【対談】横山健×MINORxU監督、「横山健だからできるんじゃなくて、やるから横山健なんだ」
横山健が9月24日、ドキュメンタリーフィルム『横山健-疾風勁草編-』をDVD化リリースする。『横山健-疾風勁草編-』は2013年秋に全国60の劇場で計3万人を動員した作品であり、2009年11月から2013年2月まで撮影が行われた映像は横山健が自身の言葉で語り尽くすドキュメンタリー。自身の生い立ちから、東日本大震災以降に復活したHi-STANDARDと<AIR JAM>の裏側などがリアルな言葉で収められている。
◆横山健 画像
その映像は、2011年に横浜で開催された<AIR JAM 2011>のシーンから始まる。すでに映画館で同作をご覧になった方は冒頭部に驚きを禁じ得なかったはずだ。「複雑な気分」「全部台なしにしちゃった気持ち」と同公演直後に告白しているのだから。ソロの足跡を追ったこのドキュメンタリーは当初、アルバム『Four』制作や2010年10月のイベント<DEAD AT BAYAREA>までを記録する予定だったという。しかし、東日本大震災発生によってこの作品は、Hi-STANDARDの再結成、<AIR JAM>開催などに至る葛藤や苦悩、そして決断が生々しく刻まれることとなった。そのすべてに密着した映像監督がMINORxUだ。BARKSは『横山健-疾風勁草編-』DVD化にあたって、横山健とMINORxUの対談を掲載する。撮影中の横山健、監督とのやりとり、今だから語れる同作の見どころ。45歳の横山健をこれほどまでにリアルに表現した作品について2人が語る対談をお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■撮影が必要ないときは監督は来ないんですけど
■「なんでアイツ、いないんだろう?」って(笑)──横山健
──まず、お二人の付き合いは長いんですか?
横山:この作品を撮るために会ったという感じですね。実を言うと、彼が撮った作品をたまたま観て気に入って、「僕のドキュメントを撮ってよ」とお願いしたのが始まりなんですよ。それが2009年の夏。で、それに加えて、在籍時期は違ったものの、同じ高校だったことがわかり(笑)。育った環境がお互いに見えたというか、それがグッと距離を縮める要因のひとつでもあったよね。
MINORxU:そうでしたね。特に、僕の方がそれは強かったかもしれないです。
──MINORxUさんは健さんにどういったイメージを抱いていましたか?
MINORxU:PIZZA OF DEATHの社長であり、Ken Yokoyamaであり、Hi-STANDARDであり、というのは当然ですけど、僕は横山さんのコラム(『横山健の別に危なくないコラム』)をわりと読んでいたんです。もしかすると、音楽よりもコラムを通して、表現者として興味を持っていたかもしれないぐらい。
横山:そうなんだ?
MINORxU:そうですね。コラムを通じて、自分が共感することもたくさんあるし、訊きたいこともたくさんある高校の先輩っていう(笑)。
横山:はははは(笑)。
──今回、DVDという形でリリースはされますが、映画自体は2013年11月に公開されました。いろんな反響を目にしたり耳にしたりしたかと思いますが、ご自身にはどのように届きました?
MINORxU:僕は、メロディックパンクのシーンよりも、もうちょっとアンダーグラウンドなパンクシーンの友人が多くて、そういう人たちが、このドキュメンタリーを通して、より横山さんに興味を示してくれたことが嬉しかったですね。
横山:あれだけ赤裸々に語ったので、マイナスなことを言われる覚悟もしてたんですけど、実際は全然なかったですね。それは、監督がそう編集してくれたんだと思う。“揚げ足をとられるかな?”と思ったところも、具体的に対になるわけじゃないけど、補った部分を監督が付けてくれたし。
──赤裸々と言えば、いきなり冒頭で、<AIR JAM2011>に対するボヤキから始まりましたが?
横山:あちこちで話してることではあるんだけど、あのときは撮られてると思ってなかったんですよ。っていうのは、監督がそういう撮影方法なんで。なんて言うかな……、“あの人、いつもあのカバンを背負ってるよね”っていうのと同じ感覚でカメラを持ってるから、監督が。あのときもそんな感じでね。監督とは本当に一番近い友達になってたから、その友達にボヤいてたところを撮られてたっていう。
MINORxU:手法として、なるべくカメラの存在を感じてほしくないっていうのがあったんです。それをずっと重ねた結果、ああいうのが撮れたのかなって。
横山:監督が撮り始めた当初、アルバム『Four』のレコーディングのときぐらいは「カメラがいるな」っていう意識がありましたけど、それを超えちゃったらもう。監督もツアーのクルーになっていったんで。
MINORxU:アルバム『Four』のツアーでは半分ぐらい運転してましたね(笑)。
──外部の人ではなく、内部スタッフの一員ですね(笑)。
横山:だから、撮影が必要ないときは監督は来ないんですけど、それが不思議に思えちゃうんですよね。「なんでアイツ、いないんだろう?」って(笑)。
MINORxU:はははは(笑)。
横山:それぐらいの近さになってたんで、いつ撮られてるのかもさっぱりわからなかったし。
──当初、アルバム『Four』のロードムービーとして撮影を始めたところ、震災が起こり。それによって作品内容の変更は、パッとイメージが浮かんだのでしょうか?
MINORxU:お互い、そういう気持ちになったと思うんです。もちろん、発売予定時期とかいろんな問題はあるだろうけど、僕は、できれば撮り続けたい。そういう意志を伝えたら、横山さんも“やろう!”って。PIZZA OF DEATHの人たちもそうですけど、どこからともなくというか、やるべきという空気感もあったし。
横山:そこはインディーの良さだよね。
MINORxU:そうですね。
横山:普通の企業だったら、この期間にいくらの予算を使って、ここで回収するっていうのを考えるじゃないですか。僕たち、幸か不幸か、ちょっとそこが希薄なんです(笑)。だから、凄く自然なことでしたね。
MINORxU:ただ、その時点でどういう内容にするかは、決まってなかったんです。それこそ、Hi-STANDARDが動くことも僕はすぐに知ったわけではなかったし。まずは撮らなきゃいけないっていう思いだけだったと思います。いろんなことが目まぐるしく動いてもいったし、記録することにも意味があるだろうし。
横山:だから、ホントにドキュメンタリーだと思いますよ。
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