ASKA、ミステリアスなタイトルの普遍的なセルフカヴァー作品集『12』
跳ねたリズムとベースが全体を引っ張る「DO YA DO」(1990年のCHAGE and ASKAのシングル)。オリジナルの色を残しながら、今回のアレンジにはどこかしら“楽しさ”が感じられる。約束などない秘密の恋人同士(<恋人用の鼓動>を<いつも鳴らしていた>関係であり、恋人同士であるとは歌詞の中では明記されていないのだが)のもとに訪れたちょっとした転機。しかし、<あいつが君に愛を告げた>はずなのに、どこか楽しそうなのだ。それはまるで、原曲から20年が経ち、「DO YA DO?(どうするつもり?)」への答えが出たかのようですらある。
60年代ガールズグループの、もしくは80年代の定番フレンチポップのエッセンスが香る、新アレンジの「天気予報の恋人」(1989年、アルバム『PRIDE』収録)。原曲よりも縦を意識したリズムや、ラストのリフレイン、さらに原曲よりもキーを抑えることで逆にヴォーカルに原曲以上に生き生きとした表情を持たせることを実現し、こちらも「恋人はワイン色」と同様に、楽しそうな恋人同士の一コマが浮かんできそうである。
オリジナルと同じピアノの旋律と思いきや、突然のドラムに“これから僕らは どうなっちゃうんだろう”と、リスナーを瞬間、音の迷路へと誘う「君が愛を語れ」(もともとは時任三郎への提供曲、「はじまりはいつも雨」のc/wでASKAもカヴァー)。アコースティックギターの荒々しくも繊細なピッキングとピアノ、そしてドラムが音空間を埋めていく中、サビでは一気に音が叩きつけられるとともに、ASKAのヴォーカルも力強いものへと変わる。ライヴ感漂う今回の「君が愛を語れ」は、実はアルバムのラストセッションとなった楽曲。記憶の限りでは初ではないかと思われる、澤近泰輔と十川ともじの両氏のタッグによるアレンジで、録音は都内スタジオにてミュージシャンを集めて一発録りされたもの。澤近と十川も、ピアノとハモンドオルガンでバンドに参加と、「ピアノ、澤近泰輔! キーボード、十川知司!」という、“BLACK EYES(CHAGE and ASKAのバックバンドの名称)”のメンバー紹介をするASKAの声すら聴こえてきそうな勢いである。また、特筆すべきはASKAのヴォーカル。後半に向かうに連れて熱を帯びるシャウトなど、50歳を越えてもなお今も圧巻。圧倒的だ。
そして最後に収録されているのは「お・や・す・み」。1981年、チャゲ&飛鳥の2枚目のアルバム『熱風』で世に発表された、CHAGE and ASKA初期の名バラードが、再びファンの前に姿を見せた(もっとも、2009年末のクリスマスライヴでも披露されたのだが)。瀬尾一三が組み上げたオリジナルの世界観を発展させたような、そんなアレンジにもなっているこの曲。そうであるからこそ、オリジナルと合わせて聴くと、当時22歳だった飛鳥 涼のヴォーカル越しに、約30年という時を超えたASKAが感じられる一曲となっている。いわば、当時の飛鳥 涼は、歌を歌っていたし、もちろん歌えていた。しかし今のASKAは、歌を歌うということは前提にありながら、その曲が持つイメージだとか、色だとか、空気だとか、そのようなものまでをひっくるめて表現している。“歌う”というのは、ASKAのヴォーカルスタイルの中で必要な要素のひとつではあるのだが、裏を返せばひとつでしかない。たとえば、新アレンジの中で、声という部分だけではなく、ブレス(息継ぎ)のひとつをとっても、それが曲全体を一瞬にしてイメージさせていることがわかるだろう。
ASKA『12』
【収録曲】
01. LOVE SONG
02. 風のライオン
03. はじまりはいつも雨
04. WALK
05. PRIDE
06. 恋人はワイン色
07. 伝わりますか
08. 月が近づけば少しはましだろう
09. DO YA DO
10. 天気予報の恋人
11. 君が愛を語れ
12. お・や・す・み
◆ASKA『12』のCD情報
◆ASKAの最近のアーティスト画像
◆BARKS内にあるASKA関連記事
◆ ◆ ◆
◆ASKA オフィシャルサイト(CHAGE and ASKA)
◆ iTunes Store ASKA(※iTunesが開きます)
60年代ガールズグループの、もしくは80年代の定番フレンチポップのエッセンスが香る、新アレンジの「天気予報の恋人」(1989年、アルバム『PRIDE』収録)。原曲よりも縦を意識したリズムや、ラストのリフレイン、さらに原曲よりもキーを抑えることで逆にヴォーカルに原曲以上に生き生きとした表情を持たせることを実現し、こちらも「恋人はワイン色」と同様に、楽しそうな恋人同士の一コマが浮かんできそうである。
オリジナルと同じピアノの旋律と思いきや、突然のドラムに“これから僕らは どうなっちゃうんだろう”と、リスナーを瞬間、音の迷路へと誘う「君が愛を語れ」(もともとは時任三郎への提供曲、「はじまりはいつも雨」のc/wでASKAもカヴァー)。アコースティックギターの荒々しくも繊細なピッキングとピアノ、そしてドラムが音空間を埋めていく中、サビでは一気に音が叩きつけられるとともに、ASKAのヴォーカルも力強いものへと変わる。ライヴ感漂う今回の「君が愛を語れ」は、実はアルバムのラストセッションとなった楽曲。記憶の限りでは初ではないかと思われる、澤近泰輔と十川ともじの両氏のタッグによるアレンジで、録音は都内スタジオにてミュージシャンを集めて一発録りされたもの。澤近と十川も、ピアノとハモンドオルガンでバンドに参加と、「ピアノ、澤近泰輔! キーボード、十川知司!」という、“BLACK EYES(CHAGE and ASKAのバックバンドの名称)”のメンバー紹介をするASKAの声すら聴こえてきそうな勢いである。また、特筆すべきはASKAのヴォーカル。後半に向かうに連れて熱を帯びるシャウトなど、50歳を越えてもなお今も圧巻。圧倒的だ。
そして最後に収録されているのは「お・や・す・み」。1981年、チャゲ&飛鳥の2枚目のアルバム『熱風』で世に発表された、CHAGE and ASKA初期の名バラードが、再びファンの前に姿を見せた(もっとも、2009年末のクリスマスライヴでも披露されたのだが)。瀬尾一三が組み上げたオリジナルの世界観を発展させたような、そんなアレンジにもなっているこの曲。そうであるからこそ、オリジナルと合わせて聴くと、当時22歳だった飛鳥 涼のヴォーカル越しに、約30年という時を超えたASKAが感じられる一曲となっている。いわば、当時の飛鳥 涼は、歌を歌っていたし、もちろん歌えていた。しかし今のASKAは、歌を歌うということは前提にありながら、その曲が持つイメージだとか、色だとか、空気だとか、そのようなものまでをひっくるめて表現している。“歌う”というのは、ASKAのヴォーカルスタイルの中で必要な要素のひとつではあるのだが、裏を返せばひとつでしかない。たとえば、新アレンジの中で、声という部分だけではなく、ブレス(息継ぎ)のひとつをとっても、それが曲全体を一瞬にしてイメージさせていることがわかるだろう。
ASKA『12』
【収録曲】
01. LOVE SONG
02. 風のライオン
03. はじまりはいつも雨
04. WALK
05. PRIDE
06. 恋人はワイン色
07. 伝わりますか
08. 月が近づけば少しはましだろう
09. DO YA DO
10. 天気予報の恋人
11. 君が愛を語れ
12. お・や・す・み
◆ASKA『12』のCD情報
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