テデスキ・トラックス・バンド、魂が奏でる圧巻のライヴ
「まるで女性版オーティス・レディングとデュアン・オールマンの生まれ変わりの競演」とも評され、2011年春からアルバムを引っ提げてのツアーを世界各地で行い、新たなファンを増やし続けているテデスキ・トラックス・バンドが日本上陸、熱狂の渦に巻き込んでいる。
◆テデスキ・トラックス・バンド画像
2010年夏にフジロックフェスティヴァルで夫婦共演を果たしていたデレク・トラックスとスーザン・テデスキだが、テデスキ・トラックス・バンド名義での正式な初来日を飾った今回は、アルバム『レヴェレイター』からの選曲に、彼らにとってのルーツともいえる60~70年代名曲カバーをプラスした豪華なプログラムとなっていた。
スティーヴィー・ワンダーの「アップタイト」、映画「真夜中のカーボーイ」(1969)の主題歌で知られる「エヴリバディズ・トーキン」では自然とオーディエンスから手拍子が沸き起こり、アンコールのスライ&ザ・ファミリー・ストーンの「シング・ア・シンプル・ソング~アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」では会場が一気にオールスタンディングになるほどの盛り上がりをみせた。彼らは、日本公演が始まってから毎晩異なるセットリストで演奏しており、選曲や曲順にもかなりのこだわりがあるようだ。
冒頭「こんばんは、東京」と日本で挨拶するスーザンは、お馴染みフェミニンなステージ衣装とハイヒールで颯爽とギターを弾きながら、すごみたっぷりでソウルフルなシャウトを聞かせる。その一方で、鳥がさえずるように可憐なMCの声…。そのギャップに驚いた人も少なからずいたことだろう。デレクとスーザンがお互いを尊敬し「共演が楽しくてしょうがない」と思っているのは、そのままホール全体に伝わっている。
そうはいえ、世界一の夫婦ギター対決もあり、そこはギターファンならずと目と耳が釘付けになるパフォーマンスを見せつける。深い精神性を湛えたデレクのギターはまるで指先から音が紡ぎだされるかのようだ。静かに語るかのよう無限にフレーズが次々溢れ出て、オーディエンスはただ圧倒されるばかり。
11人からなるこのバンド、スーザンとデレクが中心にいるものの、「誰1人として脇役なし」とデレクが言い切るのも納得のステージが繰り広げられ、メンバーそれぞれの見せ場もたっぷり用意されていた。ステージ左のキーボードとベースは実の兄弟のオテイル・ブラザーズだ。このふたりもただものではなく、ベースの弟オテイルはオールマンの現役ベーシストとして何度も来日しており、ドラムスもプレイプレイヤーだ。兄のコーフィはデレク・トラックス・バンドからのメンバーで、後半にみせた孤高のフルート・ソロがひときわ印象的だった。
オールマンを彷彿させるツインドラムの2人は、ひたすら職人のように叩きまくる。右側前列のホーン・セクションの3人も芸達者で、ついつい目がいってしまう踊り上手さと、歌いながらのメンバー紹介というイキな演出では美声を披露してくれた。
サウンドに絶妙な味わいをプラスする後列ハーモニー・ヴォーカル2人のキュートな振り付コーラスは、見ていてハッピーに。ブルーズ、ロック、ファンク、ジャズ…あらゆる要素が有機的に融合したこのバンドは、豊かな音楽性にあふれた、つわもの個性派メンバー達によるところが大きいと納得するところだろう。
瞑想しそうにディープなデレクのギターソロ、魂揺さぶられるスーザンのパワフルなヴォーカル。スピリチュアルなブルーズから踊ってしまうファンクまで、時間をわすれてどっぷりと彼らの音世界に浸る至福の2時間半のライヴは、このバンドの圧倒的な底力と、日々進化する彼らの無現の可能性をみた素晴らしいひと時となった。
幼い頃から“あのオールマンのブッチ・トラックスの甥”という枕詞と共に天才ギタリストとしてギター・フリークからの熱い視線を注がれてきたデレクも32才。歳月を重ねた分そのプレイは深みと凄みを増し、今や誰もが今世紀を代表する偉大なるギタリストとして注目する存在になっている。
pix by Yuki Kuroyanagi
テデスキ・トラックス・バンド来日メンバー
・デレク・トラックス(ギター)
・スーザン・テデスキ(ヴォーカル、ギター)
・オテイル・バーブリッジ(ベース)
・コーフィ・バーブリッジ(キーボード、フルート)
・タイラー・グリーンウェル(ドラムス)
・J.J.ジョンソン(ドラムス)
・マイク・マティソン(ハーモニー・ヴォーカル)
・マーク・リヴァース(ハーモニー・ヴォーカル)
・ケビ・ウィリアムス(サックス)
・モーリス・ブラウン(トランペット)
・ソンダース・サーモンス(トロンボーン)
(*コーフィ・バーブリッジとマイク・マティソンはデレク・トラックス・バンド時代からのメンバー)
<2012年テデスキ・トラックス・バンド単独初来日公演>
2月5日名古屋クラブアトロ18:00
2月7日大阪メルパルクホール19:00
2月8日渋谷公会堂19:00
2月9日渋谷公会堂 19:00
ウドー音楽事務所 http://udo.jp/
『レヴェレイター+(プラス)』(CD+DVD)
2012年2月1日発売
SICP3405-6 ¥3,000(税込)
日本独自企画 初回生産限定盤
『レヴェレイター』
1CD SICP3143 ¥2,520(税込
◆テデスキ・トラックス・バンド・オフィシャルサイト
◆テデスキ・トラックス・バンド画像
2010年夏にフジロックフェスティヴァルで夫婦共演を果たしていたデレク・トラックスとスーザン・テデスキだが、テデスキ・トラックス・バンド名義での正式な初来日を飾った今回は、アルバム『レヴェレイター』からの選曲に、彼らにとってのルーツともいえる60~70年代名曲カバーをプラスした豪華なプログラムとなっていた。
スティーヴィー・ワンダーの「アップタイト」、映画「真夜中のカーボーイ」(1969)の主題歌で知られる「エヴリバディズ・トーキン」では自然とオーディエンスから手拍子が沸き起こり、アンコールのスライ&ザ・ファミリー・ストーンの「シング・ア・シンプル・ソング~アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」では会場が一気にオールスタンディングになるほどの盛り上がりをみせた。彼らは、日本公演が始まってから毎晩異なるセットリストで演奏しており、選曲や曲順にもかなりのこだわりがあるようだ。
冒頭「こんばんは、東京」と日本で挨拶するスーザンは、お馴染みフェミニンなステージ衣装とハイヒールで颯爽とギターを弾きながら、すごみたっぷりでソウルフルなシャウトを聞かせる。その一方で、鳥がさえずるように可憐なMCの声…。そのギャップに驚いた人も少なからずいたことだろう。デレクとスーザンがお互いを尊敬し「共演が楽しくてしょうがない」と思っているのは、そのままホール全体に伝わっている。
そうはいえ、世界一の夫婦ギター対決もあり、そこはギターファンならずと目と耳が釘付けになるパフォーマンスを見せつける。深い精神性を湛えたデレクのギターはまるで指先から音が紡ぎだされるかのようだ。静かに語るかのよう無限にフレーズが次々溢れ出て、オーディエンスはただ圧倒されるばかり。
11人からなるこのバンド、スーザンとデレクが中心にいるものの、「誰1人として脇役なし」とデレクが言い切るのも納得のステージが繰り広げられ、メンバーそれぞれの見せ場もたっぷり用意されていた。ステージ左のキーボードとベースは実の兄弟のオテイル・ブラザーズだ。このふたりもただものではなく、ベースの弟オテイルはオールマンの現役ベーシストとして何度も来日しており、ドラムスもプレイプレイヤーだ。兄のコーフィはデレク・トラックス・バンドからのメンバーで、後半にみせた孤高のフルート・ソロがひときわ印象的だった。
オールマンを彷彿させるツインドラムの2人は、ひたすら職人のように叩きまくる。右側前列のホーン・セクションの3人も芸達者で、ついつい目がいってしまう踊り上手さと、歌いながらのメンバー紹介というイキな演出では美声を披露してくれた。
サウンドに絶妙な味わいをプラスする後列ハーモニー・ヴォーカル2人のキュートな振り付コーラスは、見ていてハッピーに。ブルーズ、ロック、ファンク、ジャズ…あらゆる要素が有機的に融合したこのバンドは、豊かな音楽性にあふれた、つわもの個性派メンバー達によるところが大きいと納得するところだろう。
瞑想しそうにディープなデレクのギターソロ、魂揺さぶられるスーザンのパワフルなヴォーカル。スピリチュアルなブルーズから踊ってしまうファンクまで、時間をわすれてどっぷりと彼らの音世界に浸る至福の2時間半のライヴは、このバンドの圧倒的な底力と、日々進化する彼らの無現の可能性をみた素晴らしいひと時となった。
幼い頃から“あのオールマンのブッチ・トラックスの甥”という枕詞と共に天才ギタリストとしてギター・フリークからの熱い視線を注がれてきたデレクも32才。歳月を重ねた分そのプレイは深みと凄みを増し、今や誰もが今世紀を代表する偉大なるギタリストとして注目する存在になっている。
pix by Yuki Kuroyanagi
テデスキ・トラックス・バンド来日メンバー
・デレク・トラックス(ギター)
・スーザン・テデスキ(ヴォーカル、ギター)
・オテイル・バーブリッジ(ベース)
・コーフィ・バーブリッジ(キーボード、フルート)
・タイラー・グリーンウェル(ドラムス)
・J.J.ジョンソン(ドラムス)
・マイク・マティソン(ハーモニー・ヴォーカル)
・マーク・リヴァース(ハーモニー・ヴォーカル)
・ケビ・ウィリアムス(サックス)
・モーリス・ブラウン(トランペット)
・ソンダース・サーモンス(トロンボーン)
(*コーフィ・バーブリッジとマイク・マティソンはデレク・トラックス・バンド時代からのメンバー)
<2012年テデスキ・トラックス・バンド単独初来日公演>
2月5日名古屋クラブアトロ18:00
2月7日大阪メルパルクホール19:00
2月8日渋谷公会堂19:00
2月9日渋谷公会堂 19:00
ウドー音楽事務所 http://udo.jp/
『レヴェレイター+(プラス)』(CD+DVD)
2012年2月1日発売
SICP3405-6 ¥3,000(税込)
日本独自企画 初回生産限定盤
『レヴェレイター』
1CD SICP3143 ¥2,520(税込
◆テデスキ・トラックス・バンド・オフィシャルサイト
この記事の関連情報
テデスキ・トラックス・バンド、来日公演決定
エリック・クラプトン、ジェフ・ベックの追悼公演を主催
テデスキ・トラックス・バンド、壮大な新プロジェクト『アイ・アム・ザ・ムーン』の第一章『アイ・アム・ザ・ムーン:I. クレッセント』のコンパニオン・フィルムがプレミア公開
ジョン・ポール・ジョーンズ、世界中のミュージシャンと「レヴィー・ブレイク」を演奏
テデスキ・トラックス・バンド、ジャパン・ツアーがスタート 大阪公演のレポートが到着
テデスキ・トラックス・バンド、キーボード/フルートのコフィ・バーブリッジが死去
テデスキ・トラックス・バンド、6月に来日公演が決定
来日目前のテデスキ・トラックス・バンドからコメントが到着
2016年に必ず観ておきたい注目の来日アーティスト【新春企画】