTY)」で幕を開けた。ピンクのハナビラとともに初期の切ない名曲「鬼と桜」が演奏され、白い泡の雪がはらはら舞い落ちたバラード「HILL-幻覚の雪-」と続いた2曲はドラマティックな景色を演出した。

「さっきも言ったけど、久しぶりな気がしないな」というキリトから8年ぶりのメンバー紹介に場内が沸いた。

「みんな、楽しんでますか? 特別なこと、うまいことは言えませんが、みんなとここでこうしていることが特別なんだと思います。もっと暴れていきましょう。キミたちは暴れられるはずだ。騒いでいこうぜ!」―TAKEO

「久しぶり。いい光景です。難しいことは考えずに、今、この時間をこの場所をみんなでせいいっぱい楽しめたらと思います」―KOHTA

潤はキリトに「特に黄色い声が大好きな人です。PIERROTギター!」とあの頃のように紹介された。「黄色い声、好きなんですよ。もう1回、聞いちゃおうかな」とみんなの声に耳を傾けた潤は「やっぱり、ハンパねえな、オマエら。この光景、8年ぶりですから。俺だって待ってたよ」と場内からのリクエストに応えて、「オマエら、みんな愛してるぞ、まぁ、明日もあるけどね。でも、今日は今日で最高の夜をオマエらと一緒に。愛し合おうぜ!」と最後はウィスパーで決め台詞。アイジは「特別な気の利いた言葉は言えないんですけどーー、誰も期待してないと思いますけど(笑)。8年経ってこうやってメンバーとピエラーのみなさんがいるという、この現実が全てだと思います。超スペシャルで超奇跡的で。ホントどうもありがとうございます。ここに来たひとりひとり、キミ史上最高のライヴにしてください」と締めた。

そして最後に潤から「久しぶりの紹介で緊張してます。でも、俺が黄色い声だとしたら、この人はドス黒い声で呼んであげてください」と言われたのはキリトだ。「しょっぱなから今日は俺も楽しんでます。さっきから何回も言ってますけど、久しぶりな気がしないのは何でだろうね(リズム隊のほうを向いて)ダブってる?(笑)。気分を害したならすみません(笑)。グッとくる言葉は特にないけど、この5人でみなさんの前に立てるとは僕もずっと思ってなかったし、ホントにありえないことが起こって。5人のメンバーそれぞれが解散から8年間、誰ひとりとして止まらずに第一線を突っ走ってきたから、こうやってまた同じステージに立てるんだと思います。そのことを俺はすごく誇りに思うし、このPIERROTというバンド、改めて心の底から最高のバンドだと思います。今日明日と、僕も夢を見ているようなステキな気持ちで歌っていますが、みなさんもここでいっぱい吐き出してください。(上の客席を見て)すげえ遠くまでいますけど、ちゃんと届いてると信じてますから。“これが聴きたかった!”みたいな曲だったらいいんですけど(笑)、なんせ、いっぱいありますから、立て続けに行きますから。とにかく暴れちゃおうぜ!」

「満月に照らされた最後の言葉」「※自主規制」「蜘蛛の意図」とキラーチューンが続けて演奏され、復活ライブ初日のラストナンバーは、突然の別れを告げることになったライヴで「最後に演奏された曲で締めたい」(2006年、豪雨の日比谷野外大音楽堂でのラスト曲)という言葉の後で、「SEPIA」を。

ひとことでは言い表せないだろう感情を胸に、キリトは濃い時間を共有したオーディエンスに惜しみない拍手を送り、潤とKOHTAが肩を組む光景に拍手が起こった。温かい空気が会場を包む中、“シーッ”と口に指を当てて、生声で「ありがとう!」と叫んだキリトは深々とお辞儀。こうして、8年ぶりの再会となった24日のライヴが幕を閉じた。

取材・文◎山本弘子


■映像作品『DICTATORS CIRCUS FINAL
2014. 10. 24 - I SAID 「HELLO」-
2014. 10. 25 - BIRTHDAY –
at SAITAMA SUPER ARENA』
受注期間:2014/11/25(火)10:00 ~ 2015/1/26(月)23:30
発売日:2015/3/11(水)
【豪華スペシャルBOX仕様(2days全曲完全収録+メイキング映像)】
・DVD(10/24,25 全曲完全収録DVD4枚+メイキングDVD1枚映像 計5枚入)¥20,000+税
・Blu-ray(10/24,25 全曲完全収録Blu-ray2枚+メイキングDVD1枚映像 計3枚入)¥22,000+税
※豪華スペシャルBOX仕様は、両日完全収録(収録曲は通常盤と同様)+BOX仕様ならではのメイキング映像付

■映像作品『DICTATORS CIRCUS FINAL
2014. 10. 24 - I SAID 「HELLO」-
at SAITAMA SUPER ARENA』
受注期間:2014/11/25(火)10:00 ~ 2015/1/26(月)23:30
発売日:2015/3/11(水)
【通常盤(10/24 LIVE全曲収録)】
・DVD(10/24 LIVE全曲完全収録DVD 計2枚入)¥7,800+税
・Blu-ray(10/24 LIVE全曲完全収録Blu-ray 計1枚入)¥8,800+税
01.HELLO
02.PIECES
03.PSYCHEDELIC LOVER
04.ENEMY
05.Adolf
06.脳内モルヒネ
07.トリカゴ
08.壊れていくこの世界で
09.REBIRTH DAY
10.PURPLE SKY
11.COCOON
12.AGITATOR
13.ネオグロテスク
14.ゲルニカ
15.MAD SKY-鋼鉄の救世主-
16.MYCLOUD
17.ATENA
18.CREATURE
[ENCORE]
01.THE LAST CRY IN HADES(NOT GUILTY)
02.鬼と桜
03.HILL-幻覚の雪-
04.満月に照らされた最後の言葉
05.*自主規制
06.蜘蛛の意図
07.SEPIA

■映像作品『DICTATORS CIRCUS FINAL
2014. 10. 25 - BIRTHDAY –
at SAITAMA SUPER ARENA』
受注期間:2014/11/25(火)10:00 ~ 2015/1/26(月)23:30
発売日:2015/3/11(水)
【通常盤(10/25 LIVE全曲収録)】
・DVD(10/25 LIVE全曲完全収録DVD 計2枚入)¥7,800+税
・Blu-ray(10/25 LIVE全曲完全収録Blu-ray 計1枚入)¥8,800+税
01.HEAVEN
02.新月
03.ENEMY
04.Adolf
05.脳内モルヒネ
06.トリカゴ
07.真っ赤な花
08.深い眠りが覚めたら
09.ANSWER
10.PIECES
11.神経がワレル暑い夜
12.ネオグロテスク
13.夕闇スーサイド
14.MAGNET HOLIC
15.MAD SKY-鋼鉄の救世主-
16.薔薇色の世界
17.ATENA
18.クリア・スカイ
[ENCORE ]
01.ラストレター
02.BIRTHDAY
03.SUPER STRING THEORY
04.ドラキュラ
05.SEPIA
06.HUMAN GATE
07.CHILD
[W.ENCORE ]
01.蜘蛛の意図

<購入方法>
01).HMV ONLINE
PC http://www.hmv.co.jp/pr/pierrot
MOBILE http://m.hmv.co.jp/pr/pierrot

02).全国のローソン/ミニストップに設置されている店内端末「Loppi」ローソン・ミニストップ店内
Loppi端末TOP・「各種番号をお持ちの方」ボタンより、ご希望商品の商品番号を入力し、手続き完了後、店内のレジにて30分以内に商品代金のお支払いをして下さい。お渡し日以降にお申し込み店舗でのお渡しとなります。
【豪華スペシャルBOX仕様】[DVD] 111778 / [Blu-ray] 113600
【通常盤(10/24 LIVE全曲収録)】[DVD] 128234 / [Blu-ray] 138099
【通常盤(10/25 LIVE全曲収録)】[DVD] 138174 / [Blu-ray] 139876

03).HMV店舗
PC http://hmv.co.jp/st/list/
MOBILE http://m.hmv.co.jp/8_100

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