【ライブレポート】THE BOHEMIANS、ロックンロールをとおして教えてくれた、好きを貫く強さ

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去る2013年8月27日。下北沢GARDENを、間違いなく、日本中で一番熱い場所にしてくれたTHE BOHEMIANS。彼らはその場所で、その年のクリスマス・イヴに、新宿 LOFTにてワンマンライヴを決行することを発表したのだった。

THE BOHEMIANSのロックンロールを愛してくれる最高の仲間と、最高のクリスマス・イヴを、最高の時間にしようと試みた5人。そんな特別な日の特別な時間は、最高のロックンロールSHOWとなった。新宿LOFTに集まったオーディエンスに彼らが1曲目に贈ったのは「憧れられたい」。その曲のド頭では、色とりどりの銀の紙吹雪がフロアに一気に吹き出した。さっそくのクリスマスプレゼントといったところだ。

彼らは、「お気にのチェルシー」、「She Sald YEAH! YEAH! YEAH!」と、キャッチーなロックン・ロールを間髪入れずに届けた後、THE BOHEMIANSのディープゾーンを担う「軍団」と「王国の謎」を並べて届けたのだ。真っ赤なライトに包まれたステージから、厚みを増した演奏が響きわたる。重厚になったその音と、よりアグレッシブになったボーカルの平田ぱんだの唄とパフォーマンスには、圧倒されるモノがあった。彼らの音は、4ヵ月前に見た時よりも、確実に分厚く、そして逞しく、説得力を感じさせるモノとなっていたのだ。

「おうおうおう! よく来たな! 今日は激しく愛し合いましょう! この曲しか知らない人も来てるかもしれないからね。だから、この曲をやるよ!」(平田ぱんだ)

ぱんだの一言から始まったのは、「恋はスィンギン・イン・ザ・レイン」。人気曲とあって、オーディエンスは高く右手を上げ、その音に体を揺らした。首にかけたタンバリンを、マイクを持った右手とは逆の手で、リズミカルに叩きながら歌うぱんだの姿は、また特別に印象的だった。

「ロックンロールバンドTHE BOHEMIANSだ! 今日というこの日にライブをやると決めたとき、“クリスマスだから、ロックンロールのことなんて、誰も覚えてなんかいないよ!”って、主催者の人に言われたの。でも、こんなにもたくさんの人たちが集まってくれたぜ! 俺はそれが本当に嬉しいぜ! 俺らは、クリスマスでもロックンロールにしか興味がないんだ! だから、長く、激しく、ギンギンに愛し合おうぜ! こうして集まってくれたみんなに、今日くらいしかやらないんじゃないかって曲を贈るよ。本間ドミノ先生が、女の子にモテたくて作ったこの曲! いくぜ!」(平田ぱんだ)

楽しさを押さえきれないといった様子のぱんだは、無茶振りなパスで、タイトルコールを作曲者である本間ドミノ先生に委ねた。そんな無茶振りなパスを、至って冷静に受け取った本間は、その曲のタイトルをそっとコールした。「メリークリスマスということで。「Paint it White」!」(本間ドミノ先生)5人は、透明な光に包まれながら、しっとりとこの曲をオーディエンスにプレゼントしたのだった。それは、一瞬にしてフロアをクリスマスな空気に染めあげた時間となった。すっかりクリスマスに染まったフロア。そんなフロアをキャッチーな選曲で盛り上げていくのかと思いきや。彼らは、そんな「Paint it White」終わりから、ガラッと景色を変えたのである。星川ドントレットミーダウンの歪んだ音色のベースソロから始まったのは「ハイパーデストロイ」。ほほぉ。そうきたか。「軍団」、「王国の謎」の並びに続く、ディープな選曲に、思わずニヤリと口角を上げてしまった。オーディエンスも、その極端とも言えるハンドリングに、手放しで応えていった。曲中に加えられるビートりょうのキレたコーラスも、エンジン全開を意味していた。続けざまに、ディープな音で押切った「MONO」も最高のアングラゾーンだ。キャッチーなだけではない、THE BOHEMIANSの旨味を、しっかりと感じさせてくれた流れから、彼らは再び、「太陽ロールバンド」、「パーフェクトライフ」といったTHE BOHEMIANSの王道ロックンロールで、エンタテイメントなステージへと舵を切った。

彼らのナンバーの中でも、最高に甘ずっぱいロックンロールナンバーである「明るい村」は、心理的なモラトリアムを感じさせる1曲。胸をキュンと締め付ける歌詞と、ループするギターリフがリードするこの曲に、オーディエンスは大きな拍手と歓声を贈った。チバ・オライリー(と無法の世界)a.k.aジャンのドラミングで綱がれた次の曲は「おぉ!スザンナ」。インディーズ時代から彼らの代表曲として愛されてきたこの曲では、オーディエンス全員がぱんだと一緒に声を合わせて歌うという、感動的な場面も見られたのだった。彼らは本編を「火の玉ロック」で締めくくったのだが、鳴り止まぬアンコールの声に応え、再びステージへと姿を現した。5人はデビュー曲「THE ROBELETS」を届け、2013年を振り返ったMCで1人1人がマイクを取り、“この日(2013年12月24日)”に、どうしても届けたかったという新曲「NEW LOVE」を披露したのだった。夢を見失いかけそうになった時間の中で生み出されたこの曲は、何故か、とても明るく、とても突き抜けたモノだった。

音楽とは、本当に不思議なモノである。暗い淵に立たされたときこそ、前向きで勢いのある曲が産み落とされるモノなのだ。なかなかワンマンライブができなかった2013年。彼らはそんな時間の中で、改めてロックンロールへの想いを強くしたのだろう。「NEW LOVE」の中に綴られた想いからは、諦めない心と、好きを貫く強さが溢れていた。「NEW LOVE」——。この曲こそ、この先の彼らの歩む道を、しっかりと照らす1曲になっていくことだろう。オーディエンスは、そんな彼らからの“答え”を、真っ直ぐに受け止めていたようだった。そして。この日のラストもお決まりの「ロックンロール」。いつものように、1つのマイクスタンドに寄り添いながら声を重ねた平田ぱんだとビードりょう。星川ドントレットミーダウンと本間ドミノ先生とチバ・オライリー(と無法の世界)a.k.aジャンは、自分たちの想いを代弁する2人の唄に力を注ぐかのように音を重ねた。

彼らはこの日、ロックンロールを通して、“好きを貫く強さ”を教えてくれたのかもしれない。そして、その強さは、いつか夢を叶える力となることを、彼らはその身を持って証明してくれたのではないだろうか。
2013年12月24日。二度とは無いこの日に、彼らは最高の時間をプレゼントしてくれたのだった。

文◎武市尚子

<THE BOHEMIANNS NEW TOUR 2014 ~夢と理想のツーマン~>
※このツアーは対バンツアーとなります。対バンは後日発表いたします。
チケット:オールスタンディング・整理番号付 前売¥3,000、当日¥3,500
(税込、ドリンク代別途)
一般発売:2月8日(土)


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