【インタビュー】SKY-HI、中学時代の友人からのメールが生んだメジャーデビュー曲「愛ブルーム」
■ 「中学時代の自分をロックしたい」って気持ち
── しかし、これ、いろんな媒体さんのインタビューで言われたでしょうけど、20代後半から30代の人たちって、「愛ブルーム」を聴くとジャミロクワイを思い出しますよね。
SKY-HI:あー、はいはい。俺も20代後半だから、言われるのすごいわかります。
── ただ、ジャミロクワイの「キャント・ヒート」とか浮かぶんだけど、けっしてこの「愛ブルーム」がそのまんま同じことやってるかっていうと、音は新しいし、当然、歌詞も今のことだし。当時、ジャミロクワイを聴いていた人たちの懐かしさの部分をくすぐるけど、決して古くはない。そういう音がしてて。
SKY-HI:それはあの、さっきのテーマとつながる、「中学時代の自分をロックしたい」。俺、いまだに突き動かしてるのはそこだと思うんですけど、中学時代って何にでもすごいワクワクしたと思うんですよね。ほんとにもう、ありとあらゆる媒体……VHSいっぱいにMTVを録画したりとか、でもオリコンチャートも1位から50位まで調べて、CDTV観て、音楽雑誌もたくさん読んで。でもサッカーも好きだったら、「ワールドサッカーダイジェスト」も毎月だったかちゃんと読んで、……あ、女の子もそうだ。ほかの学校の女子校の女の子とかに、こう、1日何回、際限なくときめけると思うんですけど。あの感覚、中学生の時のココロの躍動具合がいまだに俺を突き動かしてると思うんです。だから、今回メジャーデビューするにあたって、最終的にもう一回考えたのが、「中学時代の自分をロックしたい」って気持ちですね。
── 確かに中学時代に受けたものって、おとなになってもずっと持ってますしね。
SKY-HI:もう永遠ですよね。「愛ブルーム」も「RULE」も、俺、中学時代に聴いたら、半年くらい、MDでずっと繰り返し聴いている気がします。
── MDでね!(爆笑) わかります。
SKY-HI:うん(笑)
── ちなみに、日高くんが「こういうお仕事をしたい」って思ったのは、いつだったんですか?
SKY-HI:それがですね……うーん。微妙だなー。複雑に絡み合うんですよね。というのは、うーん。でもずーっとサッカー選手になりたかったからなー。中学校上がって、ちょっとしたくらいで、あの、俺より全然サッカー上手い奴とかが、「やっぱプロは無理でしょ!」「なるつもりはないよ」みたいなこと言ってて、「あ、そうなんだ!」って思って。あらためて冷静に考えなおして、「あ、俺、プロは無理っぽい」って。で、その時に、
(激しい落雷)
SKY-HI:うわっ、怖っっ!! 銃声みたいな! 銃声みたいですよね、今の。
avexスタッフ:凄かったですね。
SKY-HI:(光ってから落ちるまで)もうちょっとなが、長いでしょ! サスティーン、ほぼゼロですよ! サスティーン。トゥーン!って(笑)。……まぁいいや。なんでしたっけ?(笑)
── (笑)中学時代にサッカー選手を諦めた話です。
SKY-HI:あー、そうそう。で、サッカー選手は無理だなって思った時に、あんまり、あの、ネガティブじゃなかったのは、それとクロスフェードみたいな形で、テレビでエリック・クラプトンがライブしてたんですけど、その時に後ろでドラム叩いてたスティーブ・ガッドがめちゃくちゃカッコよくて。で、引きの映像が多かったんですけど、ドラムの位置がバカみたいにせり上がってたんですよ。クラプトンの背より上だったから。それが死ぬほどカッコよくて。「ドラムってなんてカッコいいんだ!」って。いったら、超“司令塔”の位置だったから、こんなカッコいい事はないなって思って。それで「ドラムやりたい!」って。ドラム始めた時は、もう、その、うん。いわゆる、芸事で、こう、華やかに、そういう。しかも音楽シーンみたいなことを考え始めていました。その頃は。でも、その頃はフー・ファイターズもいたから。ドラムもずーっとやるけど、マイクも持ちたいなって。そういう欲張り気質はずっとあったなぁ(笑)。
── きっかけはドラムだったんだ。
SKY-HI:ですね。でも、ラップしたのもほどなくですよ。当時は長い気がしてたけど、全然、時系列でいったら、3ヶ月とか半年以内にラップを始めてたし。ダンスもほどなくして。その頃は1日の濃さが尋常ではないから。毎日のように新しいアーティストを知ってたし、調べてたし。当時、“グーグル先生”とかもいないから。でも、学校はよかったな。学校で知れるし、帰りに渋谷とか吉祥寺とか。中学の時は渋谷が多かったな。毎日のように刺激もあるし、学べることも多かったし、渋谷から千葉だから、家が。いつも聴きながら対訳とか読んで帰ったりして。すごい濃密な中学時代だったけど、その時に全部やってますね。ドラムも、ラップも、ダンスも。
── やっぱりすべては中学時代なんですね。
SKY-HI:ぽいです(笑)。完全にそう。
■ ミュージックビデオのスター感
── ミュージックビデオ、「愛ブルーム」のほう、スターだなって印象ですよね。KREVAさんが、いわゆるお茶の間に浸透した頃のキラキラ感と同じものを感じるというか……。
SKY-HI:おー、ありがたいですね。でも、そう。華やかというか、スター感みたいなものは、これもさっきの話につながるんですけど、中学時代の自分をロックするのがビッグテーマとしてあったので、あまり迷うことなくやれたし、「愛ブルーム」に関してはもっとやれたと思う。もっとスター感出せたなぁ、と。でもこれは今後の制作につながっていくと思いますし、とはいえ「愛ブルーム」も本当に素晴らしい。ビデオも含めて素晴らしい打ち出しができたなぁって。
── うん。
SKY-HI:Illicit Tsuboi(キエるマキュウ)が褒めてくれたのがほんと嬉しくて(※ 編集部 注:7月3日のIllicit Tsuboiのつぶやき「ここまでクオリティーが高くて張り出しがしっかりしてる楽曲日本のもので久々す! 素晴らしい!」 https://twitter.com/modulo2008/status/352363405069385728 )。あのIllicit Tsuboiが。めちゃくちゃ嬉しかったです。あと、「RULE」のビデオも今週末くらいに公開予定なんですけど、それはまた、うん。シンプルかつ……うーん、でもスター感ちょっとあるものになっていると思います。
── 公開されたら、みんなが騒ぐんですよ(※ 編集部 注:すでに公開済み。記事最後に掲載)。
SKY-HI:騒いでくれるようにしかけを用意したんですけど、やりすぎたんじゃないかっていう……。
── そうなんですか?
SKY-HI:ビデオの最後、びしょ濡れになるんですけど……。やりすぎたかなーって(笑)。不安なんですよ、すごい。
── そうなんだ。でも何にせよ……“ズルいなぁ”って。かっこ良くてズルい。そういえば「愛ブルーム」の映像には最新技術も取り入れたということですが?
SKY-HI:マッピングですね。ハーレムシェイク(SKY-HI「JOY & RICH -Harlem Shake Jack-」)のPVやってもらった大月壮 監督に今回お願いしたんですけど、撮影前からバランスについてずっと話していて。
── バランス?
SKY-HI:最先端感と……スター感というか。どこらへんまでカジュアルにしよう、とか。ハードにしすぎてK-POPみたいになるのも、なんか違うし。そんな中で、大月さんが出してくれたアイディアが「使ってない技術とか使っちゃえばいいんじゃね?」って。
── おー。
SKY-HI:で、マッピングをスイッチで操作するというやり方を取り入れたんですけど……あれ、大変なんですよ。(リモコンの)サイズも小さくて、テレビのリモコンより感度悪いんですから。ちょっとズレると反応してくれない。それがすごい大変で。大変すぎて帰ろうかなって思うほど(笑)。
── じゃあ撮影にも結構時間かかったんですか?
SKY-HI:いや、慣れてしまえば、踊りながら出せるようになったんですけどね。「えいー!」って。でも大変でした。わりかしそういうものに器用なほうでよかったな、ってほんと思いました。あれ多分ね、向いてない人はほんとできないものだと思いますよ。
── 今度はあの技術をライブにも取り入れるんじゃないかって勝手に予想してます。
SKY-HI:大月さんもその辺強いから、ライブでもなんかできないかなとは思うんです。ただこれまで、個人的にはライブのマッピング技術って、そんなに可能性感じてないところもあって。最終的に、普通にピンスポットライトが一番カッコいいと思うので。
── あー、わかる。
SKY-HI:あと派手な演出っていうものだと、マッピングって結局は投影だから、LEDのほうが派手だし。マッピングはちょっと可能性ないかもって思ってたんです。とはいえ、決めつけるのはもったいないので、なんかできないかな……とは考えていますね。
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