ザ・バード・アンド・ザ・ビー、ホール&オーツをリスペクト(前編)
4月7日にリリースとなるザ・バード・アンド・ザ・ビーのニュー・アルバム『プライベート・アイズ~トリビュート・トゥ・ホール&オーツ』は、ホール&オーツをカバーした意欲作だ。
人肌の心地よさあふれた作品が生まれてきた背景は何か? イナラ・ジョージに話を聞いた。
【関連画像】ザ・バード・アンド・ザ・ビー画像
──新作がまるごと1枚、ホール&オーツの曲を歌ったアルバムということで、驚きました。まずは、このアイディアがどのようにして出てきたのか話してください。
イナラ・ジョージ:ずっとカヴァー・アルバムを作りたいと思っていたんだけど、誰のカヴァー・アルバムになるかわからなかったのね。いろいろな人の音楽を取り上げたりしてたんだけど、ホール&オーツの「アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット」を一回演ってみたの。それで気に入ってしまって、楽しいかな、と。ホール&オーツはとてもいいポップ・ソングを作るなと思っているのよね。他の人の作品も将来的には取り上げようとは思っているんだけど、私たちの最初のカヴァー・アルバムの試みとして、ホール&オーツを取り上げたの。
──ホール&オーツは、イナラもグレッグもアルバム1枚でトリビュートしたくなるくらいに大好きだったわけですか?
イナラ・ジョージ:私はファンではあったけど、グレッグは彼等の音楽とものすごく接点があり、彼等のグレイテスト・ヒッツが車の中に1年ぐらいあったのね。ずっと、ノン・ストップで聴いてたようなの。彼等のカヴァーをやるのは、いいアイデアだとは思ったわ。ビー・ジーズの「愛はきらめきの中に」の時もそう思ったんだけど、彼等が全盛期だった頃というのは、あまりにもポピュラーだったがためにお金が流れるように入ってきていて、その時代の音楽を作っていたものだから、どれだけいい作品を作っていたのかということはあまり注目されていなかったと思うの。私たちは彼等のファンだった。すばらしい作品をいっぱい残しているのよね。コード進行の作り方、歌詞、ハーモニー、私たちが作っている作品との共通点もいっぱいあった。普通のポップ・ソングより、全然複雑な構成だったりするのね。共通点もいっぱいあったので、カヴァー・アルバムを作るんだったら、とても興味深い選択肢だと思ったわ。
──彼らの曲がチャートを賑わしていたのは70年代~80年代でしたが、その頃、どんなふうに聴いていましたか?イナラは学生でしたか?何か思い出はあったりしますか?
イナラ・ジョージ:グレッグの方が私よりもちょっと上で、6歳年上なの。彼等が全盛期の頃、私はたぶん小学生かな?80年代だから。グレッグは、中学生だったかしら? 幼少期の私たちの文化の一部だった。常に彼等の音楽はラジオでかかってはいたし、彼等のビデオを見て育ったわ。MTVで彼等のビデオを見るとヘア・スタイルとかはその時代を象徴するものだったりするのよね。
──あなたにとっての、ホール&オーツの楽曲の魅力とは?あなた方の音楽との共通点とかをあげていましたが…。
イナラ・ジョージ:そうね。彼らはフィラデルフィア出身で、フィリー・ソウルという音楽的なバックグラウンドがある中で出てきた人たちなの。全てではないけど、彼等のインスピレーションの源になっているものは、そういうものだったりするのね。彼等の音楽をブルー・アイド・ソウル(笑)なんて呼んでいる人たちもいたりして。彼らは自分達が好きだったものを、自分達なりの音楽に作り上げていたんだと思う。初期の頃の彼等の作品、特に歌詞は本当によく理解できないものだったりするんだけど、後から書いたものは、本当にどういったものをその時代の人々が聴きたいのかをよく解って書いていた、という感じなのね。そして、そういった作品がずっと永遠に残るいい音楽で、大切なものであるということを理解していたと思うの。当時の流行みたいなものも把握していたし、すばらしいミュージシャンたちだと思う。ダリル・ホールは素晴らしいシンガーだわ。彼の歌を歌ってみてよけいそういったことが見えてきたと思うの。
──選曲はどのようなところにポイントを置いて行なったのですか?
イナラ・ジョージ:まずはグレイテスト・ヒッツからはじめたわ。グレイテスト・ヒッツに入っているようなものから始めたかった。あまり知られていないホール&オーツの曲ではなく、みんなが知っている曲をカヴァーしていきたかった。グレッグは彼等のグレイテスト・ヒッツにものすごく傾倒していたから。1年間ぐらいずっと彼等のグレイテスト・ヒッツを聞いていて、(作品に)愛着があったから、そこからはじめたの。最初のアイデアとしては、彼等のグレイテスト・ヒッツに入っている曲を全部やることだったんだけど、時間が無くなってしまって…。だから、8曲だけ録音したの。日本のリリースでは、2曲がオリジナル曲になっていると思うけど。一曲はボーナス・トラックで、「7月4日」という曲。ホール&オーツの作品とはあまり関係のない所にあるんだけど。アメリカ盤にも入っている「ハード・イット・オン・ザ・ラジオ」は、彼等に捧げるという意味合いを込めてのものだった。彼等の曲と一緒に入れていけるような作品を作ったの。
──この新曲「ハード・イット・オン・ザ・ラジオ」に込めた思いを話してください。おっしゃっていたように、これは彼等に捧げた曲なんですね?
イナラ・ジョージ:そうね、そういった時代的なものを表している曲だと思ったし、彼等の曲と一緒に入れていっても、おかしくなかったし、そういったことを考えて作った。目的が果たせたかかどうかはわからないけどね。でも、私自身この曲は楽しんで作れたの。
──日本盤のボーナス・トラックには新曲「7月4日」が収録されます。この曲はどのようなコンセプトの曲ですか?また、何かテレビ番組で使用されたと耳にしました。どんな番組ですか?
イナラ・ジョージ:ティムとエリックという友達がいるんだけど、彼等は『ティム&エリック・オーサム・ショー・グレイト・ジョブ!』っていう番組を持っているの。グレッグは彼等の番組の大ファンで、私もファンになり、エリックは私たちのビデオの監督をしてくれた。彼等は友達として、私たちのビデオを監督してくれたりしたので、このTV番組のテーマ曲を作ってくれないか?と言われて、作った作品が「7月4日」だった。彼等は、カルト的なファン達がいて、そういったファンの人たちに、「どうしたらこの曲を手に入れられるの?」って聞かれていたので、必ずリリースをしようとは思っていたのね。手に入れたがっていた人たちがいるのがわかっていたから、ボーナス・トラックとして収録したの。
続く
インタビュアー●内本順一
写真●Brigitte Sire
人肌の心地よさあふれた作品が生まれてきた背景は何か? イナラ・ジョージに話を聞いた。
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──新作がまるごと1枚、ホール&オーツの曲を歌ったアルバムということで、驚きました。まずは、このアイディアがどのようにして出てきたのか話してください。
イナラ・ジョージ:ずっとカヴァー・アルバムを作りたいと思っていたんだけど、誰のカヴァー・アルバムになるかわからなかったのね。いろいろな人の音楽を取り上げたりしてたんだけど、ホール&オーツの「アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット」を一回演ってみたの。それで気に入ってしまって、楽しいかな、と。ホール&オーツはとてもいいポップ・ソングを作るなと思っているのよね。他の人の作品も将来的には取り上げようとは思っているんだけど、私たちの最初のカヴァー・アルバムの試みとして、ホール&オーツを取り上げたの。
──ホール&オーツは、イナラもグレッグもアルバム1枚でトリビュートしたくなるくらいに大好きだったわけですか?
イナラ・ジョージ:私はファンではあったけど、グレッグは彼等の音楽とものすごく接点があり、彼等のグレイテスト・ヒッツが車の中に1年ぐらいあったのね。ずっと、ノン・ストップで聴いてたようなの。彼等のカヴァーをやるのは、いいアイデアだとは思ったわ。ビー・ジーズの「愛はきらめきの中に」の時もそう思ったんだけど、彼等が全盛期だった頃というのは、あまりにもポピュラーだったがためにお金が流れるように入ってきていて、その時代の音楽を作っていたものだから、どれだけいい作品を作っていたのかということはあまり注目されていなかったと思うの。私たちは彼等のファンだった。すばらしい作品をいっぱい残しているのよね。コード進行の作り方、歌詞、ハーモニー、私たちが作っている作品との共通点もいっぱいあった。普通のポップ・ソングより、全然複雑な構成だったりするのね。共通点もいっぱいあったので、カヴァー・アルバムを作るんだったら、とても興味深い選択肢だと思ったわ。
──彼らの曲がチャートを賑わしていたのは70年代~80年代でしたが、その頃、どんなふうに聴いていましたか?イナラは学生でしたか?何か思い出はあったりしますか?
イナラ・ジョージ:グレッグの方が私よりもちょっと上で、6歳年上なの。彼等が全盛期の頃、私はたぶん小学生かな?80年代だから。グレッグは、中学生だったかしら? 幼少期の私たちの文化の一部だった。常に彼等の音楽はラジオでかかってはいたし、彼等のビデオを見て育ったわ。MTVで彼等のビデオを見るとヘア・スタイルとかはその時代を象徴するものだったりするのよね。
──あなたにとっての、ホール&オーツの楽曲の魅力とは?あなた方の音楽との共通点とかをあげていましたが…。
イナラ・ジョージ:そうね。彼らはフィラデルフィア出身で、フィリー・ソウルという音楽的なバックグラウンドがある中で出てきた人たちなの。全てではないけど、彼等のインスピレーションの源になっているものは、そういうものだったりするのね。彼等の音楽をブルー・アイド・ソウル(笑)なんて呼んでいる人たちもいたりして。彼らは自分達が好きだったものを、自分達なりの音楽に作り上げていたんだと思う。初期の頃の彼等の作品、特に歌詞は本当によく理解できないものだったりするんだけど、後から書いたものは、本当にどういったものをその時代の人々が聴きたいのかをよく解って書いていた、という感じなのね。そして、そういった作品がずっと永遠に残るいい音楽で、大切なものであるということを理解していたと思うの。当時の流行みたいなものも把握していたし、すばらしいミュージシャンたちだと思う。ダリル・ホールは素晴らしいシンガーだわ。彼の歌を歌ってみてよけいそういったことが見えてきたと思うの。
──選曲はどのようなところにポイントを置いて行なったのですか?
イナラ・ジョージ:まずはグレイテスト・ヒッツからはじめたわ。グレイテスト・ヒッツに入っているようなものから始めたかった。あまり知られていないホール&オーツの曲ではなく、みんなが知っている曲をカヴァーしていきたかった。グレッグは彼等のグレイテスト・ヒッツにものすごく傾倒していたから。1年間ぐらいずっと彼等のグレイテスト・ヒッツを聞いていて、(作品に)愛着があったから、そこからはじめたの。最初のアイデアとしては、彼等のグレイテスト・ヒッツに入っている曲を全部やることだったんだけど、時間が無くなってしまって…。だから、8曲だけ録音したの。日本のリリースでは、2曲がオリジナル曲になっていると思うけど。一曲はボーナス・トラックで、「7月4日」という曲。ホール&オーツの作品とはあまり関係のない所にあるんだけど。アメリカ盤にも入っている「ハード・イット・オン・ザ・ラジオ」は、彼等に捧げるという意味合いを込めてのものだった。彼等の曲と一緒に入れていけるような作品を作ったの。
──この新曲「ハード・イット・オン・ザ・ラジオ」に込めた思いを話してください。おっしゃっていたように、これは彼等に捧げた曲なんですね?
イナラ・ジョージ:そうね、そういった時代的なものを表している曲だと思ったし、彼等の曲と一緒に入れていっても、おかしくなかったし、そういったことを考えて作った。目的が果たせたかかどうかはわからないけどね。でも、私自身この曲は楽しんで作れたの。
──日本盤のボーナス・トラックには新曲「7月4日」が収録されます。この曲はどのようなコンセプトの曲ですか?また、何かテレビ番組で使用されたと耳にしました。どんな番組ですか?
イナラ・ジョージ:ティムとエリックという友達がいるんだけど、彼等は『ティム&エリック・オーサム・ショー・グレイト・ジョブ!』っていう番組を持っているの。グレッグは彼等の番組の大ファンで、私もファンになり、エリックは私たちのビデオの監督をしてくれた。彼等は友達として、私たちのビデオを監督してくれたりしたので、このTV番組のテーマ曲を作ってくれないか?と言われて、作った作品が「7月4日」だった。彼等は、カルト的なファン達がいて、そういったファンの人たちに、「どうしたらこの曲を手に入れられるの?」って聞かれていたので、必ずリリースをしようとは思っていたのね。手に入れたがっていた人たちがいるのがわかっていたから、ボーナス・トラックとして収録したの。
続く
インタビュアー●内本順一
写真●Brigitte Sire
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