【インタビュー】Angelo、最新アルバム『FAITH』をキリトが語る「言ってることは変わらないですね。PIERROTのときから僕はずっと歌ってきた」
Angelo史上、最も攻撃的でありながら、キリトらしい鋭い洞察力と揺らぐことのない信念を感じさせるアルバム『FAITH』が11月27日にリリースされる。ヘヴィかつ研ぎすまされたサウンド、激しさと美しさが同居するメロディ、心震わすメッセージ、すべてに意志があり、意味がある。そして、ひと足先にYouTubeで公開された衝撃的な映像が意図するものは深い。
「言ってることは変わらないですね。PIERROTのときから」とキリトはこのインタビューで語った。変わらぬ本質と新たな挑戦に貫かれたアルバムについて、キリトに話を聞いた。
◆「FAITH」Introduction - Ruthless reward -動画
■要するにタイトル曲が決意表明というか開戦予告のようなもので
■ここから俺自身が考える“FAITH”への闘いが始まるんですよね
──アルバム『FAITH』は衝動的で破壊力があって、深いメッセージもある。Angeloの最高傑作だと思いました。構想はどんなところから浮かんだんですか?
キリト:Karyuとギルが加入して、5人になって最初に作ったアルバム『BABEL』(2011年発表)の頃から、どういうふうにストーリーを進めていこうか大きな流れでは考えていたんです。前回のアルバム『RETINA』は『BABEL』の世界から踏み込んだときに目の前に広がる世界を映し出す“網膜”をテーマにしたんですけど、『FAITH』はそこからさらに踏み込んで、網膜に映ったものを自分の中に取りこんで、どう感じるかっていうところで、“信念”だったり、“信条”という意味を持つテーマが出てきた感じですね。
──じゃあ、構想はずいぶん前からあったんですね。
キリト:とは言え、漠然としているものが作っていく内に固まっていくんですよね。『RETINA』を作ったときは世界観にしてもサウンド面でも出し尽くした感覚があったので、最高傑作になったと思ったし、“次はこれを超えられるんだろうか”という不安感もあって。でも、時間が経つとさらに表現したいことが出てきて。サウンド的にも進化しているので、結果的にまた過去のAngeloを超えられました。
──今回、アルバムをリリースする前に1曲目のインスト「Ruthless reward –Instrumental-」からタイトル曲「FAITH」の序盤までの映像がYouTubeにアップされましたよね。「Ruthless reward –Instrumental-」はピアノとストリングスがフィーチャーされた美しくも切ない曲ですが、どんなふうに生まれた曲なんですか?
キリト:今回のアルバムはまず、『FAITH』というタイトルありきで作っていったんですけど、いくつかの写真とどういうことを作品の中で伝えたいのかという文章を書いた“コンセプトシート”をスタッフに渡すところから始まったんです。それを映像化したのがYouTubeに公開したもので。曲は映像や、あの中に出てくる言葉にBGMをつける感覚で作ったんです。レコーディングが佳境に入ってから、速攻で書いた曲なんですけど、タイトル曲が出来たからこそ作った曲でもある。
──2013年10月のTOKYO DOME CITY HALLのライヴで先行して披露されたのがタイトル曲の「FAITH」でしたよね。ギターリフが鮮烈で理屈抜きに興奮する曲で。
キリト:実は「FAITH」も後から追加で作った曲なんです。アルバムの曲が出揃ったときに、もっと強烈な曲が欲しくて。タイトル曲にふさわしいパンチのある曲を作ってほしいとKaryuに頼んで、原曲を聴いたときに“これだ!”って。そのときにインストの構想も同時に浮かんだんです。ピアノの旋律と「FAITH」のイントロのスネアがクロスするようにしようって。だから、自分の中では「Ruthless reward –Instrumental-」と「FAITH」はセットというか、繋がった曲でもあります。
──なるほど。「FAITH」から「評決」までの前半部分は、畳みかけるようなパワーのあるヘヴィで攻撃的な曲が続きますが、作曲者のKaryuくんにリクエストしたことは?
キリト:サウンド面ではそんなに注文はしてないんですよ。作曲者は主に俺とKaryuですけど、やる側も興奮して演奏できるようなカッコいいサウンドということぐらいで。
──じゃあ、メインコンポーザーの2人のやりとりというところで前作『RETINA』との違いがあるとしたら?
キリト:役割というか、やり方は一緒かもしれないですね。Karyuから出てきた曲の中から何曲か選んだあとにアルバムの全体像を考えて“こういうタイプの曲が必要だな”って補完する感じで僕は作ることが多いですね。
──最近のAngeloはギターが全面に出たアッパーで攻撃的な曲をKaryuくんが作っていて、キリトくんは開放感とかポップさを感じるメロディの曲を作っているような印象を受けるけど。
キリト:それは補完してるからですよ。Karyuが作ってくる曲に攻撃的なものが多いから、音の空間やメロディを重視した曲を作ったりするけど、歴史をさかのぼってもらえば、ドロドロした曲や狂ってる曲も僕は得意だし。ただ、Karyuはギターリフでガンガン攻めるような重くて速い曲が得意だから、そこは任せている感じですね。
──なるほど。KOHTAくんの作曲者としての役割は?
キリト:KOHTAはやっぱりベースライン重視で作ってくるから、最終的な絵が自分の中で見える曲を選びますね。アルバムの中の「CONTRACT」も完成形が見えたので。でも、別にKaryuがヘヴィ担当ってわけじゃないですよ。今回バラードも書いてるし、役割を決めているわけではない。
──ただ、今回のアルバムってバラードも含めて音の質感が尖っているなと思ったんですよ。“FAITH”というテーマがこういうベクトルに導いたのかなと。
キリト:アルバムの流れという意味では、前半、激しい曲が続くことには確かに意味があるんですよ。1曲目は歌は入ってないけれど、ここがスタート地点で、「FAITH」からなぜ、ここまで怒濤のような攻撃が続くのか?っていうのは曲の最後の歌詞の一節“歯車を一つ壊そう 戻れない大罪を抱いて”に表れているんですけど、要するにタイトル曲が決意表明というか開戦予告のようなもので。ここから俺自身が考える“FAITH”への闘いが始まるんですよね。
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