【インタビュー】西野カナ、『with LOVE』発表「たった10秒の気持ちの揺れを1曲に」
西野カナのニューアルバム『with LOVE』が11月12日に発売となる。2008年のデビュー以降、オリジナルアルバムとしては通算5枚目、2013年にリリースされた2枚のベストアルバムを含むと7枚目となる作品の完成だ。
◆「好き」「Darling」MV short ver.
「みんなの日常にそっと寄り添うようなアルバムにしたい」との想いが込められた『with LOVE』は、リアルな恋愛観に焦点を当てた全14曲を収録。現在ロングヒットを続けている「好き」や「Darling」をはじめ、NHKドラマ10『ガラスの家』主題歌「さよなら」、TVドラマ『花咲舞が黙ってない』主題歌「We Don’t Stop」などLOVEに溢れたナンバーの数々が心を温めてくれる。2015年春からは全国11会場18公演、20万人規模におよぶアリーナツアー<with LOVE tour>を開催する西野カナに、アルバム『with LOVE』収録全曲について話を訊いたインタビューをお届けしたい。
■25歳の今のほうが、素直に誰かを好きになることがとても貴重で
■ものすごい出来事のように感じる
▲『with LOVE』初回生産限定盤 |
西野:はい。このアルバムは、どの曲も日常から切り取った曲ばかり。これまでのアルバムよりも、より“そばにいる”“近いところで応援しているよ”というメッセージを込め、『with LOVE』というタイトルにしました。
──たしかに、今作では、より“1対1”の世界観を強く感じました。
西野:前作『Love Place』では“帰って来る場所”になるようなアルバムにしたんですが、今回は、聴いてくれる人たちにそのままついていっちゃう感じ(笑)。どんなときでも聴けば元気になれるような、そんな1枚にしたかったんです。
──毎回、アルバムの最初にその世界観を表現するかのような「*Prologue*~You & Me~」は、とてもドリーミーで優しい曲ですね。
西野:歌詞もアイスティーやブラックコーヒーなど、毎日触れるようなものや身近にあるもの、2人の行動などを詰め込んでいるんです。なんでもない時間の中に一緒にいる2人なんだけど、そもそもそこに一緒にいられること自体が奇跡。だからこそ、これからも一緒にいようねというシンプルだけど大事なメッセージが詰め込まれているんです。
──そして、ありふれた、でも大切な幸せを描いた「Darling」が2曲目となり、3曲目の「恋する気持ち」に続きます。この曲は先行シングルとなった「好き」のシチュエーションと似ていますよね。
西野:そうですね。「好き」は、今まで恋愛モードで見ていなかった異性をいきなり意識してしまう瞬間を歌っているんですが、「恋する気持ち」は、恋をしたことを自覚して、これからどうなっていくんだろうとワクワクしている心境を歌っているんです。
──“まさか私の顔に“好き”なんて書いてないかな?”“二人でどこかへ出かけようなんて誘われないかな”と、1人でつぶやくような歌詞がこれまでにないくらいナチュラルでかわいくて!
西野:完全に独り言ですよね(笑)。でも、私自身、友達同士の会話や独り言で普段からこの言葉をよく口にするんです。妄想したことを、そのまま歌詞にしている感じなんですよね(笑)。
──でも、この曲を18歳のカナちゃんと、25歳になったカナちゃんが歌うのでは、まったく違う印象を受けると思うんですよ。
西野:それは分かる気がします。18歳のときより25歳の今のほうが素直に誰かを好きになることがとても貴重で、ものすごい出来事のように感じるんです。とはいえ、恋に落ちた瞬間って、年齢関係なくピュアな気持ちになることを改めて感じたんですよね。歌っているだけでもワクワクするし、ライブで盛り上がりたい曲になりました。
──そして等身大の女性を歌った「We Don't Stop」の次は、その勢いを継ぐ「Love Is All We Need」。この曲はカナちゃんが好きなR&Bのラインですよね。
西野:はい。この曲は失くしたピアスがみつかったとか、靴はこれがいいとか、本当に小さなどうでもいいことばかりが歌詞になっているんです(笑)。
──あはは。でも、女の子ってそういったどうでもいいことが一番大事だったりしますよね。
西野:そう! このピアスじゃなかったら絶対にイヤなときもあるし、あの靴じゃないとコーディネートが決まらないから、絶対に履きたいと思うときがあるし。それがちゃんとフィットしただけで一日がとても素敵になるんですよね。そんな小さな日常の中にも“LOVE”はあるというメッセージをエッセンスとして入れ込んだ曲でもあるんです。
──“大事なものはちゃんとあるでしょ 理由は探さなくても”というフレーズに、何度もうなずきました。
西野:そうなんですよね。好きなものに理由は必要ない。ただ、好きと思うことが大事なんですよね。
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