増田勇一の『鹿鳴館伝説』に寄せて(2)
鹿鳴館というライヴハウスに伴うイメージについては、世代や音楽的嗜好によってもかなりのギャップがあることだろう。現在そこに頻繁に通いつめている人たちの多くは、おそらく「ヴィジュアル系の先駆者たちを数多く輩出してきた場所」として認識しているに違いない。が、80年代の鹿鳴館を知る人たちには“ジャパメタの殿堂”として記憶されているのではないだろうか。
ジャパメタ。すなわちジャパニーズ・メタルのことだが、80年代の鹿鳴館ではほぼ毎日、そうカテゴライズ可能なバンドたちが出演者として名を連ねていた。僕自身が初めてそこで観たのは、記憶に間違いがなければ、ANSWERというバンドだったように思う。もちろんアイルランド出身の4人組ではなく、ANTHEMに加入する以前の福田洋也を擁していたバンドのこと。以降もたくさんのメタル・バンドたちとそこで出会ってきたし、のちに『BURRN!』編集部在籍当時、『BURRN!JAPAN』という増刊号を半年周期で作っていた頃は、年間70~80日くらいは鹿鳴館に足を運んでいたように思う。もちろん当時から、ライヴハウスは他にもたくさんあった。が、当時のジャパメタの情勢を把握するには、鹿鳴館に通うだけで充分だったのだ。
今回実現するスペシャル・ライヴ、<鹿鳴館伝説 ~LEGEND OF ROCK MAY KAN~>の第二夜には、まさにそんな時代を象徴する3組が集結することになった。まずは44MAGNUM。僕自身が彼らのライヴを最初に観たのは新宿LOFTで行なわれた<関西メタル殴りこみギグ>の際のことだったが、資料によれば、鹿鳴館の名物イベントともいうべき大晦日の年越しライヴ<ALL NIGHT METAL PARTY>が最初に開催されたとき、そのヘッドライナーを務めたのが彼らだったのだという。また、のちに『DANGER』でメジャー・デビューを果たすことになった際、彼らのアーティスト写真は、まさにこの鹿鳴館のステージ上で撮影されていたりもする。
44MAGNUMは、まさに鹿鳴館に新時代を呼び込んだともいえる存在だった。そして今回、彼らとともにJCBホールのステージに立つことになるのは、D'ERLANGERとDEAD ENDの2組。どちらも世に出てきた当初はジャパメタの文脈のなかで語られていたバンドだが、双方に共通しているのは、実は最初から既成のジャンルに属さないカテゴライズ不能な存在だったということ。そして、様式よりも個性を重んじた両者のスタイルやたたずまいといったものが、のちのヴィジュアル系をはじめとするさまざな音楽に多大な影響を及ぼしたことは言うまでもない。少々強引な言い方ではあるが、この両バンドの存在がなければ、今回のイベントの第一夜、3月19日のステージに登場する予定のバンドたちは生まれ得なかったと言っても過言ではないだろう。
DEAD ENDに関しては、再臨後のアルバム『METAMORPHOSIS』発表直後に行なわれた大阪/東京公演以来のライヴということになるが、気になるのはドラマーに関してだろう。同作のレコーディングに参加していたMINATOは基本的にライヴ活動には関わらないとの意向を表明しており、前述の2公演では真矢(LUNA SEA)がバンド・サウンドのボトムを支えることになった。が、実は今回の公演に関しては「MINATOでも、真矢でもないドラマー」が参加するらしいとの情報も聞こえ始めている。真偽のほどは定かではないが、どちらにせよ復活劇がアルバム1枚限りのものではないことを明言しているDEAD ENDにとっての“新たな一歩”がそこで提示されることになるのは確実だろう。
そしてD'ERLANGERについては、去る2月6日の長野公演を皮切りに全国ツアーが開始されたばかり。その終了直後にこのイベントに参戦することになるわけで、まさに同ツアー中に蓄積された熱がこの場で放出されることになるに違いない。また、44MAGNUMとD'ERLANGERをめぐる特別な関係について把握している読者も少なくないはずだが、2月13日に発売される『We ROCK』誌では、44MAGNUMのJIMMYとD'ERLANGERのCIPHERによる、文字通りの師弟対談が実現している。余談ながら司会進行役は筆者が務めさせていただいた。手前味噌ではあるが、他では絶対に目にすることのできない本音と逸話と秘話満載の記事になったと自負しているので、是非、目を通していただきたいところだ。
“今”がせめぎあう3月19日。そして、伝説にとどまらない3組がぶつかり合う3月20日もまた、やはり“今”を象徴する特別な一夜となるに違いない。繰り返しになるが、とにかく確実に、完売必至の両日のチケットを確実に手に入れておくことを強く勧めたい。そして当然ながら、このイベントにまつわる新たな情報が届き次第、この場でお伝えすることをお約束しておく。
増田勇一
鹿鳴館 30th Anniversary<鹿鳴館伝説 ~LEGEND OF ROCK MAY KAN~>
●3月19日(金)
OPEN 17:30 START 18:30
出演:ムック、メリー、Phantasmagoria、Versailles
●3月20日(土)
OPEN 16:00 START 17:00
出演:44MAGNUM、D'ERLANGER、DEAD END
前売り/6000円 当日/6500円
2010年2月13日(土)チケット一般発売
◆チケット詳細&購入ページ
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999 http://www.sogopr.co.jp/
◆鹿鳴館オフィシャルサイト
ジャパメタ。すなわちジャパニーズ・メタルのことだが、80年代の鹿鳴館ではほぼ毎日、そうカテゴライズ可能なバンドたちが出演者として名を連ねていた。僕自身が初めてそこで観たのは、記憶に間違いがなければ、ANSWERというバンドだったように思う。もちろんアイルランド出身の4人組ではなく、ANTHEMに加入する以前の福田洋也を擁していたバンドのこと。以降もたくさんのメタル・バンドたちとそこで出会ってきたし、のちに『BURRN!』編集部在籍当時、『BURRN!JAPAN』という増刊号を半年周期で作っていた頃は、年間70~80日くらいは鹿鳴館に足を運んでいたように思う。もちろん当時から、ライヴハウスは他にもたくさんあった。が、当時のジャパメタの情勢を把握するには、鹿鳴館に通うだけで充分だったのだ。
今回実現するスペシャル・ライヴ、<鹿鳴館伝説 ~LEGEND OF ROCK MAY KAN~>の第二夜には、まさにそんな時代を象徴する3組が集結することになった。まずは44MAGNUM。僕自身が彼らのライヴを最初に観たのは新宿LOFTで行なわれた<関西メタル殴りこみギグ>の際のことだったが、資料によれば、鹿鳴館の名物イベントともいうべき大晦日の年越しライヴ<ALL NIGHT METAL PARTY>が最初に開催されたとき、そのヘッドライナーを務めたのが彼らだったのだという。また、のちに『DANGER』でメジャー・デビューを果たすことになった際、彼らのアーティスト写真は、まさにこの鹿鳴館のステージ上で撮影されていたりもする。
44MAGNUMは、まさに鹿鳴館に新時代を呼び込んだともいえる存在だった。そして今回、彼らとともにJCBホールのステージに立つことになるのは、D'ERLANGERとDEAD ENDの2組。どちらも世に出てきた当初はジャパメタの文脈のなかで語られていたバンドだが、双方に共通しているのは、実は最初から既成のジャンルに属さないカテゴライズ不能な存在だったということ。そして、様式よりも個性を重んじた両者のスタイルやたたずまいといったものが、のちのヴィジュアル系をはじめとするさまざな音楽に多大な影響を及ぼしたことは言うまでもない。少々強引な言い方ではあるが、この両バンドの存在がなければ、今回のイベントの第一夜、3月19日のステージに登場する予定のバンドたちは生まれ得なかったと言っても過言ではないだろう。
DEAD ENDに関しては、再臨後のアルバム『METAMORPHOSIS』発表直後に行なわれた大阪/東京公演以来のライヴということになるが、気になるのはドラマーに関してだろう。同作のレコーディングに参加していたMINATOは基本的にライヴ活動には関わらないとの意向を表明しており、前述の2公演では真矢(LUNA SEA)がバンド・サウンドのボトムを支えることになった。が、実は今回の公演に関しては「MINATOでも、真矢でもないドラマー」が参加するらしいとの情報も聞こえ始めている。真偽のほどは定かではないが、どちらにせよ復活劇がアルバム1枚限りのものではないことを明言しているDEAD ENDにとっての“新たな一歩”がそこで提示されることになるのは確実だろう。
そしてD'ERLANGERについては、去る2月6日の長野公演を皮切りに全国ツアーが開始されたばかり。その終了直後にこのイベントに参戦することになるわけで、まさに同ツアー中に蓄積された熱がこの場で放出されることになるに違いない。また、44MAGNUMとD'ERLANGERをめぐる特別な関係について把握している読者も少なくないはずだが、2月13日に発売される『We ROCK』誌では、44MAGNUMのJIMMYとD'ERLANGERのCIPHERによる、文字通りの師弟対談が実現している。余談ながら司会進行役は筆者が務めさせていただいた。手前味噌ではあるが、他では絶対に目にすることのできない本音と逸話と秘話満載の記事になったと自負しているので、是非、目を通していただきたいところだ。
“今”がせめぎあう3月19日。そして、伝説にとどまらない3組がぶつかり合う3月20日もまた、やはり“今”を象徴する特別な一夜となるに違いない。繰り返しになるが、とにかく確実に、完売必至の両日のチケットを確実に手に入れておくことを強く勧めたい。そして当然ながら、このイベントにまつわる新たな情報が届き次第、この場でお伝えすることをお約束しておく。
増田勇一
鹿鳴館 30th Anniversary<鹿鳴館伝説 ~LEGEND OF ROCK MAY KAN~>
●3月19日(金)
OPEN 17:30 START 18:30
出演:ムック、メリー、Phantasmagoria、Versailles
●3月20日(土)
OPEN 16:00 START 17:00
出演:44MAGNUM、D'ERLANGER、DEAD END
前売り/6000円 当日/6500円
2010年2月13日(土)チケット一般発売
◆チケット詳細&購入ページ
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999 http://www.sogopr.co.jp/
◆鹿鳴館オフィシャルサイト
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