【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第6回 「HIGHWAY61 REVISITED」

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僕が2010年に入ってついに手に入れた『HIGHWAY61 REVISITED』のオリ盤は、USオリジナルのモノラル盤!

かねてからモノラルで聴きたい! と思ってはいたものの、大名盤・人気盤だけに、なかなか見かけない上に見つけてもとても高い。さすがにそう簡単に買えるものではありません。しかし、僕のディラン愛が報われたのか、突然訪れた幸運な出会いによって、ついに手に入れることができたのです。

僕は時々オークションでもオリ盤を買います。お店で買うよりも安く買える場合も多いので…(ただし現物を見ることができないので注意が必要ですが)。ある時、『Otis Redding / Live In Europe』のオリジナル盤(ステレオですが)を格安で落札し、都内のあるお店からの出品だったので商品を店頭に直接取りに行きました。そのお店はSoulやR&B等ブラックミュージックが専門のお店だったのですが、少しだけアメリカンロックやSSW(=シンガーソングライター)系も置いていました。

店内も一通り見てからレジカウンターで商品を受け取ると、その奥ではちょうどディランの『The Freewheelin' Bob Dylan』を商品陳列のために袋に入れているところでした。すかさず売り物かどうかと尋ねると売り物だということなので検盤させてもらいましたが、これは残念ながらオリジナルではありませんでした。「ありがとうございました」とレコードを戻すと、「こないだ入ったばっかりのディランありますよ」と店員さん。なんていい人。それで出てきたのがこのUSオリジナル・モノラル盤。そして驚いたのがその値段。破格でした。何と市場価格の半値以下。3分の1とも言えるかもしれません。

盤を見てみると、さすがに状態は良くない。よく聴かれたみたいで、かなり溝が磨り減っている。でも、細かい傷こそたくさんあるものの、音とびしそうな傷は見当たらない。試聴できるというので、念入りに試聴させてもらう。溝が減っているせいかときどき音が割れ気味になったり、多少プチパチいったりはするけど、見た目ほどひどくは無く、大きめの傷のところでもやはり音とびはしない。これはもちろん、購入です。十分にアリな状態。しかもこの破格。もっとひどい状態でも2倍くらいするのが相場ですから。

本当に素晴らしい出会いでした。この出会いが無かったら、今でも『HIGHWAY61 REVISITED』のオリ盤は手に入れることができていなかったかも知れません。

ではなぜそんなに安かったのか、ですが、それはそのお店がほぼブラックミュージック専門だったからだと思います。ソウル系などは基本的にシビアに値段がつけられていましたが、アメリカンロック・SSW系は結構ルーズでした。実はこういうお店は狙い目だったりもします。専門分野のあるお店では、それ以外のジャンルは値段のつけ方がルーズなことが結構あるのです。もちろん相場よりも高値がついている場合も多々ありますが、今回のようにいいものを破格で見つけられる場合もあります。こういうことがあるからレコード探しは楽しいのです。

さて、『HIGHWAY61 REVISITED』 USオリジナル・モノラル盤。

今まで数え切れないほどステレオのCDで聴いてきたものをモノラルのアナログ・オリジナル盤で聴くのですから、違いに驚いてしかりなのですが、それにしても凄い。これも当たり前のことですがバランスが全然違うわけです(ステレオ盤とモノラル盤の話はまたこの連載でするつもりです)。ずっと聴いてきたものでは、ディランの後ろにバンドがいるのですが、このモノラル盤ではバンドの中にディランがいる。そして音の生々しさや臨場感は身震いするほど。ビートルズのモノラルミックスを聴いたときと同じ衝撃を受けました。

やはりこの時代のモノラルのオリ盤は、違いが顕著にわかるので感激もひとしおです。明らかにミックスが違う訳ですからね。そしてモノラルの臨場感・迫力はたまりません。まさかステレオよりもモノラルの方が臨場感を感じるとは、実際にモノラルのオリ盤を聴くまでわかりませんでした。

そしてやはりこのオリジナル・モノラル盤の「Like A Rolling Stone」は圧巻の一言。ディランが好きな人全員に聴かせたい。聴けば聴くほど名曲ぞろいのこのアルバム。これは僕の宝物です。

ずーっと大好きだったアルバムが、さらに大好きになる。それもオリ盤の力。
オリ盤探求の旅はまだまだ続くのであります。


text by:鈴木健太(D.W.ニコルズ)

◆連載『だからオリ盤が好き!』は、D.W.ニコルズのアーティストページに順次掲載されます

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「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)

待望のメジャー1st フルアルバム
2010年4月7日発売
『ONELBUM』(ワンルバム)
初回盤(DVD付)
AVCH-78012/B/3,000円(tax in)
通常盤
AVCH-78013/2,500円(tax in)

【CD】
01.B.D.K.
02.春風
03.ファミレス
04.SMOKE
05.グリンピースヌーピー
06.熱帯夜
07.太陽
08.サマーレイン
09.波待ちサーファー
10.マイライフストーリー
11.haleiwa
【DVD(初回盤のみ)】
01.マイライフストーリー
02.春風
03.B.D.K.

◆D.W.ニコルズ オフィシャルウェブサイト
◆D.W.ニコルズ MySpace
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