サイレント映画を雄弁に彩る、素晴らしきサウンドトラックの世界

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第84回アカデミー賞最多受賞タイの5冠に輝いた映画『アーティスト』が4月7日に公開となる。全編モノクロ・サイレント映画であることが大きな話題を呼んでいる作品だが、音楽にも要注目だ。

◆『アーティスト』予告編

映画『アーティスト』の「サイレント」は「無音」という意味ではなく、セリフの音声が流れないだけで、ほぼ全編にわたって音楽は存在している。音楽は感情やストーリーを伝える多彩な表現力をもっているがゆえ、その制作には只ならぬ力が注がれているものだ。この重要な責務を果たしたのは、映画音楽作曲家のルドヴィック・ブールス。ルドヴィックは、3月に監督とともにプロモーション来日を果たしていたが、俳優陣や監督ではなく作曲家がプロモーションのために来日すること自体珍しいことで、本作品に込められた想いや制作秘話をきくことができる貴重な機会となった。

監督のミシェル・アザナヴィシウスとタッグを組んだのは『アーティスト』が4作目になるという。エレクトロ、ロック、ヒップホップ、民族音楽まで幅広くの音楽ジャンルの制作を行ってきたルドヴィックだが、本作で求められる世界観を再現するために参考にしたのは多数のハリウッド映画だ。「本作はハリウッドの名画の偉大な作曲家たちへの愛を宣言したトリビュートとしての意味合いも持っているんだ。」とも明かした。

最終的なレコーディングはブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団とともに1週間かけて行われ、ミュージシャン80人、ストリングス奏者50人、フレンチホルン奏者4人、トロンボーン奏者4人、パーカッション奏者5人、ハープ奏者1人、テクニシャン10人、編曲家5人、ミキサー3人を要したというから、壮大なプロジェクトだ。映画作品だからこそ実現できた豪華で大規模なレコーディングとなったようだ。

「こんにちは。『アーティスト』の音楽を作曲しましたルドヴィーグ・ブールスです。この素晴らしい映画を観に行くことを皆さんにお勧めします!シンプルですし、この地球の人々が今、こういった危機の多い時期に、一番必要なストーリーだと思います。『アーティスト』には、今この地球の人々に必要な純粋さやロマン、愛、素朴さがあります。皆さんぜひ映画を観て下さいね。」──ルドヴィック・ブールス

こうして制作された本作の音楽は、アカデミー賞の作曲賞や第69回ゴールデン・グローブ賞作曲賞をはじめとして、映画関連の音楽賞を多数受賞している。本作のオリジナル・サウンドトラック日本盤CDは4月11日に発売となるが、純粋に音楽作品としても素晴らしい内容となっている。もちろんiTunesなど配信でも購入可能だ。


『アーティスト』オリジナル・サウンドトラック
2012年4月11日発売
SICP-3486 税込¥2,520
音楽:ルドヴィック・ブールス
mora:http://mora.jp/package/80307744/SIXX00728B00Z/
iTunes:http://itunes.apple.com/jp/album/artist-original-motion-picture/id468068946?uo=4

映画『アーティスト』
製作国:フランス
公開日:2012年4月7日
上映時間:1時間41分
配給:ギャガ
http://artist.gaga.ne.jp/

◆『アーティスト』オリジナル・サウンドトラック
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