ニッキー・ミナージュ、新作『ローマン・リローデッド』全曲レビュー
「ずっと他の人のためにポップ・ソングを書いたりR&Bのレコードを作ったりできるとは思ってたけど、自分が自分らしい歌を歌って受け入れられるとは思っていなかった」と最近ニッキー・ミナージュは『コンプレックス』に待望の2NDアルバム『ピンク・フライデー:ローマン・リローデッド』について語っている。「目標はみんなに受け入れられることじゃなく、自分らしくやって、みんなをついてこさせること、それが大切なのよね」
たしかにアルバムの前半はすでに確立された彼女流のヒップホップで、リック・ロスやドレイク、クリス・ブラウンらが参加しているが、後半はあたかもレディ・ガガやマドンナと張り合うかのようにポップに重きが置かれている。
つまり、前作よりも自分の音楽的アイデンティティを広げることに時間をかけているわけで、サウンドにも磨きがかかり、コマーシャルにもなっていて、彼女のファンベースはさらに広がりそうだ。
1.「ローマン・ホリデー」:分身のローマン・ゾランスキーが登場し「私は狂人、どんなクスリにも治せない」と歌う。エクジビットAが「オー・カム・オール・ヤ・フェイスフル」を甘く歌う。
2.「カム・オン・ア・コーン」:ミナージュは3分間自慢げに語り、彼女に挑戦したり彼女を無視している人たちを圧倒してしまう。
3.「アイ・アム・ユア・リーダー」フィーチャリング・リック・ロス・アンド・キャムロン:キャムロンの懐かしい復活で歌の全体的なキャッチーさが増し
ている。
4.「ビーズ・イン・ザ・トラップ」フィーチャリング2チェインズ:ザ・ケノエがプロデュースしたアルバムの名曲のひとつ。ミックステープ時代の彼女を
思い出させる。
5.「ホヴ・レーン」:彼女のエネルギーはベースのベヴィなビートにピッタリだが、歌詞はジェイZへの賞賛で陳腐。
6.「ローマン・リローデッド」フィーチャリング・リル・ウェイン:ウェインがスポットライトを奪っている。彼女はここでポップに転向したことを否定し
ている。
7.「チャンピオン」フィーチャリング・ナス、ドレイク、ヤング・ジェージー:成功までの苦闘を歌っている。ヒップホップの重鎮たちが参加。
8.「ライト・バイ・マイ・サイド」フィーチャリング・クリス・ブラウン:ブラウンとのデュエットではミナージュもガードを下ろしている。ジョーダン・ス
パークスとブラウンの「ノー・エアー」を思い出させる曲。
9.「セックス・イン・ザ・ラウンジ」フィーチャリング・リル・ウェイン・アンド・ボビー・ヴァレンティノ:サウンド的にも歌詞的にも水準以下。
10.「スターシップ」:レッドワンが放つ最新シングル。ここからアルバムのポップ・パートが始まる。
11.「パウンド・ザ・アラーム」:「スターシップ」に見分けがつかないほど似ている。
12.「ホイップ・イット」:ラテン・フリースタイルに影響を受けたパーティ・ジャム。
13.「オートマティック」:ブリトニー・スピアーズの『ファム・ファタール』のドクター・ルークの曲を思わせる。
14.「ビューティフル・シナー」:このダンス・ソングでニッキーはラップよりも歌に専念。でも、この歌はボーカリストとしての弱さが出ている。
15.「マリリン・モンロー」:ジョジョの「ディザスター」に似た内省的なバラード。
16.「ヤング・フォーエヴァー」:ビヨンセやレオナ・ルイスを思わせるパワー・バラード。イギリスのポップ・ラジオでかかりそう。
17.「ファイアー・バーンズ」:前作の「セイヴ・ミー」のサウンド的続編で、際立った出来映え。
18.「ガン・ショット」フィーチャリング・ビーニー・マン:トリニダードの文化の味わいがなければミナージュのアルバムではない。レゲェ・アーティスト
とのコラボによるレゲェ・ポップ・クロスオーバー。
19.「ステューピッド・ホー」:ミナージュがふたたびローマンとなってアルバムは終わる。お得意のラップが炸裂している。
◆ニュース提供:ビルボード
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