クープ、ジャズの装いにつつみこまれた、クラブ・サウンド! 初のベスト・アルバム
ジャズの装いにつつみこまれたクラブ・サウンドを弾き出すKoop(クープ)が、ベストアルバム『best of KOOP 』を2月17日にリリースする。
ジャイルス・ピーターソンによって発掘されたスウェーデン出身のKoopは、DJであるマグナス・ジングマークとジャズとクラシックをバック・グラウンドに持つピアニスト:オスカー・シモンソンによる2人組のユニットだ。「僕たちが作っているのは、3分間のポップ・ソングなんだ」と明言するKOOPには、決して変わらぬルールが貫かれているという。ギターがない。エレクトリック・ベースもない。ボーカルからは不要なこぶしを無くし、ソロパートは必ず曲やメロディに沿う。そしてなんとバスドラもない。歌詞は短い。…きわめてイレギュラーながら明快なこだわりを持って、そこから羽ばたかれる楽曲は、実に洗練されたサウンド。軽やかに放たれる作品は透明感あふれるプリズムのような輝きをも見せる。
そんな彼らのベストアルバム、クラブ・シーンを牽引してきた彼らの真意がここに集結したのが『best of KOOP 』。オスカー・シモンソンに話をきいた。
◆「come to me」PV動画
――初のベスト・アルバムがリリースされますが、なぜこの時期にリリースしようと思ったのですか? また、どういう基準で選曲をしたのでしょう?
オスカー・シモンソン:僕たちの何たるかを1枚のアルバムで説明する必要があると思ったんだ。いまどきは、1曲しか聴かない人もいれば、アルバムを丸々聞く人もいれば、4曲ダウンロードする人もいるから、僕たちがどういったことをやっているかを説明したかったんだよ。そのために、僕たちにとって最も重要な曲を選んだんだ。
――いろんなシンガーに歌ってもらいますが、シンガーを起用する際の着目点はどんなものですか?実際、曲によって異なると思いますが、どんな要求/指示をシンガーには出すのでしょう?
オスカー:まず曲を書いてから、それを歌うのに一番ふさわしい人を選ぶんだ。KOOPらしさというものがあって、それを歌にもあてはめるんだよ。スウェーデンっぽい感じに歌って欲しいんだな。基本的に声には4種類あってね、男性のダークな声、男性のブライトな声、女性のダークな声、そして女性のブライトな声だ。曲に必要なのはこの4種類なんだよ。
――スウェーデンっぽさというのは、どういったものなんでしょう?
オスカー:アメリカの音楽を聴けば、アメリカのものだということがわかる。言葉のアクセントとかでわかるよね。日本の音楽でも、それとわかる。でも、スウェーデンの音楽は流動的で、イギリスかもしれないしアメリカかもしれないし日本かもしれない。スウェーデン人であるということは、流動的であるということなんだ。とてもグローバルでわかりやすいんだよ。
――スウェーデンでは当初、KOOPが日本人であったと思われていたとのことですが、それはどうして?
オスカー:(笑)あれは、僕たちの初のヒット・シングル「サマー・サン」を歌ったユキミ・ナガノが日本人とのハーフのシンガーだったからだよ。彼女がビデオに登場したんで、僕たちは日本人だと思ったスウェーデン人もいたってわけ。
――やはり、トラック1曲分が完成するにはけっこう時間をかけるんでしょうね。
オスカー:2年かかることもあれば、2日で完成することもあるよ。僕たちのベストな出来の曲は、1年もかかったものか、もしくは2日で完成したものなんだ。すごく長くかかったか、すごく短くて済んだものがベストなんだよ。
――また、サンプルに用いるレコードはジャズがやはり多いんですか?
オスカー:いや、あらゆるものを使うよ。
――マニアックな作り方を持っているのに、クープの音楽はとても肌触りがよく、親しみやすくもあります。で、じっくり掘り下げて聞くと、実は凄いことをやっているとも唸らされます。それは、あなたたちが求めていることですよね?
オスカー:なんて説明したらいいのかわからないけど、曲作りは1年かけて骨組みを築いて行くんだ。そして最後に、血と肉を加えるんだよ。僕たちは常に、時間とのプレッシャーと戦っている。曲をミックスするためにちゃんとしたスタジオをブッキングして、ミックスするために築いた骨組みを3日くらいかけて完成させる。だから、アイディアはたくさんあるんだけど、結果的にはかなり早く仕上がるんだ。
――テクノロジーの進歩と共に機材も変わって行きますが、それがあなた方の曲作りやレコーディングに影響を及ぼしますか?
オスカー:もちろん及ぼすよ。そしてそれは、僕たちのアルバムを聴けばよくわかる。ファースト・アルバムには13年前のテクノロジーが詰まっていて、今のテクノロジーとは違うことがわかる。今なら、もっと複雑な曲を作ることが出来るんだもの。自由度が増したんで、もっとピュアな曲作りが出来る。僕たちの曲作りは、エレクトロニックではなくどんどんオーガニックになって来ているんだ。
――一方では、クープの核にあるものとして、まったく変わらないものもあると思います。それはどういうものでしょう?
オスカー:僕たちにはルールがいくつかあって、それは決して変わらない。まず、ギターはなし。これが一番のルールだね。あと、エレクトリック・ベースもなし。それから、ボーカルに必要のないこぶしがない。歌うからには、メロディをちゃんと歌わないといけないんだ。あと使用楽器に関しては、たとえば曲にソロがある場合、曲やメロディに沿ったものでないといけない。肝心なのは曲なんだから。それから、バスドラがない。使うことは使うけど、微妙な使い方しかしないんだ。バックグラウンドにそれとなく入っていて、最高でも1小節につき1回しか使わない。あと、歌詞が短いこと。言いたいことは、20行よりも5行で言う方がいいんだ。KOOPのルールについて語りだしたら、きりがないよ。でも、一番肝心なのはギターがないということだね。僕たちが作っているのは、3分間のポップ・ソングなんだ。
――お二人は、KOOP以外にサイド・プロジェクトをおやりになっていたりするんでしょうか?
オスカー:これまで一度もなかったし、これからも決してないだろう。19歳からずっとKOOP一筋さ。
――KOOPはあなたの人生にとってとても大事なものなんでしょうね。
オスカー:KOOPはバンドなんだ。僕たちはプロジェクトじゃないし、プロデューサーでもないし、DJでもない。僕たちはバンドなんだよ。若い頃からずっとそうして来たんだ。僕たちは、ダンス・ミュージックのプロデューサーなんかじゃない。
――今年はどんなことをする予定になっていますか?また、新作の準備は進んでいるんでしょうか?
オスカー:今、4枚目のニュー・アルバムを制作中なんだ。
――曲作りとレコーディングは同時進行なんですか?それとも、曲を作ってからレコーディングに取りかかるんでしょうか?
オスカー:曲作りは、パズルのようなんだ。それが終わってからレコーディングを始める。そして、歌詞を書くんだ。次のアルバムの歌詞はすごくいいものになるよ。
――KOOPのサウンドをなんと表現しますか?
オスカー:Technologic pop music dressed in jazz。
――素敵な表現ですね!
インタビュー構成:佐藤英輔
通訳:川原真理子
『best of KOOP~“Coup de grace 1997-2007”』
2009年2月17日発売
限定DVD付プレミア盤:TECI-28599 \2,980(税込)
※日本盤独自仕様
通常盤:TECI-23600 \2,480(税込)
1.Koop Island Blues (feat Ane Brun)
2.Waltz For Koop (feat Cecilia Stalin)
3.Come To Me (feat Yukimi Nagano)
4.Forces... Darling (feat Earl Zinger)
5.Summer Sun (feat Yukimi Nagano)
6.Let's Elope (feat Mikael Sundin)
7.Tonight (feat Mikael Sundin)
8.Strange Love (feat Hilde Lousie Asbjornsen)
9.Glomd
10.Baby (feat Cecilia Stalin)
11.I See A Different You (feat Yukimi Nagano)
※DVD
・Glomd
・I See A Different You
・Summer Sun
・Baby
・Come to me
・Koop Island Blues
ジャイルス・ピーターソンによって発掘されたスウェーデン出身のKoopは、DJであるマグナス・ジングマークとジャズとクラシックをバック・グラウンドに持つピアニスト:オスカー・シモンソンによる2人組のユニットだ。「僕たちが作っているのは、3分間のポップ・ソングなんだ」と明言するKOOPには、決して変わらぬルールが貫かれているという。ギターがない。エレクトリック・ベースもない。ボーカルからは不要なこぶしを無くし、ソロパートは必ず曲やメロディに沿う。そしてなんとバスドラもない。歌詞は短い。…きわめてイレギュラーながら明快なこだわりを持って、そこから羽ばたかれる楽曲は、実に洗練されたサウンド。軽やかに放たれる作品は透明感あふれるプリズムのような輝きをも見せる。
そんな彼らのベストアルバム、クラブ・シーンを牽引してきた彼らの真意がここに集結したのが『best of KOOP 』。オスカー・シモンソンに話をきいた。
◆「come to me」PV動画
――初のベスト・アルバムがリリースされますが、なぜこの時期にリリースしようと思ったのですか? また、どういう基準で選曲をしたのでしょう?
オスカー・シモンソン:僕たちの何たるかを1枚のアルバムで説明する必要があると思ったんだ。いまどきは、1曲しか聴かない人もいれば、アルバムを丸々聞く人もいれば、4曲ダウンロードする人もいるから、僕たちがどういったことをやっているかを説明したかったんだよ。そのために、僕たちにとって最も重要な曲を選んだんだ。
――いろんなシンガーに歌ってもらいますが、シンガーを起用する際の着目点はどんなものですか?実際、曲によって異なると思いますが、どんな要求/指示をシンガーには出すのでしょう?
オスカー:まず曲を書いてから、それを歌うのに一番ふさわしい人を選ぶんだ。KOOPらしさというものがあって、それを歌にもあてはめるんだよ。スウェーデンっぽい感じに歌って欲しいんだな。基本的に声には4種類あってね、男性のダークな声、男性のブライトな声、女性のダークな声、そして女性のブライトな声だ。曲に必要なのはこの4種類なんだよ。
――スウェーデンっぽさというのは、どういったものなんでしょう?
オスカー:アメリカの音楽を聴けば、アメリカのものだということがわかる。言葉のアクセントとかでわかるよね。日本の音楽でも、それとわかる。でも、スウェーデンの音楽は流動的で、イギリスかもしれないしアメリカかもしれないし日本かもしれない。スウェーデン人であるということは、流動的であるということなんだ。とてもグローバルでわかりやすいんだよ。
――スウェーデンでは当初、KOOPが日本人であったと思われていたとのことですが、それはどうして?
オスカー:(笑)あれは、僕たちの初のヒット・シングル「サマー・サン」を歌ったユキミ・ナガノが日本人とのハーフのシンガーだったからだよ。彼女がビデオに登場したんで、僕たちは日本人だと思ったスウェーデン人もいたってわけ。
――やはり、トラック1曲分が完成するにはけっこう時間をかけるんでしょうね。
オスカー:2年かかることもあれば、2日で完成することもあるよ。僕たちのベストな出来の曲は、1年もかかったものか、もしくは2日で完成したものなんだ。すごく長くかかったか、すごく短くて済んだものがベストなんだよ。
――また、サンプルに用いるレコードはジャズがやはり多いんですか?
オスカー:いや、あらゆるものを使うよ。
――マニアックな作り方を持っているのに、クープの音楽はとても肌触りがよく、親しみやすくもあります。で、じっくり掘り下げて聞くと、実は凄いことをやっているとも唸らされます。それは、あなたたちが求めていることですよね?
オスカー:なんて説明したらいいのかわからないけど、曲作りは1年かけて骨組みを築いて行くんだ。そして最後に、血と肉を加えるんだよ。僕たちは常に、時間とのプレッシャーと戦っている。曲をミックスするためにちゃんとしたスタジオをブッキングして、ミックスするために築いた骨組みを3日くらいかけて完成させる。だから、アイディアはたくさんあるんだけど、結果的にはかなり早く仕上がるんだ。
――テクノロジーの進歩と共に機材も変わって行きますが、それがあなた方の曲作りやレコーディングに影響を及ぼしますか?
オスカー:もちろん及ぼすよ。そしてそれは、僕たちのアルバムを聴けばよくわかる。ファースト・アルバムには13年前のテクノロジーが詰まっていて、今のテクノロジーとは違うことがわかる。今なら、もっと複雑な曲を作ることが出来るんだもの。自由度が増したんで、もっとピュアな曲作りが出来る。僕たちの曲作りは、エレクトロニックではなくどんどんオーガニックになって来ているんだ。
――一方では、クープの核にあるものとして、まったく変わらないものもあると思います。それはどういうものでしょう?
オスカー:僕たちにはルールがいくつかあって、それは決して変わらない。まず、ギターはなし。これが一番のルールだね。あと、エレクトリック・ベースもなし。それから、ボーカルに必要のないこぶしがない。歌うからには、メロディをちゃんと歌わないといけないんだ。あと使用楽器に関しては、たとえば曲にソロがある場合、曲やメロディに沿ったものでないといけない。肝心なのは曲なんだから。それから、バスドラがない。使うことは使うけど、微妙な使い方しかしないんだ。バックグラウンドにそれとなく入っていて、最高でも1小節につき1回しか使わない。あと、歌詞が短いこと。言いたいことは、20行よりも5行で言う方がいいんだ。KOOPのルールについて語りだしたら、きりがないよ。でも、一番肝心なのはギターがないということだね。僕たちが作っているのは、3分間のポップ・ソングなんだ。
――お二人は、KOOP以外にサイド・プロジェクトをおやりになっていたりするんでしょうか?
オスカー:これまで一度もなかったし、これからも決してないだろう。19歳からずっとKOOP一筋さ。
――KOOPはあなたの人生にとってとても大事なものなんでしょうね。
オスカー:KOOPはバンドなんだ。僕たちはプロジェクトじゃないし、プロデューサーでもないし、DJでもない。僕たちはバンドなんだよ。若い頃からずっとそうして来たんだ。僕たちは、ダンス・ミュージックのプロデューサーなんかじゃない。
――今年はどんなことをする予定になっていますか?また、新作の準備は進んでいるんでしょうか?
オスカー:今、4枚目のニュー・アルバムを制作中なんだ。
――曲作りとレコーディングは同時進行なんですか?それとも、曲を作ってからレコーディングに取りかかるんでしょうか?
オスカー:曲作りは、パズルのようなんだ。それが終わってからレコーディングを始める。そして、歌詞を書くんだ。次のアルバムの歌詞はすごくいいものになるよ。
――KOOPのサウンドをなんと表現しますか?
オスカー:Technologic pop music dressed in jazz。
――素敵な表現ですね!
インタビュー構成:佐藤英輔
通訳:川原真理子
『best of KOOP~“Coup de grace 1997-2007”』
2009年2月17日発売
限定DVD付プレミア盤:TECI-28599 \2,980(税込)
※日本盤独自仕様
通常盤:TECI-23600 \2,480(税込)
1.Koop Island Blues (feat Ane Brun)
2.Waltz For Koop (feat Cecilia Stalin)
3.Come To Me (feat Yukimi Nagano)
4.Forces... Darling (feat Earl Zinger)
5.Summer Sun (feat Yukimi Nagano)
6.Let's Elope (feat Mikael Sundin)
7.Tonight (feat Mikael Sundin)
8.Strange Love (feat Hilde Lousie Asbjornsen)
9.Glomd
10.Baby (feat Cecilia Stalin)
11.I See A Different You (feat Yukimi Nagano)
※DVD
・Glomd
・I See A Different You
・Summer Sun
・Baby
・Come to me
・Koop Island Blues
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