ピーター・フランプトン、横田めぐみさんに捧げる2曲の思い

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6月23日にリリースとなったピーター・フランプトンのニュー・アルバム『サンキュー ミスター・チャーチル』で、北朝鮮拉致被害者の横田めぐみさんに捧げられた曲が2曲収録されていることがわかった。

◆ピーター・フランプトン画像

自らの内面を掘り下げると同時に世界情勢にも目を向けた当作品だが、6曲目に収録されている「アスリープ・アット・ザ・ホィール」は、ある日突然、見知らぬ者に自由を奪われた彼女の悲しみと、いつか自由になる日への希望を歌っている作品であり、7曲目の「リベルテ組曲」の前半を占める「Megumi」は彼女に送る、心を揺さぶるインストゥルメンタル曲である。横田めぐみさんが拉致された頃と同じ年頃の娘を持つ父親であるピーター・フランプトンのありったけの思いが伝わってくる。

ピーター・フランプトンは、ある日パティ・キムとクリス・シェリダン監督のドキュメンタリー『めぐみ/引き裂かれた家族の30年』をテレビで見て、衝撃を受けたのだという。

「頭をガツンと殴られた気がした。何者かに自由を奪われて、自分の人生を失ってしまうなんて、本当に恐ろしいことだ。めぐみさんの家族にとっても、それはいつ終わるとも知れない戦いの始まりだった。僕にも十代の娘がいるし、他人事とは思えない。「アスリープ・アット・ザ・ホイール」は、書かずにいられなかった曲だ。北朝鮮は日本の子供たちを拉致してきた。めぐみさんは13歳か14歳のとき、学校に向かう途中に連れ去られ、そのまま消息を絶った。この歌は、彼女のご両親の戦いを物語っている」──ピーター・フランプトン

また、インストゥルメンタル曲「リベルテ組曲」の前半を占める「Megumi」は、思いをギターに託した作品となった。

「この曲は、めぐみさんがいつかきっと彼女の家族の元に戻ってくるという、希望に満ちた曲だ。僕はギタリストだし、ギターを通じて彼女への思いを表現したかった。ストラトキャスターを手にして、あふれる感情を曲にしたんだ」

ピーター・フランプトンの家族を思う気持ちは、アルバム全編を貫ぬくひとつのキーワードだ。アルバム・タイトル曲「サンキュー ミスター・チャーチル」は自らの父親に贈る曲。第二次世界大戦に出征した父が無事帰国することが出来たことを心から喜び、父への思いを表現した作品だ。また、「ヴォードヴィル・ナナ・アンド・ザ・バンジョーレレ」は彼に音楽家としての道を進ませるきっかけとなった祖母との思い出について描いた曲である。

込められたメッセージが人の心を動かしたり、凍った気持ちを少しずつ溶かしたり、音楽の力は理屈では測れぬ素晴らしいパワーを内包している。ピーター・フランプトンの思いが世界中のリスナーに届き、国境を越えて事件の解決につながれば、それは何にも変えがたい素敵なことだ。

『サンキュー ミスター・チャーチル』
2010年6月23日発売
VQCD-10189 ¥2,500(Tax In)
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