ヤマハ、シンセ・電子ドラム・ギター関連新製品が試奏し放題のスペシャル・イベント「Sound Jam」レポート
ヤマハは、スペシャルイベント「Sound Jam(サウンドジャム)」を11月3日、4日、ラフォーレミュージアム六本木で開催した。ギター、ドラム、シンセサイザー、ソフトウェアなど発表されたばかりの2012年秋の新製品をはじめ、多くのヤマハ製品が自由に触れる展示スペースとスペシャルライブなど盛りだくさんの内容で行われた本イベントの1日目のレポートを届けする。
■最新の楽器・音楽制作機器をいち早く体験できる展示コーナー
会場入ってすぐの広い展示スペースには、新製品はじめ多くのヤマハ楽器がずらりと展示。電子ドラムDTXのコンパクトな新モデルDTX430K、DTX400K、軽量・コンパクトなシンセサイザーMX49/61、人気のギターアンプTHRのバリエーションモデルなどの新製品が、自由に試奏できる状態でスタンバイ。ギター、ベースも数多く揃いすぐそばに置かれたTHRですぐ試奏できるので、弾き比べる来場者も多かった。また、ヤマハミュージックトレーディング取り扱いの海外製品も数多く用意されたのも本イベントの特徴。Marshallのギターアンプ、EDENのベースアンプ、Zildjanのアコースティック・エレクトリックシンバルなどが展示された。アンプやアコースティックドラムは、ヤマハの防音室「アビテックス」内で大音量での試奏ができるなど、かなり贅沢な環境が用意されている。
▲発売されたばかりの電子ドラムDTX430KとDTX400K(写真左)はコンパクト&軽量ながらドラムとしてのレイアウトをキープしたエントリーモデル。上位モデルも多数用意され、叩き心地を比較する来場者が多数。子どもが試奏している姿が多かったのも印象的。写真右はDTX750K。
▲エレキギターなみの軽さとコンパクトさが魅力のシンセMX49とMX61(写真左)も多数展示。持ち上げて軽さを確かめる人も多かった。フラッグシップシンセサイザーMOTIF XFやMOXなど上位モデルもラインナップ。写真右は88鍵のMOTIF XF8の上にMX49が載っている様子。その小ささがよくわかる。
▲THRのバリエーションモデルも登場。ヴィンテージアンプのサウンドが楽しめるTHR10C、歪みが魅力のTHR10X、そしてアコースティックギター用のTHR5Aの3モデルが新たにラインナップに加わっている。本体同様コンパクトなパッケージとともに多数展示、サウンドがすぐに比較できる贅沢な環境だ。
▲エレアコのAシリーズ、サイレントギターの新モデルも展示(写真左)。THR5Aの気持よく弾けるサウンドで試奏が可能だ。また、THRのサウンドをエディットできるソフトウェアもあわせてチェックできる(写真右)。
▲ベースのBB、ギターのPACIFICA、SGシリーズはじめ多くのモデルが展示。これらももちろん試奏可能。
▲PCによる制作環境ではVOCALOID Editor for Cubaseをフィーチャーした「ボーカロイドをCubaseで歌わせよう」と題したコーナーと、ギターとオーディオインターフェイスにもなるTHR10がセッティングされた「ギターをCubabaseでレコーディング」コーナーを用意。VOCALOIDの父によるVOCALOID Editorの説明を熱心に聞く来場者多数。
▲ヤマハシステムドラムフラッグシップモデルPHX体験ブースは防音室アビテックス(写真左)に用意。メインステージに出演の川口千里使用モデルを、まわりに気兼ねなく叩きまくれるようになっている。
▲MarshallのDSLシリーズ新モデルも防音室内にセッティング。ヘッドのDSL100H、DSL15H、コンボアンプのDSL15C、DSL40Cを用意。
▲ベースアンプEDEN製品も防音室に。アンプのWTX-264(中上)、WT55(中下)0、ベースプリアンプのWTDI(右)、Dシリーズのキャビネットなどが展示。
▲カラフルなシンバルワッシャー&シンバルミュートは、スイスCYMPAD社の「CYMPAD」(シンパッド)という製品。従来のフェルトではなく、発泡ポリウレタンを採用することでシンバルを保護、ダメージを軽減。さらにシンバルが本来持っているパフォーマンスを最大限に引き出せ、より長い余韻が得られるとのこと。さまざまなサイズが用意される。通常のブラックにブルー、オレンジを加えた3色のサンプル配布も行われていた。
■Zildjanのアコースティック・エレクトリックシンバルGEN16
Zildjanからは「アコースティック・エレクトリックシンバル」という聞きなれない名前がつけられた「GEN16(ジェン・シックスティーン)」が登場している。略称は「AEシンバル」。「エレクトリック・アコースティック・ギターのシンバル版」とでも呼べそうな製品だ。
まずシンバル部分に無数の穴を空けることで音量を約70%抑え、家庭での使用もOKというのが第一のポイント。マレットでのロールやブラシワークも通常のシンバルと変わらない演奏感が得られる。裏面にはデュアルヘッド・コンデンサーマイクが仕込まれており、シンバルの鳴りを拾い、デジタル・シンバル・プロセッサーに入力。ここで各チャンネルのピッチやパンなどサウンド調整が可能だ。プリセットは20種類で、全チャンネルを一括で変更することもできるし、個々に調整することもできる。各パーツのマイクのかぶりはあるものの、1本1本スタンドを立てて集音するのと比べセッティングがはるかに容易になるというメリットもある。シンバルスタンドは通常製品の大半が使用可能だが、一部取り付けに長さが足りない場合があるので確認が必要とのこと。販売形式はハイハット、クラッシュ、ライドにプロセッサー、ピックアップマイク、ケーブル・マウントキット一式をセットにしたBOXセット。シンバルのサイズ違いで2種類のセットを用意。価格は約11万円と12万円とのこと。年内にはチャイナやスプラッシュ、セット内容の単体発売も予定されている。
▲シンバルの下で鮮やかに光るブルーの部分にコンデンサーマイクが仕込まれている(写真左)。写真右は上から見た様子。ワッシャーにはCYMPADが使用されている(製品付属品はブラック)。
▲GEN16の試奏は、ヤマハDTX900Kにセットされた(写真左)。サウンドをカスタマイズできるデジタル・シンバル・プロセッサーにはリバーブやヘッドフォンボリュームも用意(写真中)。BOXセットにはハイハット、クラッシュ、ライドの3枚のシンバルが付属(写真右)。それぞれ13・16・18インチと14/18/20インチのセットがラインナップ。
■トーク&セミナーとライブステージ
会場内のホールでは新製品のデモやトーク&セミナー、ライブステージが行われた。メインステージと客席横のサブステージの構成で交互に多数の製品が紹介された。
▲メインステージは複数の大型スクリーンを用意した豪華なセッティング。出演者の手元や製品のアップ、PCの画面も映し出され、とてもわかりやすい構成。
▲初日のトップバッターは女子高生ドラマー川口千里さんによるDTXスペシャルデモンストレーション。最新モデルDTX430Kのサウンドや、多彩なトレーニング機能を紹介。「楽しく続けられるドラム」とコメント。
▲弓木英梨乃さんによるMarshallデモ&スペシャルトーク。Marshallの新製品DSLシリーズの魅力を大音量&パワフルなプレイで伝える。JCMシリーズのサウンドを継承したコストパフォーマンスに優れたモデルに、シンプルで音作りがしやすい、クリーンからハイゲインまで幅広い音が出せると語った。
▲VOCALOID Editor for Cubaseに登場したのはボカロPゆよゆっぺ氏。自身の製作方法をPCの画面を見せながら披露。子音と母音を分割することでしゃくりあげを表現するなど表情の付け方も伝授。シームレスに作業が行えるVOCALOID Editorにより、モチベーションがさがらず楽曲制作の時間が短縮できることが示された。
▲DTX&GEN16コラボデモンストレーションには再び川口千里さんが登場。DTXにGEN16を組み込んでのプレイを聴かせる。GEN16については、通常のシンバルと変わらない叩き心地で、さまざまな奏法ができることをアピール。また、Zildjanの社長は現在14代目で、次次世代となる「16」を製品名につけたことなども説明された。
▲ヤマハTHRデモ&スペシャルトークには弓木英梨乃さんとヤマハの開発者が登場し、ジャンルに特化した新THRではモデルごとに文字のデザインやつまみ形状が異なることや開発秘話を。THR5Aについて弓木さんは気持よく弾けるとコメント、開発者からはチャーが「テープエコーがやばい」と絶賛していることなどが明かされた。
▲ラストは弓木英梨乃(Gt、Vo)、高原未奈(Ba)、川口千里(Dr)によるこの日限りの女の子ユニット“T.K.Y”のライブステージ。後半ではゲストとしてキーボーディストのGakushi氏も登場し、MXやMOTIF、MOXを演奏。洋楽ロックの名曲や歌謡曲のカバーをパワー溢れるプレイで聞かせた。
◆Sound Jam
◆ヤマハ
◆ヤマハが2012年秋の新製品を披露、ギター、アンプ、電子ドラム、シンセサイザーなど多数登場
◆BARKS 楽器チャンネル
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