【インタビュー】WEAVER、映画『百瀬、こっちを向いて。』主題歌シングルとロンドン留学生活を語る

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青春が青春たる理由を集めたら、そのままこの曲になりそうだ。現在公開中の映画『百瀬、こっちを向いて。』の主題歌として制作され、リリースされたWEAVERのニューシングル『こっちを向いてよ』。クリアなメロディと伸びやかなヴォーカル、そしてどこか埃っぽいサウンドが、瑞々しい青春の揺らぎをまるごと表現している。今回はこのシングルについてはもちろん、1月からロンドン留学をしている3人の生活についてもたっぷりと話を聞いた。

◆ストーリーの中にも自分たちの学生時代とリンクする部分がたくさんありますし、
そういう意味では、映画のための曲とはいえ僕らのリアルな想いもちゃんと込められました


──ようこそ日本へ(笑)。

杉本:どうも、来日しました(笑)。

──ロンドンでの留学生活も4ヶ月が過ぎましたが、楽しんでいますか?

河邉:すごい楽しんでます。

奥野:まさに学生生活をしてますよ。語学学校に通っているんですけど、朝7時に起きて、だいたい9時過ぎから授業が始まるんです。3人それぞれ学校が違うんですけどね。

杉本:住んでいるところもバラバラで。

──なるほど、メンバー同士でつい甘えてしまう環境をなくすところから。

河邉:だから、普段何しているか、互いによく知らないんです。

杉本:もしかしたら、金髪の女の子と仲よくしてるかもしれないしね(笑)。

奥野:という願望を抱きつつ(笑)、それぞれに交友関係を築くというのがまず目標なんですよ。それでも週に数回はスタジオに入って練習したり、曲を作ったりしてるので、顔は合わせてるんですけどね。

杉本:そのスタジオに入るのも、最初はすごく大変だったんですよ。予約をするところからスタートでしたから。ここがいいなと思っても、予約が電話でしかできなかったりして、どうしよう!? って。

──誰も助けてくれない環境なんですか?

奥野:はい。ロンドンに解き放たれてしまったんです、僕ら(笑)。

杉本:だから当初は本当に緊張の毎日だったんですよ。今はでも、現地の知り合いに紹介してもらって、ちゃんと行きつけのスタジオもできて、快適に練習しているんですけどね。

──シングル「こっちを向いてよ」は、留学前にレコーディングを終えていたんですよね?

杉本:そうなんですよ。最初に映画『百瀬、こっちを向いて。』の主題歌のお話をいただいて、台本を読ませてもらって、ちょうど1年前には撮影現場にもお邪魔して、イメージがすっかり固まった上で曲作りができたんです。一連の作業の中で、久しぶりに学校の雰囲気を味わいました。ストーリーの中にも自分たちの学生時代とリンクする部分がたくさんありますしね、そういう意味では、映画のための曲とはいえ僕らのリアルな想いもちゃんと込められました。

──甘酸っぱい感じもあるし、ささくれ立った痛みもどこかにあるし。

杉本:そうですね。“もどかしさ”っていうのが僕の中にはキーワードみたいにずっとありました。あのときこうしてればなとか、なんでうまくいかなかったんだろうっていう感覚に陥りながら(笑)、書きました。

──その当時に感じた後悔のようなものは、今も変わらずに残っているの?

杉本:そうですね……うん、残っています。よね?

河邉:はい、残ってます。

──それでこの歌詞なんですね。ある意味男の子っぽいというか、男の子ならではの上書きできない思い出なんだろうな、と。

河邉:ああ、上書きできないですね……確かに(笑)。

杉本:思い出はきれいに残してるんですよ、しかも美化しちゃってたりして(笑)。

奥野:大事に大事に残してます(笑)。

杉本:原作の世界観がそもそもすごくきれいなんですよ。例えばちょっとした浮気があったりとかするんですけど、けがれた部分があるからこそ美しく描かれているんです。そのイメージが曲に繋がったと思いますね。

河邉:その世界観にインスピレーションを受けた曲を聴くことで、自然に言葉も出てきたんですよね。この歌詞は、中高生はもちろんですけど、今の僕らぐらいの年齢より上の大人の人たちにも届くんじゃないかと思っています。みんな似たような経験があると思うんです。想いを伝えることなく終わった恋なんだけど、今でも時々あの人はどうしてるかなって考えてしまうとか、あるんじゃないかなぁって。

◆2人が作ってくるデモを聴くのがすごい好きなんです。僕が誰よりも
いちばん早くデモを聴くし、歌詞を書く作業があるから誰よりもたくさんデモを聴いてる


──言葉とメロディのキラキラとした印象とは逆に、サウンドは意外なほど骨っぽく仕上がっていますね。

奥野:そこは『Handmade』からの流れなんですよね。こういう曲って、王道なところにピッタリはめることができるじゃないですか。それはそれでいいんですけど、でも自分たちの強みをいかに出せるかっていうのがやっぱり大事かな、と。『Handmade』でいろんなことを試せた結果として、王道のものと、自分たちならではのバンド感をいいバランスで出せるようになったんだと思います。

杉本:サウンドを作っていく段階で、こういう場面ではこういう音作りをしたいっていうイメージも、以前よりずいぶん明確に見えてくるようになったんですよね。今作に関しては、着地点が見えやすかったというのもあるんですけど。

──アプローチとしては得意なところですもんね。

杉本:全体的にそうだと思います。とくに歌詞の部分はね、台本を読ませていただいた時点で、これは河邉が得意なところだろうなというのは僕も思ったぐらいですよ。なんかこう、キュンとする感じの得意だから(笑)。

河邉:まぁ、それはそうなんだろうなと、自分でも思います(笑)。Aメロを聴いたときに、切なさとか不安定さみたいなのを感じて、すごくいいなぁと思ったんです。それを杉本に伝えたら、同じような感覚でメロディを書いたと言っていたので、意見が一致してたんですよね。

──え、曲を渡すときにイメージを伝えないんですか。

杉本:ほとんど伝えないですね。

河邉:でも、互いのイメージがそんなに離れるってことがないんですよ。イメージを伝えてくれるときも、文字にすればほんの1行2行ぐらいのものだから、メロディを聴くほうが早いというか(笑)。まぁ、時々はイメージが噛み合なくて、話し合いというか、作業の繰り返しはありますけど。

──じゃあ自分で書けよ!! ってならないの?

河邉:いや、だってそれは子供っぽいじゃないですか(笑)。

杉本:そんな文句言うんだったら自分で書けよ!!って、ねぇ? そういえば言われたことないですね(笑)。

河邉:いずれにしろ楽曲をいいものにするためだから、いろいろ試しながらサウンドを構築するように、言葉も選んでいくという感じですかね。でもほんと、曲を聴けば、杉本にしろ奥野にしろ、想ってることがわかるんで。

杉本:さすが、10年以上一緒にやってるだけはあるね。

河邉:僕ね、2人が作ってくるデモを聴くのがすごい好きなんです。僕が誰よりもいちばん早くデモを聴くし、歌詞を書く作業があるから誰よりもたくさんデモを聴いてる。それがすごく楽しいから、作曲者の想いを汲み取る能力が自然に高まったのかもしれないです(笑)。

◆インタビュー続きへ
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