【ライヴレポート】KISS、ポールもジーンも宙を舞い花火やバズーカも炸裂のジャパン・ツアー、最終日もド派手パフォーマンスでKISSアーミーをノックアウト

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結成40周年を迎えてますます意気盛んなKISS。今回の来日公演でも各地でKISSアーミーを熱狂させ続け、ついに10月24日、武道館でフィナーレを迎えた。

◆KISS@日本武道館~拡大画像~

ロック界最高のエンターテイナーKISSのライヴは、隅から隅までファンを楽しませようという演出に満ちている。この日の武道館でも、入口の係員のお姉さんたちまでKISSのメイクで出迎えてくれた。日常とは別世界のライヴ会場。そこに入るところからもうワクワクさせてくれる、まるでロックのテーマパークなのだ。

ステージはオープニングからド派手だった。おなじみの開演アナウンスが響き、「PSYCHO CIRCUS」のイントロが聴こえ始める。と同時にステージを覆っていた幕が落とされ、ウワサの“スパイダーセット”の全貌が姿を現した。照明のトラスを8の字型に組んだ天井部分から、湾曲した8本の脚がステージを囲むように降りてきていて、いたるところに照明が組み込まれている。本当に巨大なクモがステージの上空に浮かんでいるようだ。このセットだけでも十分に驚きなのだが、ポール、ジーン、トミーの3人はなんとクモの胴体の上でプレイしていて、高々と持ち上げられたエリックのドラムセットとともに徐々に降りてくる。KISSらしい衝撃的なオープニングだ。スパイダーの脚は自在に動き回ってまばゆい光を放ち、いたるところで火花がスパーク、客席にいても顔がカッと熱くなるほどの火柱がバンバン上がる。これで盛り上がらないわけがない。

セットリストは「SHOUT IT OUT LOUD」「DO YOU LOVE ME」と、もう何十年もおなじみの曲に進むが、メンバーの演奏や動きも当時とまったく変わらない。ポールはヒザを内側に入れるようなセクシーなステップを踏みながら歌い、ジーンは長い舌を出しながら四股を踏むようなガニ股で歩き回る。そして、曲のエンディングやソロで3人がセンターに集まって並んでプレイする姿は、華があって本当に絵になる。これを見ただけでも来た甲斐があったと思ってしまうほどだ。

ステージセットの派手さもすごいが、一瞬も休まず観客に楽しんでもらおうというサービス精神、そしてそれを最高レベルで成し遂げてしまうところこそ、KISSのすごさだろう。ジーンはつねにポーズを決め、表情を作って客席にアピールし続けているし、そのジーンがリードヴォーカルをとる曲では、ポールはステージ端にある一段高くなった小ステージまで行って踊り、ひざまずき、ネックを股の間から通してギターを弾く。トミーは新旧のKISSナンバーを的確にプレイしながら、センターから小ステージまで忙しく動き回り、タイトでパワフルにプレイするエリックは隙あらばスティックを回し、曲のブレイクやエンディングでは立ち上がってアピールする。どの瞬間にどこを見ても最高に楽しいライヴショウなのだ。

中盤にさしかかっても見せ場ばかりが続く。「WAR MACHINE」でジーンが火を噴き、ポールはアカペラで「上を向いて歩こう」を日本語で2コーラス歌う。そして大合唱の沸いた「HEAVEN'S ON FIRE」が終わると“今度はトミーが歌うよ!”というポールの紹介で「SHOCK ME」「OUTTA THIS WORLD」とトミーのヴォーカル曲も披露。ここからはトミーとエリックの見せ場だ。2人のセッションでテクニックを見せつけると、トミーはギターから花火を発射。天井まで届きそうな火花を散らすと、今度はトミーのいるサイドステージとエリックのドラムセットが天井近くまで上昇。最後にはエリックがバズーカ砲を取り出して発射するという展開に、客席も大興奮だ。

そしてここから、ステージや客席を立体的に使った大掛かりな“空中戦”が展開される。不気味な鐘の音が響く中、ジーンが登場して血を吐くと、そのまま宙に浮き上がってスパイダーの頂点へ飛び移り、「GOD OF THUNDER」へ突入。素顔時代のヒット曲「LICK IT UP」では、ポールとトミーがスパイダーに乗って上空からプレイした。

終盤はさらに圧巻。「LOVE GUN」でポールは、天井から降りてきたワイヤーにつかまると、客席の頭上を飛び越え、アリーナの中央に設けられたステージへと華麗に飛び移った。全方位にアピールしながら「LOVE GUN」を歌い終えると、そのままポールのギターソロから「BLACK DIAMOND」へ。花火に火柱にスモーク、オープニング以上の派手な演出で客席が熱狂する中、本編が締めくくられた。

アンコールは「DETROIT ROCK CITY」から「I WAS MADE FOR LOVIN' YOU」と往年の名曲が続いてさらに盛り上がる。そして最後は「ROCK 'N' ROLL ALL NITE」で、ステージが見えなくなるほど大量の紙吹雪とスモークが舞い、ジーンとトミーの乗った左右の小ステージも、エリックのドラムセットも高く上昇する。一人センターに残ったポールはギターを何度も振り回し、ついには床に叩きつけて破壊。火柱や花火も炸裂しまくり、大歓声が上がる中、ロックのライヴの楽しさをすべて詰め込んだようなKISS日本公演が終了した。

ノリがよくてみんなで歌えるKISSの楽曲のよさと、緻密に計算された派手な演出がガッチリと噛み合った、素晴らしいショウだった。そしてとくにKISSらしかったのが、ファンへの感謝と愛情に満ち溢れていたことだ。MCでポールはつねに“ミナサン”と日本語で語りかけ、日本のファンに繰り返し感謝を表していたし、2階席の隅々にまで手を振って歓声に応えていた。また、客席をあおって声を出させた後は、必ず“アリガトゴザイマス”とお礼を言っていたのも印象的だった。40年たってもちっともおごらず、つねにファンを楽しませたいと思うこの姿勢こそが、ポール、そしてKISSが大スターであり続けてきた理由なのだろう。

終盤のMCでポールは、“Maybe”(たぶん)と前置きしたものの、“来年また日本に来るよ!”と宣言した。今度はどんなセットでどんな曲をどのようにプレイして、我々を楽しませてくれるのだろう。今から楽しみでならない。

photo●Shannon Higgins

<2013年10月24日(木)@日本武道館 セットリスト>
Psycho Circus
Shout It Out Loud
Do You Love Me
I Love It Loud
Hell or Hallelujah
War Machine
Sukiyaki Song
Heaven's On Fire
Calling Dr.Love
Say Yeah
Shock Me
Outta This World
God Of Thunder
Lick It Up
Love Gun
Black Diamond
ENCORES
Detroit Rock City
I Was Made For Lovin' You
Rock and Roll All Nite

◆KISSオフィシャルサイト
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