【イベントレポート】エディ・ジョブソン、貴重なエピソードを披露
2014年7月20日、エディ・ジョブソンの来日スペシャル・ファン・イベントが行われた。東京駅から徒歩5分のGibson Brands Showroom TOKYOで行われたこのイベントは、2013年11月に行われた日本公演を収めた『U.K.特別公演『憂国の四士』『デンジャー・マネー』完全再現ボックス』、『デビュー40周年記念特別公演ボックス』のプロモーションに伴うものだ。
◆エディ・ジョブソン画像
世界最速公開となるライブ映像プレビューをエディと共に目撃できたのは、最速予約をしたファンとファンクラブのメンバーからなる全3回のイベント出席者、各回50人で延べ150人のみ。エディとの質疑応答を含む、それぞれ1時間半の濃密なイベントとなった。
この日、会場の大スクリーンで上映されたのは、UK公演からの「ジ・オンリー・シング・シー・ニーズ」と、40周年記念ライブから「メタモルフォシス」。それぞれジョン・ウェットン、ソーニャ・クリスティーナ(カーヴド・エア)のボーカル、そしてエディとアレックス・マハーチェク(G)、マルコ・ミネマン(Dr)らが繰り広げるインストゥルメンタル・バトルを、マルチ・カメラ/トラックであますところなく収録している。
会場からどよめきが洩れたのは、その映像美だ。10台のカメラがあらゆるアングルからメンバー達のプレイを追いかけ、ハイヴィジョンで映し出す。エディ自身も「もっとキーボードやバイオリンをきれいに磨いておくべきだった。指紋の汚れまでくっきり見えてしまうよ」と苦笑するほどの高画質は、まるで最前列、いやステージの真っ只中にいるかと錯覚する臨場感だった。
もちろん音質も申し分なく、GIBSON / ONKYO / TEACの3社共同による最高級システムで堪能するサウンドは、迫力に満ちたものだ。両ボックスから1曲ずつのワールド・プレミアだったが、早く全編を見たい!と思わせるものだった。音楽への妥協のないアプローチゆえか、必ずしもファン・サービスというイメージがなかったエディだが、この日は積極的にファンと交流している。最初に挨拶をした後、一度も楽屋に戻ることなく、試写中もファンと一緒に映像に見入っていた。また、Q&Aでもひとつひとつの質問に耳を傾け、その40年以上におよぶキャリアから貴重なエピソードを披露しながら、懇切丁寧に答えていく。
なおイベント第1回のQ&Aはおおよそ、こんなものだった(実際の答えはこの数倍の長さだった!)。
Q「プロフェッショナルとアマチュアの違いは?」
A「プロとアマは意識の持ち方が違う。音楽はもちろん機材やビジネスにも気を配る必要がある。技術面では、リズムとタイミングのセンスが重要だ。来日公演のメンバーは、自分がプレイしてきた中でもトップ・レベルのセンスを持っていた」
Q「1980年代にテレビCMの音楽を手がけるようになったのは、キャラの強すぎるミュージシャンと一緒にやることに疲れたから?」
A「それもあるけど(笑)、それだけではない。私は16歳のときに音楽を始めて、24歳のときにはもう“オールド”になっていた。1980年代、私が音楽シーンから離れたのではなく、シーンが私から離れていったんだ。私はプログレッシヴ(進化を続ける)なミュージシャンでありたかったから、作品を作り続けた。『テーマ・オブ・シークレッツ』(1985)を聴いた広告業界がアプローチしてきて、GEやアムトラックのTVCM音楽を手がけた。そして気がついたら30年が経っていたんだ」
Q「カメラワークは自分でも考えた?」
A「すべて日本のスタッフによるもの。ライブ映像を見ていて、自分も楽しかった。特に「メタモルフォシス」は1973年以来、初めて演奏したので感慨深かった」
Q「国や文化によってリズム感は異なると思いますが…」
A「あらゆる音楽は“サブカルチャーのサウンドトラック”。ただ、プログレッシヴ・ロックは西洋クラシック音楽を軸にしていて、サブカルチャーから独立している」
ちなみに第2回・第3回の質疑応答でもロキシー・ミュージック時代の逸話やジェスロ・タルのアルバム『A』(1980)に関する質問が飛び交うなど、マニアックな交流が図られていたという。
そして最後にサイン&握手会が行われたが、こちらもファンがレアな廃盤レコードやポスター、パンフレット、キーボード(!)などを持参、エディが目を丸くして驚く光景も見られた。彼はサインと握手だけでなく、一人一人と会話を交わし、和やかに時間が過ぎていく。自分の番が終わったファンもサイン&握手会が終わるまでその場に留まり、彼の姿を見守っていた。
最後にエディは盛大な拍手を送られて退場する。音楽に対し妥協を知らないアーティストが、ファンに対しても真摯な姿勢で向かい合う姿を見せたイベントだった。
なお本イベントやエディ・ジョブソン来日時の模様は、8月2日(土)/8月9日(土)26時(AM2時)から放送予定のBSフジ『伊藤政則のロックTV!』内でも紹介される。
取材・文:山崎 智之
『エディ・ジョブソン~U.K.特別公演『憂国の四士』『デンジャー・マネー』完全再現ボックス』
1.闇の住人(『憂国の四士』U.K.1978年)
2.光の住人(『憂国の四士』U.K.1978年)
3.闇と光(『憂国の四士』U.K.1978年)
4.若かりし頃(『憂国の四士』U.K.1978年)
5.アラスカ(『憂国の四士』U.K.1978年)
6.時空の中に(『憂国の四士』U.K.1978年)
7.ソーホーの夜(『憂国の四士』U.K.1978年)
8.瞑想療法(『憂国の四士』U.K.1978年)
9.デンジャー・マネー(『デンジャー・マネー』U.K.1979年)
10.ランデヴー 6:02(『デンジャー・マネー』U.K.1979年)
11.ジ・オンリー・シング・シー・ニーズ(『デンジャー・マネー』U.K.1979年)
12.シーザーズ・パレス・ブルース(『デンジャー・マネー』U.K.1979年)
13.ナッシング・トゥ・ルーズ(『デンジャー・マネー』U.K.1979年)
14.キャリング・ノー・クロス(『デンジャー・マネー』U.K.1979年)
15.ウェイティング・フォー・ユー(アルバム未収録)
16.ナイト・アフター・ナイト(『ナイト・アフター・ナイト』U.K.1979年)
17.アズ・ロング・アズ・ユー・ウォント・ミー・ヒア(『ナイト・アフター・ナイト』U.K.1979年)
*セット内容は随時更新予定
・高画質ハイビジョン ライブ映像(エディ・ジョブソン自ら手掛けたサラウンド音源を収録)
・2枚組ライブ プラチナSHM-CD
・伊藤政則により長編ヒストリーインタビューDVD(後編)*前編は40周年公演ボックスに封入
・オリジナルTシャツ(S/M/L/XL)
・エディ・ジョブソン本人による全曲解説書(日本語訳付き)
・フォトブックレット
・レプリカ VIPパス
エディ・ジョブソン(キーボード / エレクトリック・ヴァイオリン)
ジョン・ウェットン(ボーカル / ベース)
アレックス・マハーチェク(ギター)
マルコ・ミネマン(ドラムス)
『エディ・ジョブソン~デビュー40周年記念特別公演ボックス』
1.イントロ
2.アーミン(『エア・カット』カーヴド・エア 1973年)
3.今日は突然に(『エア・コンディショニング』1970年)
4.U.H.F.(『エア・カット』カーヴド・エア 1973年)
5.エルフィン・ボーイ(『エア・カット』カーヴド・エア 1973年)
6.メタモルフォシス(『エア・カット』カーヴド・エア 1973年)
7.アウト・オブ・ザ・ブルー(『カントリー・ライフ』ロキシー・ミュージック 1974年)
8.レザー(『レザー』フランク・ザッパ 1996年)
9.プレスト・ヴィヴァーチェ(『憂国の四士』U.K.1978年)
10.闇の住人(『憂国の四士』U.K.1978年)
11.光の住人(『憂国の四士』U.K.1978年)
12.闇と光(『憂国の四士』U.K.1978年)
13.ランデヴー 6:02(『デンジャー・マネー』U.K.1979年)
14.キャリング・ノー・クロス(『デンジャー・マネー』U.K.1979年)
15.アラスカ(『憂国の四士』U.K.1978年)
16.レジデント(『ザ・グリーン・アルバム』エディ・ジョブソン&ズィンク 1983年)
17.フー・マイ・フレンズ…(『ザ・グリーン・アルバム』エディ・ジョブソン&ズィンク 1983年)
18.プレリュード(『ザ・グリーン・アルバム』エディ・ジョブソン&ズィンク 1983年)
19.ノスタルジア(『ザ・グリーン・アルバム』エディ・ジョブソン&ズィンク 1983年)
20.スフィア・オブ・インフルエンス(『テーマ・オブ・シークレッツ』エディ・ジョブソン 1985年)
21.インナー・シークレッツ(『テーマ・オブ・シークレッツ』エディ・ジョブソン 1985年)
22.ラディエーション(『ラディエーション』UKZ 2009年)
23.ヒューストン(『ラディエーション』UKZ 2009年)
24.TU-95(『ラディエーション』UKZ 2009年)
25.スルー・ザ・グラス(『ザ・グリーン・アルバム』エディ・ジョブソン&ズィンク 1983年)
26.ヤング・マザー(『セカンド・アルバム』カーヴド・エア 1971年)
27.シーザーズ・パレス・ブルース(『デンジャー・マネー』U.K.1979年)
28.フォーエヴァー・アンティル・サンデー(『ワン・オブ・ア・カインド』ブルーフォード 1979年)
*セット内容は随時更新予定
・高画質ハイビジョン ライブ映像
・2枚組ライブ プラチナSHM-CD
・伊藤政則により長編ヒストリーインタビューDVD(前編)*後編はU.K.特別公演ボックスに封入
・オリジナルTシャツ(S/M/L/XL)
・エディ・ジョブソン本人による全曲解説書(日本語訳付き)
・フォトブックレット
・ミニチュア レプリカ パンフレット
エディ・ジョブソン(キーボード / エレクトリック・ヴァイオリン / ボーカル)
アレックス・マハーチェク(ギター)[M1-M4/M6-M12/M15-M17/M22-M28]
リック・フィエラブラッチ(ベース)[M1-M9/M15-M17/M22-M26/M28]
マルコ・ミネマン(ドラムス / アコースティック・ギター)[M1-M4/M6-M17/M22/M24-M28]
ソーニャ・クリスティーナ(ボーカル / アコースティック・ギター)[M2-M6/M26]
ジョン・ウェットン(ボーカル / ベース)[M10-M14/M27]
アーロン・リパート(ボーカル)[M7/M17/M22-M23/M27]
◆『エディ・ジョブソン~U.K.特別公演『憂国の四士』『デンジャー・マネー』完全再現ボックス』レーベルサイト
◆『エディ・ジョブソン~デビュー40周年記念特別公演ボックス』レーベルサイト