ショパンの伝記的作品、映画『別れの曲』上演上映決定
ショパンの「別れの曲」といえば、クラシックというジャンルを超え、多くの日本人に愛され続けている永遠の名曲だが、この「別れの曲」というタイトルは、実は日本独自のもので、日本で公開されたある映画のタイトルが由来になっているのだという。「別れの曲」の正式な曲名は「エチュード第3番ホ長調」。これが日本で「別れの曲」として親しまれるようになったのは、戦前に日本公開された映画『別れの曲』のメイン・テーマ曲として使用されたのがきっかけだ。
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この映画は1934年にドイツで制作され、翌1935年には、脚本/監督はそのままに、俳優だけを入れ替えて作られた同映画のフランス語版が日本でも公開され大ヒットを記録している。この度、この映画『別れの曲』のオリジナル・ドイツ語版が、ショパン生誕200周年にあたる2010年に、東京・恵比寿の東京都写真美術館ホールにて4月29日から国内初上映されることとなった。
映画はショパンの伝記的作品だ。ショパンの若き日の愛と苦悩を、初恋の人コンスタンティアとの悲恋を縦糸に、ジョルジュ・サンドやフランツ・リストらとの交流を横糸にして、鮮やかに描き出している。今から76年前に制作された作品のため、ショパンの生涯について現在考証されている史実とは違う部分もあるが、ショパンの青春を描いた映画として、今なお多くの人を魅了する輝きを放っている。
そしてもちろん、劇中を彩るのがショパン名曲の数々だ。「革命」「華麗なる大円舞曲」「英雄」「子犬のワルツ」…といった彼の代表曲ともいえる珠玉の名曲が多数登場する。そして、やはりその中でもひと際美しい輝きを放つのが「エチュード第3番ホ長調」でもある。映画のメイン・テーマ曲として、1935年の公開当時に多くの観客の涙を誘い、いつしか日本人の中で「別れの曲」という名で親しまれるようになった。
「別れの曲」はショパンのエチュード(練習曲)の中の1曲だが、その叙情的な美しさは他の練習曲の中でも際立っており、ショパン自身「これほど美しい旋律を見つけることは、もう二度とできないでしょう」とフランツ・リストに語ったといわれている。
この曲が持つさまざまなエピソードは、EMIミュージック・ジャパンのショパン生誕200周年記念特設サイト(http://emij.jp/chopin/)で紹介されているので、ぜひ一度チェックいただきたいところだ。
映画『別れの曲』(原題:Abschiedswalzer)
1934年制作/ドイツ映画(日本公開:1935年)
モノクロ/モノラル/91分/配給:T&Kテレフィルム
監督:ゲツァ・フォン・ボルヴァリー
脚本:エルンスト・マリシュカ
キャスト:フレデリック・ショパン:ヴォルフガング・リーベンアイナー、コンスタンティア・グワトコフスカ:ハンナ・ヴァーグ、エルスナー教授:リヒャルト・ロマノスキー、ジョルジュ・サンド:シビル・シュミッツ、フランツ・リスト:ハンス・シュレンク、ほか
◆東京都写真美術館ホール(東京・恵比寿ガーデンプレイス内)
上映期間:4月29日~5月16日
前売特別鑑賞券/1,500円
当日券/一般 1,800円/シニア・学生 1,500円/小・中・障害者手帳をお持ちの方 1,000円/
http://www.syabi.com
◆ショパン生誕200周年記念特設サイト