シアターブルック、日本音楽史に名を残すべき名盤『intention』完成

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THEATRE BROOK

New Album『intention』2010.6.9 Release

ロックスターの生き様と意図が刻まれた日本音楽史に名を残すべき名盤
俺らはレイドバックしたおっさんのロックバンドじゃない、ギンギンのイケイケのバンドなんスよ。エロい女のお尻をひっぱたき、理想の低い政治家のお尻をひっぱたき、世界のお尻をひっぱたく。

INTERVIEW

リスクマネージメントの時代だけど、ロックのアルバムはドキドキしないと。

――6月9日、ロックの日リリースに相応しいアルバム『intention』、完成しました!

佐藤タイジ(以下、タイジ):新しいシアターブルックの、新鮮な感じに仕上がってると思うんですよね。だから、このアルバムはちょっとお休みしてたシアターブルックの、再始動のファンファーレであると。間違いない!

――再始動のスタートとなったシングル「裏切りの夕焼け」がオープニング・テーマに起用されていた、アニメ『デュラララ!!』でシアターを初めて知ったという人たちもね、このアルバムを手に取って。

タイジ:そう! ピキラップ(Pick it up)して欲しいっスよ。

――ピキラップして、1曲目が流れてきたら…。

タイジ:「お尻をひっぱたけ!」。いいと思うんですけどね。

――これ、狙ってました?

タイジ:完全に狙ってます。いろいろ曲順も考えて試したんスよ。でも、これで始まるのが一番インパクトがあってドキドキわくわくして、ファンファーレ的な機能を果たしてくれるんスよね。俺らはいわゆるレイドバックしたおっさんのロックバンドじゃない、ギンギンのイケイケのバンドなんスよ。エロい女のお尻をひっぱたき、理想の低い政治家のお尻をひっぱたき、ほんで世界のお尻をひっぱたくというね。みんなでひっぱたこうと。

――しかも愛を持って。

タイジ:心を込めて、思いっきりね。

――素晴らしい! でも、最初に聴いたときは、若干歌詞にびっくりしてステレオのボリュームちょいと下げちゃいましたけど(笑)。

タイジ:そう? でも共感できる歌詞でしょ?

――死ぬほどできます。恥ずかしながらも。

タイジ:そう! それがロックなんスよね。そのドキドキ感がないとつまんない。俺も中学校ぐらいのときに、NHK FMの番組欄で“SEX PISTOLSの特集”という文字を目にして「SEX!? これ大丈夫なん!?」って、それだけでドキドキした訳ですよ(一同笑)。そういうのがね、必要ですよ。リスクマネージメントの時代だけど、ロックのアルバムはドキドキしないと。

――そんなドキドキの後に流れてくるのが、まさかのギター・インスト「SNAKE BOOTS」。

タイジ:インストをやらないといけないって思ってたんです。なぜこのインストをやろうと思ったかっていうと、去年、エリック・クラプトンとジェフ・ベックの来日公演を観に行った訳っスよ。初めて見たんだけど、ジェフ・ベックってライヴで観ると凄いんスよ! カッコいい、上手いし。あの人、全然歌わないし、全部ギターのインストじゃん? でも、ものすごいカラフルでいろんな色で演奏ができて。それにいたく感動して。こういうのやれる世代って、俺らで最後だと思うし、やっとかないといけないなと思って。ジェフ・ベックに「RED BOOTS」っていう曲があるんだけど、俺のはヘビの型押しが入ってるから「SNAKE BOOTS」でいいやって作って。そしたらこの間、たまたまお茶してたその店にジェフ・ベックが現れて、“うっそー、ヤバいヤバい!”ってビビリながらも「オールウェイズ・リスペクトです」って握手だけはしてもらいました。すんっごい柔らかい、繊細な手だった。あれは嬉しかったなぁ。

――こうして、まさに度肝を抜かれるオープニング2曲の衝撃派のあと、3曲目の「明日のかけら」から“おぉー、これこれ、これよ”というのがやってきて。

タイジ:シアターブルックらしい曲ですよね。楽曲的にも、これ気に入ってて。理想のバンド・アンサンブルってところで、ニール・ヤング&クレイジー・ホースは一つの理想の形なんですよ。俺、ローリング・ストーンズよりもクレイジー・ホースのほうが好きなんです。だから、この曲もなんとなくクレイジー・ホースのイメージではある。でも、沼澤(尚)さんがドラムを叩くと、スネアの場所とかちょっとモータウンっぽくなってくるので、それで現代的クレイジー・ホースみたいなね。

――ちょっとオシャレ感入った。

タイジ:そこがシアターブルックの奥座敷の深さ。老舗の看板ドーンなんやけど、中庭通り越してもこういう奥座敷がありますから(笑)。

――そういう音のマジックを楽しめるのがシアターブルックですからね。

タイジ:ぜひそこを楽しんで頂きたい。今回レコーディングも頑張ったもん! みんなそれぞれの活動もあってスケジュールがなかなかとれんから、俺が家で仕込むしかないってことになり、リハ入るまでに寝ずに仕込んで、愛情込めまくりましたもん。それで、寝ずに仕込んでるときに……このアルバムと同時発売で、佐藤タイジ初の書き下ろし本を出すんスけど、その執筆期間とシアターブルックの制作が完全にかぶってしまって。もぉ大変でした。

――えっ、タイジさんが本?

タイジ:『やめんかったらロックスター』っていう本をアルバムと同時発売するんスよ。一人メディアミックス(一同笑)。

――本はどんな内容なんですか?

タイジ:ビジネス書専門の出版社から出るんですけど。最近は職を転々とする20代がたくさんいる、そういう人に向けて、私のように一つの仕事をずっとやってきた人の言葉というコンセプトで書いてくれといわれ。それをまとめてみたら、自分がロック少年からロックスターに至るまでのいろいろな面白エピソードをまとめた本になりまして。ロックスターの現実、それからロックスターの性生活!

――ぶはははっ(笑)。性生活まではいらなくないですか?

タイジ:いやいや、性生活も生活の大事な要素の一つですから! そんな事細かに書いてる訳じゃないよ? どこでなにしてこんな感じやった、ぐらいのことをざっくりと(一同大爆笑)。でね、その本をなんで出そうと思ったかというと、俺が凝って読んでた本があって。カルロス・カスタネダの本で、そのなかでは“死”を“意図”ととらえる。意図を迎えたとき、自分の人生のなかで、自分にしか起きなかったことではなく誰にでも起きうる出来事なんだけど、なぜか自分に起きた出来事をファイルして、それを意図を迎えた瞬間に提出しなさい、というのがあって。で、この『やめんかったらロックスター』のお話をいただいたときに“ああ、自分のファイルを作るにはいいタイミングだな”と思ってやることにした訳。それが期せずしてアルバムのタイミングと一緒だったから、その本を書いていたからこそ書いた曲とか、この曲を書いてたからこそ本に書いちゃったこととか、完全に2つがリンクしてるんスよ、俺ん中で。一人メディアミックスしてて、完全に“対”になってて。本を読んでアルバム聴くと、“この曲のこの人ってこの人のことだ”って分かるんですよ。すごい立体的になって、自分でもこれはオモロイなと。それがあったから、アルバムの歌詞も自分のこれまでの出来事を同じような姿勢で書けたんスよね。

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