スタインバーグがCubase 6発表、ヤマハ初のiPad用アプリMOTIF XFコントロールソフトも登場
ヤマハは、1月14日に発表会を開催、Steinberg Media Technologies(スタインバーグ)のデジタル・オーディオ・ワークステーション・ソフトウェアのフラッグシップモデル「Cubase 6」と、ミッドレンジグレード「Cubase Artist 6」を発表した。また、参考出品として、Rupert Neve Designsのプラグイン「Portico」、同社のシンセサイザーをコントロールできるiPad用ソフト「MOTIF XF MIDI Control Applications for iPad」を紹介した。
●Cubase 6、Cubase Artist 6
今回発表されたのは、13日よりアメリカのアナハイムで開幕した「2011 NAMM Show」に出品された新製品。そのメインとなるのは、ヤマハの100%子会社であるスタインバーグのDAWソフトのメジャーバージョンアップとなる「Cubase 6」と「Cubase Artsit 6」だ。Cubaseシリーズのミッドレンジクラスはこれまで「Cubase Studio」という名称だったが、今回より「Cubase Artist」と改められている。
新機能はメジャーバージョンアップの名に恥じない内容。まず、グラフィックユーザーインターフェイスのデザインを刷新、膨大な機能にアクセスしやすく直感的に操作できるようになったほか、色とコントラストの最適化により長時間の作業の視覚疲労を軽減するものとなった。色は同社のNuendoを基にしたもので、ミキサーほかさまざまな部分の色を自由に変更できるようになっている。
ソフトウェア音源としては、これまでの「HALion One」に代わり、「HALion Sonic SE」を搭載。すでに単体発売されている「HALion Sonic」の特別バージョンで、Cubase 6では900以上、Artistでは550以上のサウンドとインストゥルメントを用意する。「HALion One」がシングルティンバーだったのに対して、こちらは16パートマルチティンバーとなっている。また、リミックスなどに便利なツール「Loop Mash」は「Loop Mash 2」に進化。バリエーションのシーン数が12から24に増えたほか、20を超えるパフォーマンス用エフェクトの追加により、リアルタイムでのパフォーマンスもより柔軟に行えるようになっている。
Cubaseの新機能。左からLoop Mush 2、HALion Sonic SE、VST Amp Rack
ギタリストにとってうれしいのが、念願のギタープラグイン「VST Amp Rack」の搭載。ビンテージのギターアンプをベースとした7つのアンプモデル、ワウワウやコンプ、ディレイなど16種のストンプボックス、6つのスピーカーキャビネットなどが用意される。もちろん、マイクのセッティングも細かく行える。
Cubase 6のみの機能の充実ぶりも注目だ。MIDIエディットでは直感的に楽器のアーティキュレーションを表現できる「VST Expression 2」を搭載。ノートイベントの移動にコントロールチェンジのデータが追従するほか、VST 3.5の機能である個別のノートにコントロールチェンジを割り当てることも可能だ。コントロールチェンジを同時に複数使うためにトラックを分けずに済むという画期的な機能というわけだ。
また、ドラムレコーディングを支援する機能もかなりのもの。インテリジェントなトランジェント/テンポ検知、位相の安定したクオンタイズ、ドラムリプレイスといった機能を装備。フリーテンポで録音したドラムトラックからテンポを検知してCubaseを追従させるといったことが可能なほか、ドラムキットの各パートをグループ化して編集、クオンタイズを適用するなど、録音後の処理が非常にカンタンに行えるようになっている。
このほか、Cubase 6、Artistともに2時間を超える詳細なビデオチュートリアルを付属。音声は英語となるが日本語字幕が付くので、Cubaseビギナーにもうれしい内容となっている。また、Windowsの64ビットネイティブ対応に続き、Mac OS環境も64ビットに対応。また、Cubase 6のみとなるが192kHzへの対応も果たしている。発売は3月下旬、価格はいずれもオープンとなっている。発売まで待てないという人も安心、1月14日以降にCubase 5を購入したユーザーに対して、発表キャンペーンとして新着200名に「HALion Sonic」が無償提供されるのもうれしいところだ。
Cubaseシリーズのほか、参考出品として2つの製品もお披露目された。これらはいずれも発売時期などは未定となっており、後日正式な発表があるという。
参考出品のRupert Neve Designs Portico Plug-ins ●Rupert Neve Designs Portico Plug-ins
Rupert Neve(ルパート・ニーヴ)氏により創設されたハイエンドのアナログ音響機器メーカーRupert Neve Designsとヤマハが、同社独自のデジタル技術VCM(Virtual Circuitry Modeling)を通じて技術提携を結び生まれたのが「Rupert Neve Designs Portico Plug-ins」。Rupert Neve氏が開発した往年の名器をヤマハのVCMモデリング技術で忠実に再現したプラグインだ。GUIとして用意されたつまみはハードウェアそのもので操作も同じだが、帯域、カーブをグラフィックで表現することでよりわかりやすくなっている。プラグインはPortico 5033 EQ、Portico 5043 Compressorを用意。EQは独特のトーンコントロール特性を持ち、「ローを絞れば低域が引き締まり、ハイを上げても耳が痛くならずに必要な帯域が上がる独特の効き」と紹介された。
MOTIF XF MIDI Control Applications for iPadから、8本のスライダーを備えたFaders & XY Pad ●MOTIF XF MIDI Control Applications for iPad
iPadが盛り上がっているなか「ヤマハがなにもアクションを起こさないわけにはいかない」と紹介されたのが同社初となるiPad用アプリケーション。ヤマハのワークステーションシンセサイザー「MOTIF XF」をコントロールするためのアプリケーションMOTIF XF MIDI Control Applications for iPadだ。発売はiTunes Storeを当して行われる。MOTIF XFとiPadの接続は無線LANを介して行う。MOTIF XF側に市販のUSB接続無線LANアダプタを接続すれば、iPadからのコントロールが可能になる。ワイヤレスでMIDI通信を可能にするため、iPadの置き場所が自由になるのもメリットの1つだ。アプリケーションは「Keyboard Arp & Drum Pad」「Faders & XY Pad」「Multi Editor Essential」「Voice Editor Essential」の4種類を用意。音色エディットができるのは当然として、発表会ではリアルタイムパフォーマンスに威力を発揮する「Faders & XY Pad」が紹介された。これはiPad上の画面のフェーダーで各種コントロールチェンジを操作するというもの。
写真左はMOTIF本体の背面USBポートに接続された無線LANアダプタ。会場ではコレガの製品を使用。写真右はMOTIF XFに載せた状態。接続はワイヤレスなのでiPadは自由に持ち運び可能。
8本のフェーダーには個別にそれぞれ3種類までのコントロールチェンジを割り当て可能、数値の範囲も設定できるようになっている。もちろん、マルチタッチ対応なので、複数のフェーダーを同時に操作することも可能だ。XY Padモードにすれば、画面上のボールを動かすことでより直感的かつダイナミックな音色変化も楽しめる。また、このボールを素早く動かせば手を離してもしばらく動きつづけ、壁に反射するというギミックもおもしろい。登場時期は未定だが、MOTIF XFユーザーは正式発表を楽しみに待とう。
◆ヤマハ
◆Steinberg
◆BARKS 楽器チャンネル
●Cubase 6、Cubase Artist 6
今回発表されたのは、13日よりアメリカのアナハイムで開幕した「2011 NAMM Show」に出品された新製品。そのメインとなるのは、ヤマハの100%子会社であるスタインバーグのDAWソフトのメジャーバージョンアップとなる「Cubase 6」と「Cubase Artsit 6」だ。Cubaseシリーズのミッドレンジクラスはこれまで「Cubase Studio」という名称だったが、今回より「Cubase Artist」と改められている。
新機能はメジャーバージョンアップの名に恥じない内容。まず、グラフィックユーザーインターフェイスのデザインを刷新、膨大な機能にアクセスしやすく直感的に操作できるようになったほか、色とコントラストの最適化により長時間の作業の視覚疲労を軽減するものとなった。色は同社のNuendoを基にしたもので、ミキサーほかさまざまな部分の色を自由に変更できるようになっている。
ソフトウェア音源としては、これまでの「HALion One」に代わり、「HALion Sonic SE」を搭載。すでに単体発売されている「HALion Sonic」の特別バージョンで、Cubase 6では900以上、Artistでは550以上のサウンドとインストゥルメントを用意する。「HALion One」がシングルティンバーだったのに対して、こちらは16パートマルチティンバーとなっている。また、リミックスなどに便利なツール「Loop Mash」は「Loop Mash 2」に進化。バリエーションのシーン数が12から24に増えたほか、20を超えるパフォーマンス用エフェクトの追加により、リアルタイムでのパフォーマンスもより柔軟に行えるようになっている。
Cubaseの新機能。左からLoop Mush 2、HALion Sonic SE、VST Amp Rack
ギタリストにとってうれしいのが、念願のギタープラグイン「VST Amp Rack」の搭載。ビンテージのギターアンプをベースとした7つのアンプモデル、ワウワウやコンプ、ディレイなど16種のストンプボックス、6つのスピーカーキャビネットなどが用意される。もちろん、マイクのセッティングも細かく行える。
Cubase 6のみの機能の充実ぶりも注目だ。MIDIエディットでは直感的に楽器のアーティキュレーションを表現できる「VST Expression 2」を搭載。ノートイベントの移動にコントロールチェンジのデータが追従するほか、VST 3.5の機能である個別のノートにコントロールチェンジを割り当てることも可能だ。コントロールチェンジを同時に複数使うためにトラックを分けずに済むという画期的な機能というわけだ。
また、ドラムレコーディングを支援する機能もかなりのもの。インテリジェントなトランジェント/テンポ検知、位相の安定したクオンタイズ、ドラムリプレイスといった機能を装備。フリーテンポで録音したドラムトラックからテンポを検知してCubaseを追従させるといったことが可能なほか、ドラムキットの各パートをグループ化して編集、クオンタイズを適用するなど、録音後の処理が非常にカンタンに行えるようになっている。
このほか、Cubase 6、Artistともに2時間を超える詳細なビデオチュートリアルを付属。音声は英語となるが日本語字幕が付くので、Cubaseビギナーにもうれしい内容となっている。また、Windowsの64ビットネイティブ対応に続き、Mac OS環境も64ビットに対応。また、Cubase 6のみとなるが192kHzへの対応も果たしている。発売は3月下旬、価格はいずれもオープンとなっている。発売まで待てないという人も安心、1月14日以降にCubase 5を購入したユーザーに対して、発表キャンペーンとして新着200名に「HALion Sonic」が無償提供されるのもうれしいところだ。
Cubaseシリーズのほか、参考出品として2つの製品もお披露目された。これらはいずれも発売時期などは未定となっており、後日正式な発表があるという。
参考出品のRupert Neve Designs Portico Plug-ins
Rupert Neve(ルパート・ニーヴ)氏により創設されたハイエンドのアナログ音響機器メーカーRupert Neve Designsとヤマハが、同社独自のデジタル技術VCM(Virtual Circuitry Modeling)を通じて技術提携を結び生まれたのが「Rupert Neve Designs Portico Plug-ins」。Rupert Neve氏が開発した往年の名器をヤマハのVCMモデリング技術で忠実に再現したプラグインだ。GUIとして用意されたつまみはハードウェアそのもので操作も同じだが、帯域、カーブをグラフィックで表現することでよりわかりやすくなっている。プラグインはPortico 5033 EQ、Portico 5043 Compressorを用意。EQは独特のトーンコントロール特性を持ち、「ローを絞れば低域が引き締まり、ハイを上げても耳が痛くならずに必要な帯域が上がる独特の効き」と紹介された。
MOTIF XF MIDI Control Applications for iPadから、8本のスライダーを備えたFaders & XY Pad
iPadが盛り上がっているなか「ヤマハがなにもアクションを起こさないわけにはいかない」と紹介されたのが同社初となるiPad用アプリケーション。ヤマハのワークステーションシンセサイザー「MOTIF XF」をコントロールするためのアプリケーションMOTIF XF MIDI Control Applications for iPadだ。発売はiTunes Storeを当して行われる。MOTIF XFとiPadの接続は無線LANを介して行う。MOTIF XF側に市販のUSB接続無線LANアダプタを接続すれば、iPadからのコントロールが可能になる。ワイヤレスでMIDI通信を可能にするため、iPadの置き場所が自由になるのもメリットの1つだ。アプリケーションは「Keyboard Arp & Drum Pad」「Faders & XY Pad」「Multi Editor Essential」「Voice Editor Essential」の4種類を用意。音色エディットができるのは当然として、発表会ではリアルタイムパフォーマンスに威力を発揮する「Faders & XY Pad」が紹介された。これはiPad上の画面のフェーダーで各種コントロールチェンジを操作するというもの。
写真左はMOTIF本体の背面USBポートに接続された無線LANアダプタ。会場ではコレガの製品を使用。写真右はMOTIF XFに載せた状態。接続はワイヤレスなのでiPadは自由に持ち運び可能。
8本のフェーダーには個別にそれぞれ3種類までのコントロールチェンジを割り当て可能、数値の範囲も設定できるようになっている。もちろん、マルチタッチ対応なので、複数のフェーダーを同時に操作することも可能だ。XY Padモードにすれば、画面上のボールを動かすことでより直感的かつダイナミックな音色変化も楽しめる。また、このボールを素早く動かせば手を離してもしばらく動きつづけ、壁に反射するというギミックもおもしろい。登場時期は未定だが、MOTIF XFユーザーは正式発表を楽しみに待とう。
◆ヤマハ
◆Steinberg
◆BARKS 楽器チャンネル
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