[クロスビート編集部員リレー・コラム] 編集長大谷編「ゼム・クルックド・ヴァルチャーズ」
フー・ファイターズのデイヴ・グロール×レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズ×クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのジョシュア・オムによるスーパー・プロジェクト、ゼム・クルックド・ヴァルチャーズが遂に上陸。それを記念して、デビュー・アルバムの限定デラックス・エディションがリリースされた。
2010年1月、オーストラリアのシドニーで行なわれたライヴ5曲を追加したもので、このバンドの真髄はここにこそあると言っても過言じゃない仕上がりだ。ジョンのベースが曲を引っ張りながら、デイヴのドラムとジョシュアのギターがそこに絡みついていく「スカムバッグ・ブルース」は、まさしくライヴならではのスリルと緊張感に包まれている。3人が語り合うようにして曲調が自由自在に変化していく流れは、8分近いセッションなのに全くダレることがない。デイヴのダイナミックなドラムから始まる「エレファンツ」といい、イントロだけで痺れさせる「ノー・ワン・ラヴス・ミー・アンド・ニーザー・ドゥ・アイ」といい、どのライヴ・テイクもメンバー同士の結びつきの深さが音に直結。更に、未発表曲「ハイウェイ・ワン」はアルバムに収録されていても遜色ない出来で、3人で紡ぎ出す変則グルーヴが強烈なナンバーだ。
フーファイとゼップとクイーンズのエッセンスが巧みに溶け合いながら、ロックの醍醐味を体現するゼム・クルックド・ヴァルチャーズ。これで終わってしまうのではなく、次なる新展開にマジで期待したい。
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