【インタビュー第二弾】FUTURE BOYZ、シーンの最先端を行くファッションを浮き彫りに

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沖縄出身のiamSHUM(シュン)、thisisWAYNE(ウェイン)の2人によるEDMシンガーデュオFUTURE BOYZ。9月24日にリリースされたデビューミニアルバム『TOKYO STYLE』は、Andrew UnderbergやDave Audeなどの著名なクリエイターが参加。また音楽だけではなく、クラブファッション、カルチャーを牽引するユニットとしても注目されている。前回は『TOKYO STYLE』の詳細、FUTURE BOYZの音楽的・芸術的なバックボーンを掘り下げるインタビューをお届けしたが、今回は、彼らのファッションについて深く読み解いていこう。LADY GAGAが来日の際は必ず立ち寄るセレクトショップとして知られるFAKE TOKYOのチーフディレクター・柳翔吾氏にも参加いただき、音楽、ファションをも含めたトータル・アイコンとしてのFUTURE BOYZを浮き彫りにする。

◆FUTURE BOYZ~拡大画像~

■FASHION FUTURE BOYZ×FAKE TOKYO(柳翔吾)

 ▲柳 翔吾 氏
──ここからは現在はビジュアルプロデュースを手掛けているFAKE TOKYOの柳翔吾さんにも加わっていただいてお話を聞こうと思います。FUTURE BOYZは衣装にもこだわっていますよね。音楽とファッションを融合させて、カルチャーまでも巻き込んで行こうという姿勢が伺えます。

thisisWAYNE:衣装に関しても、見せ方、表現方法の一つという感じです。さっきも言ったように、Something Newというのが根底にあって、その中で、ファッションと音楽って近いところにあると思うんです。僕らが新しいことをしようとしている人たちを探しているときにFAKE TOKYOと出会って、話をしていくうちに、FAKE TOKYOが考えていることや未来像に感銘できたので、ぜひ一緒に何かを作って、そこから化学反応で良いものが生まれたらいいなぁというのがきっかけだったんです。アイテムそれぞれはもちろんですが、スタイリングにもこだわっています。僕たちはこういう風にしたいんですっていう意図も汲んでもらいつつ、FAKE TOKYOには新しい提案もしてもらって、相乗効果で良くなって行くというのが一緒にやっていて楽しいですね。

──自分たちからもアイデアを出すんですね。

thisisWAYNE:そういう時もありますし、柳さんから「こういうのがFUTURE BOYZらしいと思うんだけど」っていう時もあります。例えば<a-nation>なら、ステージも大きいのでハデハデなやつをお願いしたり。

──柳さんはFUTURE BOYZのビジュアルプロデュースをするにあたって、どんなイメージを持って進めているんですか?

柳翔吾(以下、柳):まずはFUTURE BOYZっていうグループの名前からキーワードをいろいろと汲み取って。彼らのやってる楽曲や活動が新しいものだったり、あるものをエディットして、新しい価値観で満たしてくれるスタイルだと思うんです。僕らのFAKE TOKYOっていうお店も、そういうスタイルのファッションバージョンというか。彼らと同じようなスタイルでファッションを提案しているので、そこを結びつけながら、彼らのキャラクターに合わせて、その時、その場所、どういう人が見てくれるのか、そういうのを考えながらエディットして衣装を考えるようにしています。一個の大きな軸を決めてから、そこから派生させてブランドを選んだり、スタイルを作り上げています。

──FUTURE BOYZの2人にただ着てもらうというだけではないわけですね。

柳:そうですね。今までのアーティストの衣装っていうものは、どちらかからの一方通行っていうか。アーティストが求めているものをスタイリストが集めて着せましたってことだったり、逆に意思のないアーティストだったら、スタイリストが着せたいものを着せましたってなるわけじゃないですか。この一方通行感が、いろんなアーティストのビジュアルや、こういう取材を見ても感じている部分だったんです。だから、もうちょっと双方の提案したいものをシンクロさせて打ち出したいという思いがありました。

──FAKE TOKYO自体も服にメッセージが込もっているという考え方をしているのが、洋服のセレクトからも伝わります。

柳:そうですね。お店に置いてある洋服のセレクトも、ただブランドを仕入れているだけではお店の色も出ないので。服に意味合いを持たせたり、そこに僕らなりのメッセージだったり、ストーリーを加えて行かないとファンもついて来ない。そういうことも含めて、僕らはうまくアーティストに落とし込めたらと思っています。

──ファストファッションとは明らかに考え方が違いますね。

柳:はい。そういう意味でも本物志向というか。FUTURE BOYZも音楽に対してはそういう部分がすごく強いと思うんです。僕らはファッションの部分で、そういうところにポリシーを持ってやっているんです。そういった意味で共感できる部分もあるし、逆に一緒に意見を出し合ったりして、クロスオーバーすることによって新しい価値観が生まれることもあると思う。さらにパワーを増して、世の中に対してのメッセージも大きく提案できるんじゃないかと。FAKE TOKYO、FAKE SHOWROOMとしては、こういった形でアーティストの方と取り組むのは初めてのことなんです。

iamSHUM:FAKE TOKYOがアーティストと組むのは初めてっていうのを最近僕たちも知って、すごく嬉しかった。お互い、初めて同士だったら出来るところまでやりたいし、ライヴとファッション、アーティストとファッションって切っても切り離せないものだから、ここでコラボをするということは、FUTURE BOYZにとっても面白いことでもあります。僕らのデビュー作のタイトルが『TOKYO STYLE』ですから、FAKE TOKYOとは「TOKYO」つながり(笑)。縁も感じますね。

柳:iamSHUMの言うように、音楽とファッションって切り離せないんだけど、意外と結びついているようで結びついてないっていうのが日本のシーンなんです。そこを結びつけてエンドユーザーに見せて行きたい。シーンとして、もっと音楽とファッションがクロスオーバーしている感じがリアルに肌でわかるようにしたい。聴く人にも観る人にも。そこが今まで一方通行で、聴く人と観る人は別々だったと思うんです。それを一緒の空間、世界観で表現したいし、今、新しい出し方だと思うんです。ファッションサイドからしても新しいアプローチだし、音楽サイドからしても新しいアプローチなんじゃないかと。

──その昔、ヴィヴィアン・ウエストウッドやBOY LONDONがスタートしたときは、音楽とファッションってとても密接でしたからね。それでカルチャーができて行くという時代もかつてありましたが、それを最新のやり方で見せてくれるわけですね。

柳:彼らに合いそうなブランドがあれば、そのブランドとFUTURE BOYZで何かやってみるのも良いと思うんです。そういうことからシーンって生まれると思うので。リアリティも出てきますし。僕らは世代が同じなんですよ。世代が離れていると価値観が違う部分も出てくると思うんですが、「なんかわかるよね!」みたいなところが共通してあるんです。音楽とファッションは別だし、好きな物は違ってるんだけど、感覚的に好きなものが近い。僕ら世代の新しいアプローチの仕方っていうのを、僕はファッションをキーワードにやっていきたいんです。

iamSHUM:世代って大事かもしれないですね。柳さんと僕らは年も近いし。この前、居酒屋で話したときも見てたマンガややってたゲームが一緒でしたもんね(笑)。ルーツは違うけど、同じ時代を生きてる同士がこうやって一緒に何かをできているということにやりがいを感じます。

──今日の衣装はどういう観点で選んだんですか?

柳:今回の取材に対しての気合いを入れてという意味も込めて、しっかりと似合うもの、彼らのメッセージが伝わるような服をということで。これはPLASTICTOKYOっていうブランドのものなんです。グラフィックがモダンなんですが、このグラフィックの中にストーリーやメッセージがすごく詰まっていて強い。そういうバックグラウンドが彼らの音楽性ともすごく合っているんじゃないかなぁと。共通のキーワードとして合うものが実際にあると、着てもらった時にハマるんですよね。彼らのキャラクターも徐々に作ってきているんですが、thisisWAYNEはクールでインテリジェンスな部分を持っているキャラクターで、iamSHUMはアクティヴで攻撃的なイメージ。細かいところなんですが、そういうキャラクターによってのボトムスの差別化だったり、首元の開き具合だったり。そういうところにキャラクターも出てくると思うので、そこらへんも意識しています。

──でも統一感もあるんですよね。

柳:そう。徐々に2人のイメージができてくると、そのイメージに固執してくると思うので、要所要所でスタイリングのイメージを変えて行きたいと思っているんです。常にグラフィカルなものを見せるとかではなくて。もっとファッションのスタイルの幅は広げていきたいと思っています。ライヴでも、野外のときとクラブの時では変えていきたいし、インタビューの時とムービーでは変えて行きたい。PVとアーティスト写真でもイメージを変えて、振り幅は広げて。日本のアーティストって、いろんな部分で流用すると思うんですが、それはもったいないじゃないですか。ファッションってイメージなので、パッと見た時のイメージで、そのアーティストの印象って決まっちゃうし、音楽性も決まっちゃう。それを近づけたり、崩したりっていうのが僕の役割なのかな。そこを僕らなりに考えながら、コミュニケーションをとって同じ方向を向いていければと思います。


──音楽に関しても「FUTURE BOYZは振り幅広く」と2人が言っていましたが、ビジュアルでも考え方は一緒なんですね。

柳:そうですね。もちろん軸は崩さないというのは一番にありますけどね。これでいきなり着物を着てたらわけわからないですから(笑)。でも、そこに何か元々の軸にメッセージがあったり、着物だけどFUTURE BOYZだよねっていうのがわかるものがあれば別だと思うんです。そこは大事にしなきゃいけない。コアな部分は崩さず、でも振り幅は広げて行く。で、音楽のスタイルに合わせてファッションを伝える。もしかしたら、その逆の場合もできるようになるかもしれない。そうなってくるとさらに面白い見え方になるかもしれない。そういう可能性は今後の活動を通して、僕らからも提案していきたいと思っています。

──しかも、2人とも着こなしますからね。

柳:そう。身長もあるので。ヒョロっとしているアーティストさんが多い中、結構ガッシリしているので、ビジュアルとしても着た時の絵面が良いので着せがいがあります。

thisisWAYNE:僕らもやっていて楽しいです。

iamSHUM:FAKE SHOWROOMに来るとすごく楽しいんです。この前も、<a-nation>の衣装をチェックするときに、めっちゃド派手な衣装がたくさんあったんです。「誰の衣装ですか?」って聞いたら、「今日、レディー・ガガが来るから」って。ここに来るとすごい刺激や発想をもらえます。

取材・文●大橋美貴子
interview at FAKE SHOWROOM
Styling by Shogo Yanagi [FAKE SHOWROOM (FAKE TOKYO)]
Hair & Makeup: KenKen


▲これまでの主なアイテム(クリックで~拡大画像~へ)。

【撮影当日の着用リスト】
■iamSHUM
ジャケット:PLASTICTOKYO /FORMULA ZIP UP BLUZON / ¥46,440
トップス:NO-BRAND / メッシュタンクトップ/参考商品
パンツ:PLASTICTOKYO /FORMULA HARF PANTS/ ¥24,840
レギンス:NO-BRAND/フェイクレザーレギンス/参考商品
シューズ:REAL ARMY SHOES /レースアップコンバットブーツ /参考商品
グローブ:NO-BRAND/参考商品
サングラス:本人私物
ネックレス:NO-BRAND/参考商品

■thisisWAYNE
トップス:PLASTICTOKYO /FORMULA SWEAT /¥23,760
腰に巻いたシャツ:PLASTICTOKYO/GRAPHIC SHIRT /¥28,080
パンツ:BLK DNM:¥26250
シューズ:NIKE / Air Raid “University Red”2014 / ¥19,800
サングラス:本人私物
ブレスレット:NO-BRAND/参考商品


[ミニアルバム]
『TOKYO STYLE』(MINI ALBUM)
2014-09-24発売
AVCD-38963 \1,620(税込)
DISC 1
01 Welcome To The Party
02 If There Was No You
03 TOKYO STYLE feat Dave Aude, VASSY
04 Best Night Of Your Life
05 FUTURE PARADE

柳 翔吾 (やなぎ しょうご)
FAKETOKYO Chief Director /フェイクトーキョーチーフディレクター
1F CANDY / 2F Sisterからなる複合ブティック FAKE TOKYOのチーフディレクターとして企画・運営を行う。また国内外の新鋭ブランドを中心にPR・セールスの他、ファッションプロデュースのセクションとして機能するFAKE SHOWROOMのディレクターとして、ブランドのみならずアーティストの衣装ディレクション・プロデュース等も行う。

FAKE TOKYO

FAKE TOKYOは、渋谷・センター街から国内外の新鋭ブランドを中心に、コレクションブランドまで扱い独自のファッションスタイル・感性でアプローチする1F CANDYと、国内外のデザイナーズブランドやオリジナルブランドをセレクトするブティックスタイルで「女性の本意」をコンセプトに展開する2F Sister からなるファッションスポット。イベント運営や、ショーディレクション、エキシビジョン等、セレクトショップの枠にとらわれない活動で独自のファッションセンスを提案する。国内外のファッションアイコン・クリエイターの来店があり、LADY GAGA・RIHANNA・KANYE WEST・JUSTIN BIEBER ・BIGBANG等も来店する。

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