まさに“超・狂・漢”、SADS<EXTREME MAD MAN>浜松公演速報
9月10日、仙台を出発点としながらスタートしたSADSの新規ツアー<EXTREME MAD MAN>が大変なことになっている。開幕当初からその熱狂ぶりや演奏曲数の豊富さなどについてはあちこちで取り沙汰されているが、FC限定公演も含めて全11本というこのツアーがクライマックスを迎える前にどうしてもその熱を体感しておきたかった僕は、9月24日、浜松のライヴハウス・窓枠に向かった。
◆SADS画像
そして結果的にそこで確認させられることになったのは、10月28日まで続くこのツアーが、実はもはや最高潮と言っていい次元にまで達しているということ。というか、おそらくツアー初日からそうだったのだろう。とにかくこのバンドには手加減というものがない。“ゆったりとした滑り出し”などというものにも縁がない。当然のごとく超満員の大盛況となった同夜のステージからは、まさに毎晩のライヴがツアー・ファイナルであるかのような、彼らの出し惜しみのなさを改めて印象づけられることになった。
「また浜松に来ます。愛してます」
アンコールを含めて30曲超という演奏メニューを経て終演に至ったとき、清春はこんな言葉を口にした。語弊のある言い方かもしれないが、この程度の本数のツアーにおいて、浜松というのはかならずしも“外せない場所”ではない。が、彼らがここで演奏することを選んだのは、前回の公演時の感触がすこぶる良好だったからこそ。この夜最初のMCで清春はそれを認め、さらに「また次回も来れるように!」と観衆を扇動した。その言葉には当然ながら“今夜も気持ち良くさせてくれ”という含みがある。もっと噛み砕いて言うならば“俺たちは快感と満足を保証するから、少なくともそれと同等かそれ以上のものを返してくれ”というメッセージが込められていたはずだ。
そして実際、K-A-Zの作曲による未発表の新曲や、各メンバーのソロ・パートなどもふんだんに盛り込まれたライヴ・パフォーマンスは、長尺でありながら冗長さとは無縁のまま進み、人で埋め尽くされたフロアの熱気も、一瞬たりとも下降の兆しをみせることがなかった。一方では黒夢のニュー・アルバム完成が伝えられているこの時期、SADSにとってこのツアーは特に明確なテーマの伴わないものでもあったはずだが、清春自身の「今が一番だと思ってる」「いちばん新しいものを信用できる」という言葉にも裏付けられているように、この4人が日々のライヴを重ねながら自己ベストを更新し続けていくこと自体が、現在のSADSが生まれ持ったテーマなのだという解釈も可能だろう。僕自身はそうとらえているし、だからこそ、この夜に清春が早期レコーディング開始を公約したSADSの新作登場が待ち遠しくて仕方がない。いまだその発表時期については明言されていないが、今回のツアーでバンドが新たに獲得した刺激といったものも、確実にそこに反映されることになることだろう。
当日の具体的なセットリストなどについてはこの場には記さずにおくが、ひとつ興味深いところでは、3度目のアンコールに応えて登場した際に披露されたMOTLEY CRUEの「Wildside」のカヴァーが、音源化を望みたくなるくらいクールだった事実を付け加えておきたい。そこにSADSの今後の方向性に関するヒントが隠されているかどうかはわからないが、敢えて誤解を恐れずに大胆発言してしまえば、現在のMOTLEY CRUEを凌駕する何かが現在の彼らにはある。本日、9月28日に名古屋で開幕を迎えるMOTLEY CRUEのジャパン・ツアーも同然ながら必見だが、僕自身はいつかこの両バンドがステージを共にする機会を得ることを望んでいたりもする。というか、仮にニッキー・シックスやトミー・リーが現在のSADSの音源やライヴに触れたなら、絶対に無反応でいるはずがないと僕は思うのだが。
そして、この浜松公演の目撃者となった人たちのためにひとつだけ付け加えておきたい。最後の最後、ステージ上で急な頭痛に見舞われた清春だが、その後、体調は無事に回復している。11月2日に発売を控えている黒夢の約13年ぶりのアルバムは、『Headache and Dub Reel Inch』と題されている。まさかその因果でヘッドエイクに襲われたわけではないだろうが、とにかくSADSと黒夢、双方の今後の動向が楽しみなところである。
文/撮影:増田勇一
<SADSツアー>
9月30日(金)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
10月10日(月)熊谷・HEAVEN’S ROCK VJ-1
10月13日(木)宇都宮・HEAVEN'S ROCK VJ-2
10月18日(火)柏・PALOOZA
10月20日(木)甲府・CONVICTION
10月28日(金)横浜・Bay Hall
◆SADSオフィシャルサイト
◆SADS画像
そして結果的にそこで確認させられることになったのは、10月28日まで続くこのツアーが、実はもはや最高潮と言っていい次元にまで達しているということ。というか、おそらくツアー初日からそうだったのだろう。とにかくこのバンドには手加減というものがない。“ゆったりとした滑り出し”などというものにも縁がない。当然のごとく超満員の大盛況となった同夜のステージからは、まさに毎晩のライヴがツアー・ファイナルであるかのような、彼らの出し惜しみのなさを改めて印象づけられることになった。
「また浜松に来ます。愛してます」
アンコールを含めて30曲超という演奏メニューを経て終演に至ったとき、清春はこんな言葉を口にした。語弊のある言い方かもしれないが、この程度の本数のツアーにおいて、浜松というのはかならずしも“外せない場所”ではない。が、彼らがここで演奏することを選んだのは、前回の公演時の感触がすこぶる良好だったからこそ。この夜最初のMCで清春はそれを認め、さらに「また次回も来れるように!」と観衆を扇動した。その言葉には当然ながら“今夜も気持ち良くさせてくれ”という含みがある。もっと噛み砕いて言うならば“俺たちは快感と満足を保証するから、少なくともそれと同等かそれ以上のものを返してくれ”というメッセージが込められていたはずだ。
そして実際、K-A-Zの作曲による未発表の新曲や、各メンバーのソロ・パートなどもふんだんに盛り込まれたライヴ・パフォーマンスは、長尺でありながら冗長さとは無縁のまま進み、人で埋め尽くされたフロアの熱気も、一瞬たりとも下降の兆しをみせることがなかった。一方では黒夢のニュー・アルバム完成が伝えられているこの時期、SADSにとってこのツアーは特に明確なテーマの伴わないものでもあったはずだが、清春自身の「今が一番だと思ってる」「いちばん新しいものを信用できる」という言葉にも裏付けられているように、この4人が日々のライヴを重ねながら自己ベストを更新し続けていくこと自体が、現在のSADSが生まれ持ったテーマなのだという解釈も可能だろう。僕自身はそうとらえているし、だからこそ、この夜に清春が早期レコーディング開始を公約したSADSの新作登場が待ち遠しくて仕方がない。いまだその発表時期については明言されていないが、今回のツアーでバンドが新たに獲得した刺激といったものも、確実にそこに反映されることになることだろう。
当日の具体的なセットリストなどについてはこの場には記さずにおくが、ひとつ興味深いところでは、3度目のアンコールに応えて登場した際に披露されたMOTLEY CRUEの「Wildside」のカヴァーが、音源化を望みたくなるくらいクールだった事実を付け加えておきたい。そこにSADSの今後の方向性に関するヒントが隠されているかどうかはわからないが、敢えて誤解を恐れずに大胆発言してしまえば、現在のMOTLEY CRUEを凌駕する何かが現在の彼らにはある。本日、9月28日に名古屋で開幕を迎えるMOTLEY CRUEのジャパン・ツアーも同然ながら必見だが、僕自身はいつかこの両バンドがステージを共にする機会を得ることを望んでいたりもする。というか、仮にニッキー・シックスやトミー・リーが現在のSADSの音源やライヴに触れたなら、絶対に無反応でいるはずがないと僕は思うのだが。
そして、この浜松公演の目撃者となった人たちのためにひとつだけ付け加えておきたい。最後の最後、ステージ上で急な頭痛に見舞われた清春だが、その後、体調は無事に回復している。11月2日に発売を控えている黒夢の約13年ぶりのアルバムは、『Headache and Dub Reel Inch』と題されている。まさかその因果でヘッドエイクに襲われたわけではないだろうが、とにかくSADSと黒夢、双方の今後の動向が楽しみなところである。
文/撮影:増田勇一
<SADSツアー>
9月30日(金)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
10月10日(月)熊谷・HEAVEN’S ROCK VJ-1
10月13日(木)宇都宮・HEAVEN'S ROCK VJ-2
10月18日(火)柏・PALOOZA
10月20日(木)甲府・CONVICTION
10月28日(金)横浜・Bay Hall
◆SADSオフィシャルサイト
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