【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第10回 ファーストプレスで聴く『Music From Big Pink』
ファーストプレスの凄さがわかってきたような気がしたのです。この混沌としているのが、このアルバムの本来の音なのではないかと。ファーストプレスではすべての音が混ざり合っているがゆえに混沌としているのです。独特のエコーというかリバーヴの感じもより深く感じられます。だから、各楽器が土臭く野太い音で存在感を持ちながらも、全体のサウンドとしては混然一体としているのです。
それに比べるとセカンドプレスではどうやら、混沌とした部分が少し失われた結果、各楽器の音がはっきりしているように聴こえるようなのです。
こう書いてしまうと、まるでセカンドプレスの音が良くないかのようですが、まったくそんなことはありません、あくまでも、ファーストプレスとセカンドプレスを比較すると、の話。どちらにせよ“レインボー・キャピトル”のオリジナル盤の音はすこぶるいいのです。その後のプレスとなる“グリーン・キャピトル”時代のものも聴いてみると、それでも音は太くていいのですが、やはりその混沌としたような感じはかなり失われてしまうようです。
ちなみにボーナストラックが追加されて出たデジタル・リマスターのCDは、2009年、世間を騒がせたビートルズのリマスター同様、各楽器の音の輪郭がはっきりしていて太く、全体的にも音がクリアーで、今まで聴き取れなかったような音まで聴こえてきます。これはこれでわかりやすくていいです。THE BAND入門編にはこれがいいような気もします。でも、先程も述べた“オリジナルの音”とは方向性がだいぶ違っているように思えてしまいます。Robbie Robertsonが監修していたりもするみたいですが、彼も当時の感覚とは違ってしまっているのではないでしょうか…。
また、ボーナストラックはやはり聴きたいので嬉しいことには違いないのですが、個人的には、オリジナルの11曲の後に付け加えるのではなく、ボーナストラックのみを別のディスクにまとめて収録し、ボーナスディスクとしてつけるべきだと思います。コストの面で問題はあるのでしょうが、作品として11曲で完結しているのですから、これだけの大名盤ですし、その部分は大いに尊重すべきだと思うのです。
もちろん僕が最初に買ったのはCDです。ただしデジタルリマスター盤も出る前のものなので、音質は酷くチープです。それでもこのアルバムは大好きだったし、凄いアルバムだと思っていましたが、もしかしたらそれはこのアルバムを賛美する様々な評価を見たり聞いたりして、頭でっかちになって、凄いと思っていたのかもしれません。冷静に考えてみると、「The Weight」や「I Shall Be Released」等のわかりやすい名曲は入っているものの、作品全体としては決してわかりやすいものではないように思えるのです。
僕が初めて直感的に「凄い!」と思ったのは、オリ盤を手に入れて少ししてからです。手に入れてすぐはまた聴き比べなどして頭でっかちになっていましたが、それから少し経って、何気なくレコードに針を落としたとき、初めて直感的に「凄い!」と思い、体の芯が痺れるような感動を覚えました。オリジナルの『MUSIC FROM BIG PINK』は、土臭く、野太く、深みがあり混然一体となった音で、耳、頭を抜けて心に直に響いてきたのです。
このアルバムは、ぜひともオリジナル盤で聴いて欲しいと思うアルバムの1つです。“オリジナルの音”で聴くことで、きっとより深い部分で、この歴史的名盤の凄さやTHE BANDのやりたかったことが理解できるのではないでしょうか。
オリ盤探求の旅はまだまだ続くのであります。
text by:鈴木健太(D.W.ニコルズ)
◆連載『だからオリ盤が好き!』は、D.W.ニコルズのアーティストページに順次掲載されます
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【D.W.ニコルズ ライヴ情報】
Que’s birthday presents “Sweet Little Sixteen”
<D.W.ニコルズWAY25~ROUTE9 (おまけつき、対バンなし)~『太陽のこども、立つ。』>
9/25(土)@下北沢CLUBQue
OPEN / START 18:30 / 19:00
TICKET:2,500円(前売)
チケット発売中!
※おまけ…Go To ONENNIVERSARYTOUR Tシャツ♪
お問い合わせ:CLUBQue 03-3412-9979
◆ ◆ ◆
「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)
待望のメジャー1st フルアルバム
2010年4月7日発売
『ONELBUM』(ワンルバム)
初回盤(DVD付)
AVCH-78012/B/3,000円(tax in)
通常盤
AVCH-78013/2,500円(tax in)
【CD】
01.B.D.K.
02.春風
03.ファミレス
04.SMOKE
05.グリンピースヌーピー
06.熱帯夜
07.太陽
08.サマーレイン
09.波待ちサーファー
10.マイライフストーリー
11.haleiwa
【DVD(初回盤のみ)】
01.マイライフストーリー
02.春風
03.B.D.K.
◆D.W.ニコルズ オフィシャルウェブサイト
◆D.W.ニコルズ MySpace
それに比べるとセカンドプレスではどうやら、混沌とした部分が少し失われた結果、各楽器の音がはっきりしているように聴こえるようなのです。
こう書いてしまうと、まるでセカンドプレスの音が良くないかのようですが、まったくそんなことはありません、あくまでも、ファーストプレスとセカンドプレスを比較すると、の話。どちらにせよ“レインボー・キャピトル”のオリジナル盤の音はすこぶるいいのです。その後のプレスとなる“グリーン・キャピトル”時代のものも聴いてみると、それでも音は太くていいのですが、やはりその混沌としたような感じはかなり失われてしまうようです。
ちなみにボーナストラックが追加されて出たデジタル・リマスターのCDは、2009年、世間を騒がせたビートルズのリマスター同様、各楽器の音の輪郭がはっきりしていて太く、全体的にも音がクリアーで、今まで聴き取れなかったような音まで聴こえてきます。これはこれでわかりやすくていいです。THE BAND入門編にはこれがいいような気もします。でも、先程も述べた“オリジナルの音”とは方向性がだいぶ違っているように思えてしまいます。Robbie Robertsonが監修していたりもするみたいですが、彼も当時の感覚とは違ってしまっているのではないでしょうか…。
また、ボーナストラックはやはり聴きたいので嬉しいことには違いないのですが、個人的には、オリジナルの11曲の後に付け加えるのではなく、ボーナストラックのみを別のディスクにまとめて収録し、ボーナスディスクとしてつけるべきだと思います。コストの面で問題はあるのでしょうが、作品として11曲で完結しているのですから、これだけの大名盤ですし、その部分は大いに尊重すべきだと思うのです。
もちろん僕が最初に買ったのはCDです。ただしデジタルリマスター盤も出る前のものなので、音質は酷くチープです。それでもこのアルバムは大好きだったし、凄いアルバムだと思っていましたが、もしかしたらそれはこのアルバムを賛美する様々な評価を見たり聞いたりして、頭でっかちになって、凄いと思っていたのかもしれません。冷静に考えてみると、「The Weight」や「I Shall Be Released」等のわかりやすい名曲は入っているものの、作品全体としては決してわかりやすいものではないように思えるのです。
僕が初めて直感的に「凄い!」と思ったのは、オリ盤を手に入れて少ししてからです。手に入れてすぐはまた聴き比べなどして頭でっかちになっていましたが、それから少し経って、何気なくレコードに針を落としたとき、初めて直感的に「凄い!」と思い、体の芯が痺れるような感動を覚えました。オリジナルの『MUSIC FROM BIG PINK』は、土臭く、野太く、深みがあり混然一体となった音で、耳、頭を抜けて心に直に響いてきたのです。
このアルバムは、ぜひともオリジナル盤で聴いて欲しいと思うアルバムの1つです。“オリジナルの音”で聴くことで、きっとより深い部分で、この歴史的名盤の凄さやTHE BANDのやりたかったことが理解できるのではないでしょうか。
オリ盤探求の旅はまだまだ続くのであります。
text by:鈴木健太(D.W.ニコルズ)
◆連載『だからオリ盤が好き!』は、D.W.ニコルズのアーティストページに順次掲載されます
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【D.W.ニコルズ ライヴ情報】
Que’s birthday presents “Sweet Little Sixteen”
<D.W.ニコルズWAY25~ROUTE9 (おまけつき、対バンなし)~『太陽のこども、立つ。』>
9/25(土)@下北沢CLUBQue
OPEN / START 18:30 / 19:00
TICKET:2,500円(前売)
チケット発売中!
※おまけ…Go To ONENNIVERSARYTOUR Tシャツ♪
お問い合わせ:CLUBQue 03-3412-9979
◆ ◆ ◆
「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)
待望のメジャー1st フルアルバム
2010年4月7日発売
『ONELBUM』(ワンルバム)
初回盤(DVD付)
AVCH-78012/B/3,000円(tax in)
通常盤
AVCH-78013/2,500円(tax in)
【CD】
01.B.D.K.
02.春風
03.ファミレス
04.SMOKE
05.グリンピースヌーピー
06.熱帯夜
07.太陽
08.サマーレイン
09.波待ちサーファー
10.マイライフストーリー
11.haleiwa
【DVD(初回盤のみ)】
01.マイライフストーリー
02.春風
03.B.D.K.
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