【インタビュー】木村カエラ、「大人になってきてるし、自分より大切なものもすでにあるし。もう怖くない、そんな感じです」
◆いまの私が「happiness!!!」を書くならどんなものを書くんだろう?
っていうところからできたのが「Sun shower」なんです。
――というと?
カエラ:面白いものをやるのは好きなんだけど、やっぱり素直なものが届くのかなぁとか。人に届けるときに、もっと素直に気持ちを伝えたほうがいいのかなぁ、とか。どういうふうに表現したらいいんだろう? って、そういうことばっかりを考えるようになっちゃったというか。奇抜な音楽をやっても、“ここまでは好きかな?”“ここまでやったら嫌いかな?”とか、今までは考えなかったことまで考えるようになってたんですね。人が思うこと、人が元気になればいいっていうことばっかりを考えていたら、自分のことを見る時間、探していく時間っていうのを見失ってしまった期間が長く続いてしまって。ちょっと“あれ!? 私、何やりたいんだっけ?”“本当の私って何だ?”みたいになった時期があったんです。それから、『8EIGHT8』(2011年10月発売)っていうアルバムを出して、武道館3days(2012年3月)をやったときに、「Butterfly」を出してからずーっと思っていた感情が自分の中でクリアになっていく時期をその後に迎えて。やっぱり、人に素直な気持ちを伝えたい、届けたいっていう気持ちは、私には変わらずあるんだなと。それを音楽で表現していくことが私の課題なんだけれども、その前にもっと自分自身を見ないとダメだっていうことが明確に見えてきて。自分の心に忠実である作品を出すこと。ちゃんと、やりたいことっていうのを明確に決めて、自分らしい表現方法を作りつつも、人がわかりやすくて、でも自分らしさを失わない、1本芯の通った、ちゃんとつながるものを作っていかないといけないなぁっていうことをすごく考えさせられた時期だったんですね。それで挑戦したのが「Sun shower」という曲で、この歌詞を書くことによって、自分の中がすごくクリアになって。自分らしく、人を勇気づける音楽、いまの私が「happiness!!!」(2004年10月発売2ndシングル)を書くんだったらどんなものを書くんだろう?っていう。そこに辿り着いてできたのが「Sun shower」で。それからすべてがすごいすっきりして、“あ、これだ!”ってなってこのアルバムが出来上がっていった感じなんです。だから、どこか赤裸々だし、どこか言葉のチョイスが今までと変わってないネクラなところが入ってるし(笑)。そういう部分で、新しい自分というか、これが今の自分。「Butterfly」を経て生まれてきた自分を、ようやく再確認して、見つけることができて、このアルバムができました。
――自分を探して、見つけて、確認して、受け入れるという作業があったんですね。
カエラ:やっぱり、大人にもなってきてるし、自分より大切なものもすでにあるし。 そういうところで、自分自身が変わってくることを受け入れる時間を、自分が作らなかったっていうのが一番の問題だったのかなって思いますね。だから、このアルバムができてすごくうれしい。きっと、ここからもっといろんな面白いことができるだろうなって。なんか、もう怖くないっていうか、そんな感じになってきました。
――そして。歌詞の中でとても気になったのが、「so i」の“1+1で1になる”という一節。1+1=2じゃなくて3にも4にもなる、というたとえはよく聞きますが、“1+1で1になる”という表現はとても新鮮だし、この曲やアルバムを象徴するフレーズなんじゃないかと。
カエラ:もう、私にとっては“1+1で1になる”というのが当たり前のことだと思ってました(笑)。人と向き合ってるときに、自分だけのことを考えて生きてると、0(ゼロ)になっちゃうというか……私の場合はね。感覚的な話なので分かりづらいと思うんですけど。友達でも恋人でも、相思相愛の関係で、たとえば友達が落ち込んでたりしたら、私も落ち込んじゃう。友達を元気づけて、そのコが元気になったら私も元気になって一致する。どっちかのバランスがずれていると、私もどこにいたらいいのか分からなくなるっていう状況が起きるんですよ。だから、相思相愛っていう、1人対1人のバランスが幸せであって、二人がちゃんと同じ方向を向いて元気で幸せでないと、普通に生活できなくなっちゃうんです。大切な人が元気でいて、自分と同じ方向を向いていてくれることで、ようやく1になるんです。どっちかが求めてるだけじゃダメだし、どっちかが与えすぎてるだけでもダメだし。二人が同じように与えて、求めて、支えあっていくっていう関係です。
――アルバムタイトル『Sync』にも通じる話ですね。
カエラ:“synchronicity(シンクロニシティ)”っていう、“意味のある偶然の一致”というざっくりしたテーマは最初にありました。やっぱり、音楽の力で人の心を揺るがしたいという思いが今回はすごく強かったので、私の歌と聴いてくれた人の想いがシンクロしたらいいなっていう願いを込めて。私の中で見つけだした、どんな私も私だ、いまの私は本当の私であるっていう、そういうすべてがシンクロしていく。どんな曲を歌っていても私だし、楽しいときも悲しいときも、悩んでいるときも、全部私だっていう。それは、私だけではなく、どんなときもあなたはあなたですよっていう願いも込めた『Sync』(シンク)ですね。
――では最後に、1月から始まるホールツアーの意気込みを。
カエラ:5年ぶりのホールツアーです。きっと前回よりも私はパワーアップしてると思うので、もっとみんなに届けて、ライブでシンクロすることをテーマに気合を入れてやろうと思ってます。ホールだからこそできる演出もあるし、シンプルなんだけど、驚くようなことができるといいなと。頑張ります。
取材・文●望木綾子(編集部)
New Album
『Sync』
2012年12月19日発売
【限定盤CD+DVD】COZP-743~4 ¥3,675(税込)
[CD]
1. マミレル 【AxSxE プロデュース】
2. HERO【高本和英(COME BACK MY DAUGHTERS) プロデュース】
3. Sun shower【ミト(クラムボン) プロデュース】
4. coffee【飛内将大(agehasprings) プロデュース】
5. Hello Goodbye【Jim O'rourkeプロデュース】
6. sorry 【Jhameelプロデュース】
7. MY WAY【今谷忠弘(ホテルニュートーキョー)プロデュース】
8. Synchronicity【AxSxE プロデュース】
9. so i【ミト(クラムボン)プロデュース】
10. Merry Go Round【蔦谷好位置(agehasprings) プロデュース】
11. Cherry Blossom【AxSxE プロデュース】
12. WONDER Volt【渡邊 忍 プロデュース】
[DVD]
1.マミレル -music video-
2.Sun shower -music video-
3.so i -music video-
4.Sun shower –making movie-
【通常盤CD】COCP-37725 ¥3,150(税込)
1. マミレル 【AxSxE プロデュース】
2. HERO【高本和英(COME BACK MY DAUHTGERS) プロデュース】
3. Sun shower【ミト(クラムボン) プロデュース】
4. coffee【飛内将大(agehasprings) プロデュース】
5. Hello Goodbye【Jim O'rourkeプロデュース】
6. sorry 【Jhameelプロデュース】
7. MY WAY【今谷忠弘(ホテルニュートーキョー)プロデュース】
8. Synchronicity【AxSxE プロデュース】
9. so i【ミト(クラムボン)プロデュース】
10. Merry Go Round【蔦谷好位置(agehasprings) プロデュース】
11. Cherry Blossom【AxSxE プロデュース】
12. WONDER Volt【渡邊 忍 プロデュース】
New Album
『フランケンウィニー・アンリーシュド!』
2012年12月5日発売
AVCW-12901 ¥2,400(税抜¥2,286)
発売・販売元:エイベックス・マーケティング株式会社
レーベル:ウォルト・ディズニー・レコード
収録内容:日本ボーナストラック2曲を含む、全16曲収録予定。
(※「WONDER Volt」は2曲目に収録)
<木村カエラ LIVE Synchronicity TOUR 2013>
※全国17都市19公演
1/27(日)神奈川県・伊勢原市民文化会館
2/1(金)千葉県 ・市川市文化会館
2/3(日)神奈川県・神奈川県民ホール
2/10(日)岐阜県・土岐市文化プラザ サンホール
2/11(月/祝)愛知県・名古屋国際会議場 センチュリーホール
2/15(金)石川県・本多の森ホール
2/17(日)新潟県・新潟テルサ
2/24(日)栃木県・栃木県総合文化センター メインホール
3/1(金)広島県・広島文化学園HBGホール(広島市文化交流会館)
3/2(土)兵庫県・神戸国際会館 こくさいホール
3/7(木)08(金)大阪府・オリックス劇場
3/15(金)福岡県・福岡サンパレス
3/17(日)香川県・サンポートホール高松 大ホール
3/22(金)宮城県・仙台サンプラザホール
3/24(日)北海道・ニトリ文化ホール
3/27(水)28(木)東京都・NHKホール
3/31(日)沖縄県・ナムラホール
◆木村カエラ オフィシャル・サイト
◆コロムビア
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