Creature Creature<PURGATORY 煉獄>開幕!名盤誕生の予感を確信に変えた東京第一夜
名盤誕生の予感が確信に変わる瞬間。それをライヴ空間で味わうという不思議な体験をした。6月20日、東京・渋谷O-EASTにて<PURGATORY 煉獄>と銘打たれたツアーを開幕したCreature Creature。彼らがその場で証明してみせたのは、あくまでMorrie(Vo)個人を核としながら誕生したこのプロジェクトが、明らかに“バンド”として有機的な変容を遂げているという現実。そして、7月21日に発売を控えているこの名義での第2作、『INFERNO』こそが、Creature Creatureにとっての本当の第1章と呼ぶべきものだという事実だろう。
午後6時、定刻に暗転を迎えると、ステージ上の5人が演奏し始めたのは「Dream Caller」。いきなりライヴ初披露の新曲で幕を開けるという大胆さにも驚かされたが、同時に、オーディエンスの即時的反応の素晴らしさにも目を疑わずにいられなかった。『INFERNO』のリード・トラックのひとつでもあるこの楽曲は、すでに彼らのオフィシャル・マイスペースで試聴可能な状態ではあるが、おそらくファンの大半は何度となく“予習”を重ねてきたのだろう。続けざまに、やはり新曲のひとつである「Amor Fati」が繰り出されても、場内に充満する熱は少しも冷めることがない。
それから2時間弱にわたって披露されたのは、2006年発表の1stアルバム、『Light & Lust』の収録曲たちを軸としながらも、『INFERNO』からの楽曲群が躊躇なく随所にちりばめられた、とてつもなく濃厚で深遠なプログラム。この先に大阪、名古屋での公演も残されているだけに具体的な演奏内容について必要以上には触れずにおくが、作品リリース直前のライヴにありがちな“新曲発表会”的な堅苦しさやぎこちなさと一切無縁のものだったことは、むしろ強調しておきたい。率直に言えば、「ツアー初日であることが信じられないほどの充足感」を僕は堪能させられた。これから公演の機会を重ねながら、このバンドの描く“闇”と“混沌”がさらに強烈なものになっていくことを想像すると、それだけで鳥肌が立ってくる。同じような感覚を抱いている目撃者たちも、同夜、フロアを埋め尽くしていた観客の数とほぼ同じだけ存在するに違いない。
改めて整理しておくと、Creature Creatureは、Morrie(Vo)の率いる5人組であり、Hiro(G)、Shinobu(G)、Hitoki(B)、そしてSakura(Ds)というツワモノたちによって構成されている。個々の前歴や現在同時進行中の活動などについては、改めてこの場で触れる必要もないだろう。始動当初、メンバーのラインナップについてはあくまで流動的なものと考えられていたが、昨年、この顔ぶれによるライヴに強力な手応えをおぼえたMorrieは、同じ布陣でのアルバム制作を決意。そうして完成されたのが『INFERNO』であり、そこには当時から“新曲”として披露されていた楽曲のいくつかも、より丹念に練り上げられた状態で封じ込められている。誤解を恐れずに言えば、通常の“バンド”という形態の利点も不便さも知り尽くしたプロフェッショナルたちによる、純度の高い化学反応を堪能できるのが、Creature Creatureという“場”なのである。
実際、そのライヴについて書き連ねるべきことは他にもたくさんあった。ことに「天醜爛漫」でMorrieが醸し出したある種の狂気には、身震いさせられるような興奮をおぼえたし、最後の最後、本当に予定外のアンコールに応えて、この夜2回目の「Red」が演奏されたときには、それまでずっと続いていた“闇”の世界からの解放を体感させられることになった。もちろんMorrie自身の妖艶さやヴォーカル・パフォーマンスの充実ぶり、ツボを押さえた職人芸レヴェルのプレイと“華”の同居するメンバーたちの稀有さについては、今さら言うまでもない。
そして今後、大阪、名古屋でのライヴを目撃することになる人たちすべてが、この夜の僕と同じように、この“バンド”の素晴らしさと、『INFERNO』というマスターピースの誕生について確信することになるだろう。間違いなく。しかも“燃えさかる炎”に包まれながらの“煉獄”は、まだまだ続いていく。しばらくはこの怪物から、目を離すことができそうにない。
文●増田勇一/写真●緒車寿一
<PURGATRY>
●6月20日(日)東京・Shibuya O-EAST
開場 17:00/開演 18:00
●6月28日(月)大阪・umeda AKASO
開場 17:30/開演 18:30
●6月30日(水)名古屋・ell. FITS ALL
開場 18:00/開演 18:30
料金:前売\6,300(税込/当日\6,800(税込)*ドリンク代別
[問]ディスクガレージ 03-5436-9600(平日12:00~19:00)
◆チケット詳細&購入ページ
◆Creature Creatureマイスペース
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