スタインバーグがRupert Neve DesignsのアナログサウンドをVCMテクノロジーで再現、EQ&コンプ「Portico 5033 / 5043 plug-in」

ポスト
ヤマハは、Steinberg Media Technologies GmbH(以下スタインバーグ)が、ヤマハの独自技術によってRupert Neve Designs(以下RND)のアナログプロセッサー「Portico(ポルティコ)」シリーズをプラグインソフトウェア化した「Portico 5033 plug-in」「Portico 5043 plug-in」を6月1日から発売する。

「Portico 5033 plug-in」「Portico 5043 plug-in」は、RNDが発売している「Portico」シリーズのイコライザーとコンプレッサーをヤマハの「VCMテクノロジー」によってソフトウェア化し、スタインバーグ社が提唱する「VSTプラグイン」としてDAWで使用できるようにしたもの。Mac OS X 10.5.8/10.6およびWindows XP/Vista/7に対応する。2つのソフトウェアを1つのパッケージにした「Portico 5033 and 5043 plug-ins」も同時に発売する。

RNDのRupert Neve氏は、オーディオレコーディング、プロダクションの黎明期から、マイクプリアンプ、イコライザー、そして大型ミキシングコンソールなど、数多くの機器を開発してきた人物。アナログ機材の持つサウンドの深みや奥行きにこだわり、それらの多くは今もなおプロオーディオ、映画、放送業界の最前線で活躍しており、エンジニアでその名を知らない人はいないという存在だ。その中でも代表的な「Portico 5033 EQ」と「Portico 5043 Compressor/Limiter Duo」をヤマハのデジタル技術「VCMテクノロジー」によってソフトウェア化したのが、「Portico 5033 plug-in」「Portico 5043 plug-in」。「VCMテクノロジー」は、ハードウェアのアナログ回路を素子レベルから正確にモデリングし、実機の持つ繊細かつ温かい音色をデジタルレコーディング環境にもたらすものだ。

「Portico 5033 plug-in」は、LF/HFシェルビング、およびLMF/MF/HMFパラメトリックの計5バンドのイコライザー。ローを絞れば低域が引き締まり、ハイを上げても耳が痛くならずに必要な帯域が持ち上がってくる独特のトーンコントロール特性を持つ。EQは、バンドごとにon/off切り替え(LMF/MF/HMF 独立、LF/HF 共通)ができるほか、All Bypassボタンによって簡単にA/B比較が可能。アナログハードウェアの再現に加え、デジタルならではのグラフィカルユーザーインターフェースを備えており、EQ特性を視覚的にグラフ表示し、各バンドに対応した EQポイントをマウスでドラッグすることで周波数とゲイン値を操作可能だ。

一方の「Portico 5043 plug-in」は、コンプレッサーの音色を決めるパラメーター Threshold、Ratio、Attack、Release、Gainをハードウェア同様に搭載、アナログハードウェア版と同様に、最短距離の操作で直感的にニーヴサウンドを得られるプラグイン。2つのゲインリダクションモードを持っており、ビンテージコンプレッサーで使われていた Feed Back(FB)モードでは、機器固有の色づけによって甘くスムーズなコンプレッションが、現代のコンプレッサーで主流のFeed Forward(FF)モードでは、音色変化を抑えつつ、より精度の高いコンプレッションが得られる。バイパス時にも動作する Portico 特有のインプット/アウトプットトランスフォーマーも再現している。

4月7日に行われた発表会ではNeve氏「ほかのどんなモデリングよりも優れた豊かで立体的なサウンド」とのコメントビデオが上映された(同内容は下記リンクからも見られる)。Portico plug-inのサウンドはまさにNeve氏が認めたサウンドというわけだ。

このほか、発表会では同じくVCMテクノロジーによるプラグイン「Yamaha Vintage Plug-in Collection」3種類が参考出品された。上記Portico plug-in同様4月6よりドイツで開催されているMusikmesse 2011で発表されたもので、これまでヤマハのハードウェアのコンソールDMシリーズやPMシリーズなどのアドオンとして提供されてきた製品のソフトウェア版だ。ラインナップは「Vintage Channel Strip」「Vintage Open Deck」「Vintage Stomp Pack」。こちらは発売時期、価格とも未定。DAW環境でもわざわざこれらを通すためにPM/DMシリーズを併用していたようなユーザーにはうれしい製品となるだろう。

<おもな仕様>
●Portico 5033 plug-in 5バンドイコライザー
Low frequency band : 30 Hz - 300 Hz, +/- 12dB
Low-mid frequency band : 50 Hz - 400 Hz, +/- 12dB, filter width (Q) 0.7 - 5
Mid-frequency band : 300 Hz - 2.5 kHz, +/- 12dB, filter width (Q) 0.7 - 5
High-mid frequency band : 1.8 kHz - 16 kHz, +/- 12dB, filter width (Q) 0.7 - 5
High-frequency band : 2.5 kHz - 25 kHz, +/- 12dB
●Portico 5043 plug-in コンプレッサー
Threshold : -50 dB - 0 dB
Ratio : 1.1:1 - Limit (8:1 以上)
Attack : 20ms - 75ms
Release : 100ms - 2.5s
Gain : -6dB - +20 dB

◆Portico 5033 plug-in
価格:オープン (予想実売価格 49,800円前後)
発売日:6月1日
◆Portico 5043 plug-in
価格:オープン (予想実売価格 49,800円前後)
発売日:6月1日
◆Portico 5033 and 5043 plug-ins
価格:オープン (予想実売価格 79,800円前後)
発売日:6月1日

◆Steinberg RND Portico plug-in 製品詳細ページ
◆プレスリリース
◆ヤマハ
◆BARKS 楽器チャンネル
この記事をポスト

この記事の関連情報