【ライブレポート】lynch.「あの時かざした黒塗りの旗を もう一度翳してみようか――」
先日、ニューアルバム『GALLOWS』の発売を記念し、4月23日(水)にSHIBUYA-AXでのワンマンライブを行うことを発表したlynch.。SHIBUYA-AXは今まで何度も熱いステージを繰り広げてきた場所。2014年5月末には営業が終了となるので、ここでlynch.のワンマンを観る最後のチャンスとなる。
◆lynch.拡大画像
2013年はライヴバンドとしての面目躍如たる怒涛のライヴを行ってきた彼らだが、2013年の集大成は、なんといっても東名阪Zeppツアー“TOUR’13「THE BLACKEST NIGHTMARE」”だった。この模様を改めて紹介しておこう。この熱き魂と決意が、2014年は<TOUR’14 『TO THE GALLOWS』>で再提示される。lynch.の激烈のライブレポをどうぞ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
本編のラストナンバー「NIGHT」のCメロに到ると、葉月(Vo)は後ろを振り返り、黒字に白でバンド名を染め抜いた巨大なバックドロップに向かって、大きく右手を翳してみせた。バンドにとって長年の目標であり、遂に叶えたlynch.初の東名阪Zeppツアー<THE BLACKEST NIGHTMARE>。そこに籠められた彼らの意気込みの強さは、このツアーのために用意され、堂々と掲げられた“旗”が何より雄弁に物語っていた。その想いに呼応してフロアから突き上がる無数の拳に向かい、さらに未来に向けての誓いが高らかに謳い上げられる。
“共に叫び謡え 声のかぎりに 永遠の夜へとつなぐ絆で――”
生まれ変わるための原点回帰を旗印に、よりダークに、ハードに、スタイリッシュに創られた最新作『EXODUS-EP』。そのテーマを凝縮したタイトル曲「EXODUS」からスタートしたツアー2本目となる東京公演は、嵐のような葉月の咆哮とへヴィネス極まる轟音によって火蓋を切って落とされた。赤、青、白と広いステージを飛び交うライトの光量も眩いばかりで、「暴れませんか?」と誘った「THE BLASTED BACK BONE」では、センターでソロを放つ明徳(Ba)の背後から赤い後光を走らせる。フロント陣がグッと前に迫り出し、爽快なビートで拳とヘッドバンギングを巻き起こす「I BELIEVE IN ME」、その光景にブルーのライトが差し込んで、まさしく“蒼い炎”の灼熱で魅せる「-273.15℃」と、身も心も躍るフリーな空間は、メンバー自身がフリーだからこそ。Zepp Tokyoという大舞台にもかかわらず、驚くほどにラフで気負いのない佇まいとパフォーマンスから、この場を目標からホームに為し得た彼らの自信と、大きく育ったスケール感が覗く。
「ようこそ、日本最大のライブハウスへ! 初日の大阪のときは緊張したんですけど、今日はリラックスしてます。柵とか関係ないんで、ブッ壊すくらいの勢いで暴れてください!」――葉月
その言葉通りにファストなナンバーを畳み掛けながら、5人のスーパーリラックスはハードな楽曲を意外なほどソフトな当たりで届け、より浸透力高くフロアを踊らせてゆく。エグいディストーションに美麗アルペジオが絡み合う「NEW PSYCHO PARALYZE」では、カラフルな照明と相まって無骨と繊細がサイケに融合し、インディーズ時代からの人気曲「EVILLY」ではシャープに交錯するツイン・ギターにリズミカルなベースが加わって、進化の足跡がアリアリ。上手の玲央は機材を一新し、下手の悠介も愛器のポジションを上げて、より安定した演奏と自由なパフォーマンスで闊歩するのも頼もしい。そしてココから、lynch.が元来備えていた武器が爆発することとなる。
黄金の光が降り注ぐ中、葉月が囁くように歌いかける「BEFORE YOU KNOW IT」が一気にシリアスで艶やかな空気を吹き込むと、間髪入れずにlynch.史上初の葉月以外のメンバー曲「BE STRONG」へ。『EXODUS-EP』で試みられた悠介の手による詩情豊かな旋律に、うねるベースと手数多いドラムが重厚さを付加すれば、切なく淡い歌声が雪のような儚さを醸し出して、柱のように天に伸びる細い白光と共に厳かなムードで場内を包み込む。一転、奇怪なスキャットが「AMBIVALENT IDEAL」への幕を開くと、得意の低音ボイスを利かせながら髪を振り乱す葉月に狂気と嘆きの色が浮かび、ディープに波打つサウンドとフラッシュする赤ライトを受けて、最後にあがるのは苦悶の叫び――。眼前に広がるツアータイトルそのままの“漆黒の悪夢”に、もう鳥肌が止まらない。lynch.は決して激しいだけのバンドではなく、その根底に横たわっていた妖艶、悲哀、荘厳といったエレメンツは、七変化する葉月の歌、それを支える重厚な演奏、会場のスケールを活かしたライティング全てを駆使し、観る者の魂に訴えかけるエモーショナルな物語として、この舞台で見事に華開いたのだ。
濃厚な世界観で心を満たした後は、再び身体を熱く燃やすターンへ。タフネスなジャンプとコーラスが場内を席捲する「VANISH」、ステージの上と下であっという間にヘドバン大会が繰り広げられる「INVINCIBLE」と、『EXODUS-EP』収録曲に定番曲を混ぜ込みながらブッ飛ばしてゆく強靭なグルーブには脱帽するほかない。「生きてますか? いや、死んでもらえるか!?」と物騒な煽りで始まった「MIRRORS」では、驚異的なまでに正確な晁直(Dr)の爆走ビート&玲央の狂おしいまでにアグレッシヴなギターソロが容赦なくフロアを牽引して、大合唱を招くことに。心身両面が感動で熱くなるこの光景は、オーディエンスとの絆を歌い続けてきた2008年発表の代表曲「ADORE」でも、もちろん現れた。
“ここから現在が始まり 死ぬまで止まらないだろう 共に叫び謡う声のもとで”
会場中が“叫び謳う”そのフレーズは、まさしく冒頭で触れた「NIGHT」に使われているものであり、そもそも「ADORE」自体が“その手で黒く塗り変えた旗翳せ”という詞から始まるのである。つまり、『EXODUS-EP』のリード曲である「NIGHT」は、5年を経てメジャーフィールドでさまざまな進化を遂げ、10周年を目前に原点に立ち返った彼らが贈る、新たな決意と絆の歌なのだ。言い換えれば“ダーク”という原点を躊躇いなく武器として振るうだけの力を、遂にlynch.は得たということだろう。そして、それを培ってきたのは間違いなくライブであり、共に進んでくれたオーディエンスだった。
「最近はインターネットが普及して、手に入らないものなんてない。もう、海外ではCDを作らないアーティストだって出始めている。そんな時代にお金を払って、ライブに足を運んでくれるキミたちを本当に尊敬しています。ライブだけは実際に来るしかなくて、そのどうしようもない感じが、僕はどうしようもなく好きなんです。キミたちみたいな人がいなくなったら、音楽は終わる。だから周りも巻き込んで、ライブハウスに通い続けてほしい。来年は結成10周年。ライブをたくさんやって、日本全国会いに行くし、東京でも何度もやるから、そのときは絶対会いに来てください」
満場の声に応えたアンコール。そう告げた葉月は4年前にファンから贈られ、その頭に“Zepp Tour”と秘めていた目標を書き込んだダルマに、残る片目を書き入れた。
「大阪で枠を入れたから、今日は半分埋める。残り半分は最終日の名古屋でね」
ちなみに6日後のZepp Nagoya公演では、新たなダルマに“日本武道館!”と次なる目標が書き込まれたという。考えてみればZepp Tokyoでも、あふれる光の中“明日を変えたけりゃ今しかないよ”とポジティヴなパワーでオーディエンスを巻き込む「LIGHTNIG」でアンコールを終えたとき、葉月はこう叫んでいた。
「やべートコまで行くぞ! 本当に今日はありがとう!」
一つの目標を達成することで有言実行を果たした者は、その成功体験を糧に次なる目標へと確かな足取りで進むことができる。来るべき10周年を前に、誰に怯むことなく自らの在り方を追及せんとlynch.が掲げた漆黒の旗は、今、燦然と輝いている。
<TOUR’13「THE BLACKEST NIGHTMARE」>
2013.12.8(日) Zepp Tokyo
取材・文●清水素子
撮影●江隅 麗志
<TOUR’14「TO THE GALLOWS」-ABSOLUTE XANADU->
公演日:2014年4月23日(水)
会場:SHIBUYA-AX
開場 / 開演:18:00 / 19:00
チケット代:前売り¥3,800(tax in) *整理番号付
入場時ドリンク代500円別途必要 未就学児童入場不可
SHADOWS先行:2014年2月17日(月)12:00~2月23日(日)18:00
制限枚数お一人様4枚まで
一般発売日:2014年3月8日(土)
問合せ:DISK GARAGE 050-5533-0888
アルバム『GALLOWS』
2014年4月9日発売
KIZC-249/250 ¥3,300+tax
【CD】新曲12曲収録予定 【DVD】リード曲PV+α収録予定
※初回生産分のみ外箱付
※初回生産分封入特典:TOUR’14「TO THE GALLOWS」バックステージ招待応募ハガキ
応募ハガキに必要事項(お客様情報、希望会場、リクエスト楽曲)をご記入頂き、ご応募頂いた方の中から抽選で、各会場3名様をライブ前のバックステージにご招待!
更にその場で、リクエストいただいた楽曲を特別に披露致します!
(応募締切:4月21日(月)当日消印有効)
<TOUR’14 『TO THE GALLOWS』>
5月08日(木) 名古屋HeartLand 【問】キョードー東海 052-972-7466
5月10日(土) 松坂M'AXA 【問】キョードー東海 052-972-7466
5月11日(日) 岐阜CLUB ROOTS 【問】キョードー東海 052-972-7466
5月15日(木) 姫路Beta 【問】夢番地大阪 06-6341-3525
5月17日(土) 松江AZTiC canova 【問】夢番地岡山 086-231-3531
5月18日(日) 山口LIVE rise SHUNAN 【問】夢番地広島 082-249-3571
5月20日(火) 小倉LIVE SPOT WOW! 【問】BEA 092-712-4221
5月22日(木) 佐賀GEILS 【問】BEA 092-712-4221
5月24日(土) 鹿児島SR HALL 【問】BEA 092-712-4221
5月25日(日) 熊本Django 【問】BEA 092-712-4221
5月27日(火) 岡山IMAGE 【問】夢番地岡山 086-231-3531
5月29日(木) 松山サロンキティ 【問】デューク松山 089-947-3535
5月31日(土) 高知X-pt. 【問】デューク高知 088-822-4488
6月01日(日) 徳島club GRINDHOUSE 【問】デューク高松 087-822-2520
6月03日(火) 西九条BRAND NEW 【問】夢番地大阪 06-6341-3525
6月21日(土) 和歌山CLUB GATE 【問】夢番地大阪 06-6341-3525
6月22日(日) 滋賀B-FLAT 【問】夢番地大阪 06-6341-3525
6月24日(火) 静岡SUNASH 【問】キョードー東海 052-972-7466
6月26日(木) HEVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3 【問】サイレンエンタープライズ 03-3447-8822
6月28日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH! 【問】サイレンエンタープライズ 03-3447-8822
6月29日(日) 柏PALOOZA 【問】サイレンエンタープライズ 03-3447-8822
7月12日(土) 長野CLUB JUNK BOX 【問】キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100
7月13日(日) 金沢AZ 【問】キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100
7月15日(火) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE 【問】キョードー北陸チケットセンター 025-245-5100
7月17日(木) 仙台MACANA 【問】キョードー東北 022-217-7788
7月19日(土) 盛岡Club Change 【問】キョードー東北 022-217-7788
7月20日(日) 青森Quarter 【問】キョードー東北 022-217-7788
7月22日(火) 函館club COCOA 【問】ウエス 011-614-9999
7月24日(木) 帯広Rest 【問】ウエス 011-614-9999
7月26日(土) 旭川CASINO DRIVE 【問】ウエス 011-614-9999
7月27日(日) 札幌BESSIE HALL 【問】ウエス 011-614-9999
7月30日(水) HEAVEN'S ROCK宇都宮VJ-2 【問】サイレンエンタープライズ 03-3447-8822
8月02日(土) 目黒鹿鳴館 【問】サイレンエンタープライズ 03-3447-8822
8月03日(日) 目黒鹿鳴館 【問】サイレンエンタープライズ 03-3447-8822
■開場/開演:平日18:30/19:00 土日17:30/18:00
■一般発売日:2014年2月15日(土)
■チケット料金:スタンディング\3,800(税込/D別)
※未就学児童入場不可
◆lynch. オフィシャルサイト
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