木村カエラ、デビュー20周年日本武道館ワンマンライブ「私にとってはここがまた新しいスタート」

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デビュー20周年を迎えた木村カエラが、日本武道館にてワンマンライブ<KAELA presents GO! GO! KAELAND 2024 -20years anniversary->を開催した。

20周年を祝うアニバーサリーライブであることに加えて、カエラの誕生日2日後の開催とあり、会場には8000人の観客が集結し、祝福のムードで大いに賑わっていた。

カエラにとって12年ぶり4度目となる日本武道館公演。開演時間を迎えると、場内が暗転し、ステージを囲む紗幕に8ミリフィルムで撮影されたかのようなオープニング映像が流された。これまでリリースしてきた楽曲を想起させるアイテムを手にするカエラのバックには「バースデーソング」を奏でるオルゴールの音色が静かに流れ、頭につけていた20本のキャンドルの灯で斜幕を燃やすという演出とともに、2004年6月にリリースしたデビューシングル「Level 42」でライブはスタートした。

今から20年前に、歌手デビューを夢見ていた彼女が自分自身に言い聞かせるように歌っていた<あなたの求める未来を/必ず辿り着けるはず>というフレーズが胸に突き刺さり、<君のためにずっと歌い続けるから>という約束を果たした彼女の歌声に早くも涙腺が刺激される。続いて、真っ赤なサーチライトが場内を照らし、照明が激しく点滅する「喜怒哀楽plus愛」で燃えたぎるエネルギーを全力で発散するカエラのパフォーマスで観客のテンションは一気に上がっていく。そして、10周年イヤーの2014年にリリースした楽曲で、デビューからの10年間の思いを込め、11年目の新た一歩を刻んだ「TODAY IS A NEW DAY」では盛大なクラップが巻き起こり、会場には心地よい一体感がもたらされた。


「ようやくこの日がやってきた〜」というなぜか即興のラップでMCを始めたカエラは、武道館に集まってくれた大勢の観客に対して「最高ですよ。こんなに素敵なお誕生日はないわよ。今日は最後まで頑張ります! いっぱい楽しませます!!」と笑顔で約束。映画「九十歳。何がめでたい」の主題歌『チーズ』では<私だけの一度きりの人生を楽しむ>というフレーズを共有するだけでなく、「みんな、人生は一度きりだから楽しんでいこうぜ」と伝え、「Samantha」ではぐちゃぐちゃになった感情に苦しみ、自分の弱さに苛まれながらも、<どんな時も楽しめるはずだ>というフレーズにたどり着く。そして、暗がりの中でパフォーマンスされた「Sun shower」「EGG」では、等身大のナチュラルで伸びやかな歌声とドラマチックなバンドアンサンブルによって小さくも優しい光が会場全体へと広がっていく様を表現すると、観客を愛おしそうに見渡し、「みんなが笑ってる。最高の20周年だなと思います。嬉しいです」と感謝の気持ちを伝えた。

メンバー紹介を挟み、観客に向かって「みんながオンリーワン!」と叫んだ「STARs」や夢と現実が交錯するファンタジーの世界へと誘う「F(U)NTASY」は、アイゴン(Gt)、横山裕章(Key)、大井一彌(Ds)、まきやまはる菜(Ba)の4ピース編成のバンドによるエッジーで強靭なロックサウンドに圧倒された。


「セットリストを考えてたんだけど、武道館を3日間やらないと入らないくらい、やりたい曲があって。だから、特別なメドレーを考えてきました」という言葉から10曲で13分に及ぶ怒涛のメドレーへと突入。かつてコラボレーションしたラッパーのBIMがミックスしたクラブアレンジで観客を踊らせると、テクノに様変わりしていた1曲目「Yellow」の<いつか見えるよRainbow>というフレーズで締め括り、そのまま「Magic Music」でジャンプを誘発し、カエラの<みんなの笑顔が見たい>という言葉を受けた会場には笑顔が広がっていった。そして、中盤ではファンの間で人気の高い名曲「You」「Snowdome」を切なくも真っ直ぐな歌声でしっかりと届けると、彼女の代表曲となった「Butterfly」では盛大なシンガロングが巻き起るなかで歌詞と同じように白いチョウが場内を舞い散り、神秘的で幸せな雰囲気で満たされていった。

観客の大合唱を受けて、涙で声が詰まって歌えなくなったカエラは「最高だな。<今日はどんな時よりも素晴らしい>で泣いちゃった。綺麗な歌声をありがとう」と感謝の気持ちを伝え、「こっから気合入れていくから。目から涙は出てるけど、心は燃えている!ライブハウスにしちゃっていいですか?」と呼びかけると、宣言通りにアグレッシブで激しいロックチューンを連発。「You bet!!」では再び<今日みたいな日を忘れない>というフレーズでシンガロングが沸き起こり、「TREE CRIMBERS」から「マスタッシュ」へとシームレスに繋いで観客の拳と大声、テンションをさらに一段と引き上げると、「BEAT」ではエレキギターをかき鳴らしてシャウト。ステージ上を所狭しと暴れまくる熱量の高いパフォーマンスで、まさにライブハウスのような高揚感と解放感を生み出した。

本編のラストナンバーは、9月にリリースされたばかりの最新EP「F(U)NTASY」の収録曲で、カエラが自身で作詞と作曲を手がけた20周年のメモリアルソング『Twenty』。「20年、本当にありがとう。夢見たいです。全部みんなのおかげです」と再び感謝の思いを伝えた彼女は、さまざまな色で描かれた虹の絵画をバックに<今も歌い続けている>と高らかと歌い、カラフルなテープが舞い散る中で、「そばにいてくれてありがとう。続けてよかった!」と声を上げると、会場からはこの日、いちばんの大きい拍手が送られた。


観客が歌う「リルラ リルハ」の大合唱に導かれて再びステージに登場したカエラは、彼女が時代を代表するポップアイコンとしてブレイクするきっかけとなったヒット曲「リルラ リルハ」を心を込めて歌唱。そして、「今、こうして20年やってきたけど、子供の頃からの夢が、大好きな歌が、ずっと続けてられて、本当に幸せだなと思って、噛みしめてます」と20年間を振り返り、「私にとっては、ここがまた新しいスタートなのかなと思っていて。この先の未来がほんとに楽しみだなと思っています。木村カエラは歌ってないとダメになっちゃうから。ずっと歌い続けていくと思います」と未来に向けた新たな決意を表明。最後に「みんながいろんな不安や心配、喜びや楽しさを感じながら生きている中で、私もそこに寄り添えたらなと心から思います」と語り、「happiness」へ。

夢見ること、考えること、笑うこと、幸せを見つけることの大切さを込めた曲は20年間の集大成となるライブにぴったりの締めくくりだろう。最後はバンドメンバー全員で手を繋いで一例し、カエラは「また会おうね。素敵な未来にしようね」と新たな約束をしてステージを後にした。

なお、ライブセットリストは(https://jvcmusic.lnk.to/gogokaeland)にて公開中。プレイリストとしてお聴きいただけるので、ご来場いただいた方もそうでない方も、ライブ気分に浸りながらお楽しみいただきたい。

ライブ写真:太田好治 ヤオタケシ

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