DIR EN GREY、 国内ツアー<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>総括ライブレポ
ツアー最終日、ステージ上で待望のニュー・シングル情報を公開。そして、すべてのファンと果たされるべき「1月の再会」の約束。
9月14日と15日の両日、東京・新木場STUDIO COASTの超満員のフロアに、激情のすべてを放出したDIR EN GREY。この二夜公演をもって、8月26日に同じ会場で開幕した2009年2回目の国内ツアー<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>が幕を閉じた。
◆<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>~写真編~
時期的に新音源などのリリースを間に挟んでいるわけでもなく、ある意味“テーマなきツアー”のようにも思われていた今回のツアーではあるが、やはりこのバンドの実践することに無意味なことなどひとつもない。参考までにこのツアー・タイトルを直訳すると「目に見えるものすべて」という意味になるが、それはすなわち“万物”ということであり、“All visible things are vain”という言い回しは“色即是空”の英語表現に相当するもの。さらにこの“色即是空”という言葉は、現時点での最新アルバムにあたる『UROBOROS』(2008年)に収録されている「凱歌、沈黙が眠る頃」の歌詩のなかにも登場する。さまざまな時代のさまざまな様相をした楽曲が入り乱れ、公演ごとに意外性や驚きを伴うセット・リストが組まれていたこのツアー中、その「凱歌、沈黙が眠る頃」がアンコールの最終場面を定位置としていた事実にも、何かしらの主張/メッセージが込められていたに違いない。もちろんそれが何であるかという答えは、ひとつではない。各公演の目撃者の数と同じだけ存在すると言っていいだろう。
ちなみに14日の公演は前述の『UROBOROS』の収録曲である「BUGABOO」で、翌15日には前々作にあたる『Withering to death.』(2005年)からの「Merciless Cult」で幕を開けた。いくつかのライヴで披露された「アクロの丘」(1999年、3作同時発売されたデビュー・シングルのうちのひとつ)はこの両日には顔を出さなかったが、15日のアンコールで「Ugly」(2002年発表の『six Ugly』に収録)のイントロが聴こえてきた瞬間には場内にどよめきが起こり、『VULGAR』(2003年)の収録曲である「蝕紅」は今回のツアーにおけるレギュラー曲となっていた。こうした単純な事実を踏まえただけでも、現在のDIR EN GREYにとって“否定/封印すべき過去”が何ひとつないことを察することができるというものだろう。そう、まさに「目に見るものすべて」が真実なのである。
精度と機能性をさらにきわめつつあるバンド・サウンドと、生身の人間が実践可能な表現の限界に挑もうとするかのような京のヴォーカル。そして、真新しいバックドロップとさまざまな照明/映像効果を絡めながら演出される、独特の濃密な世界観。今回のツアーは、そうしたすべてが究極的な領域に近付きつつあることを実感させるに充分なものだった。実のところ、14日の公演では機材トラブルに起因する演奏面でのほころびが生じた楽曲もあるにはあった。が、それもまた真実。悪趣味と言われるかもしれないが、その瞬間に張り詰めた緊張感溢れる空気にも、筆者はある種のスリリングな快感をおぼえてしまった。しかも翌日のツアー最終公演では、前夜の悔いを晴らすかのような演奏を披露。そこにある種の“意地”と、崇高なストイックさを感じずにはいられなかった。
「1月、また…」
約2時間にわたる最終公演のステージ上、それまで終始オーディエンスを扇動し続けていたはずの京は、最後の最後、むしろ穏やかな笑みを浮かべながらそう言い残し、姿を消した。もちろんこの言葉が指すのは、先頃発表された2010年1月の日本武道館2夜公演のこと。1月9日、10日に行なわれる<UROBOROS -with the proof in the name of living...->と銘打たれた公演が、“再会の約束”が果たされるべき場となる。
そして5人のメンバー全員がステージから去った直後、闇に包まれたステージの背景に、すべてのオーディエンスが待ち焦がれていた文字が浮かび上がった。12月2日、ニュー・シングル発売。タイトルは「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」。その瞬間、場内に歓喜の声が渦巻いたことは言うまでもない。シングルとしては「GLASS SKIN」以来15ヵ月ぶりとなるこの作品を携えながら、新しい年へと向かうことになるDIR EN GREY。そのリリースに至るまでの時間的空白が何を意味するのかも気にかかるところだが、それに関する新たな情報も、まもなくニュー・シングルにまつわる詳報ともどもお届けできる見通しだ。
増田勇一
MUSIC CLIP COLLECTION DVD
『AVERAGE BLASPHEMY』
SFBD-0021 ¥5,775(tax in)
2009.10.28 RELEASE
<UROBOROS -with the proof in the name of living...->
2010年1月09日(土)日本武道館
2010年1月10日(日)日本武道館
[問]フリップサイド 03-3466-1100
◆iTunes Store DIR EN GREY(※iTunesが開きます)
◆DIR EN GREYオフィシャルサイト
9月14日と15日の両日、東京・新木場STUDIO COASTの超満員のフロアに、激情のすべてを放出したDIR EN GREY。この二夜公演をもって、8月26日に同じ会場で開幕した2009年2回目の国内ツアー<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>が幕を閉じた。
◆<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>~写真編~
時期的に新音源などのリリースを間に挟んでいるわけでもなく、ある意味“テーマなきツアー”のようにも思われていた今回のツアーではあるが、やはりこのバンドの実践することに無意味なことなどひとつもない。参考までにこのツアー・タイトルを直訳すると「目に見えるものすべて」という意味になるが、それはすなわち“万物”ということであり、“All visible things are vain”という言い回しは“色即是空”の英語表現に相当するもの。さらにこの“色即是空”という言葉は、現時点での最新アルバムにあたる『UROBOROS』(2008年)に収録されている「凱歌、沈黙が眠る頃」の歌詩のなかにも登場する。さまざまな時代のさまざまな様相をした楽曲が入り乱れ、公演ごとに意外性や驚きを伴うセット・リストが組まれていたこのツアー中、その「凱歌、沈黙が眠る頃」がアンコールの最終場面を定位置としていた事実にも、何かしらの主張/メッセージが込められていたに違いない。もちろんそれが何であるかという答えは、ひとつではない。各公演の目撃者の数と同じだけ存在すると言っていいだろう。
ちなみに14日の公演は前述の『UROBOROS』の収録曲である「BUGABOO」で、翌15日には前々作にあたる『Withering to death.』(2005年)からの「Merciless Cult」で幕を開けた。いくつかのライヴで披露された「アクロの丘」(1999年、3作同時発売されたデビュー・シングルのうちのひとつ)はこの両日には顔を出さなかったが、15日のアンコールで「Ugly」(2002年発表の『six Ugly』に収録)のイントロが聴こえてきた瞬間には場内にどよめきが起こり、『VULGAR』(2003年)の収録曲である「蝕紅」は今回のツアーにおけるレギュラー曲となっていた。こうした単純な事実を踏まえただけでも、現在のDIR EN GREYにとって“否定/封印すべき過去”が何ひとつないことを察することができるというものだろう。そう、まさに「目に見るものすべて」が真実なのである。
精度と機能性をさらにきわめつつあるバンド・サウンドと、生身の人間が実践可能な表現の限界に挑もうとするかのような京のヴォーカル。そして、真新しいバックドロップとさまざまな照明/映像効果を絡めながら演出される、独特の濃密な世界観。今回のツアーは、そうしたすべてが究極的な領域に近付きつつあることを実感させるに充分なものだった。実のところ、14日の公演では機材トラブルに起因する演奏面でのほころびが生じた楽曲もあるにはあった。が、それもまた真実。悪趣味と言われるかもしれないが、その瞬間に張り詰めた緊張感溢れる空気にも、筆者はある種のスリリングな快感をおぼえてしまった。しかも翌日のツアー最終公演では、前夜の悔いを晴らすかのような演奏を披露。そこにある種の“意地”と、崇高なストイックさを感じずにはいられなかった。
「1月、また…」
約2時間にわたる最終公演のステージ上、それまで終始オーディエンスを扇動し続けていたはずの京は、最後の最後、むしろ穏やかな笑みを浮かべながらそう言い残し、姿を消した。もちろんこの言葉が指すのは、先頃発表された2010年1月の日本武道館2夜公演のこと。1月9日、10日に行なわれる<UROBOROS -with the proof in the name of living...->と銘打たれた公演が、“再会の約束”が果たされるべき場となる。
そして5人のメンバー全員がステージから去った直後、闇に包まれたステージの背景に、すべてのオーディエンスが待ち焦がれていた文字が浮かび上がった。12月2日、ニュー・シングル発売。タイトルは「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」。その瞬間、場内に歓喜の声が渦巻いたことは言うまでもない。シングルとしては「GLASS SKIN」以来15ヵ月ぶりとなるこの作品を携えながら、新しい年へと向かうことになるDIR EN GREY。そのリリースに至るまでの時間的空白が何を意味するのかも気にかかるところだが、それに関する新たな情報も、まもなくニュー・シングルにまつわる詳報ともどもお届けできる見通しだ。
増田勇一
MUSIC CLIP COLLECTION DVD
『AVERAGE BLASPHEMY』
SFBD-0021 ¥5,775(tax in)
2009.10.28 RELEASE
<UROBOROS -with the proof in the name of living...->
2010年1月09日(土)日本武道館
2010年1月10日(日)日本武道館
[問]フリップサイド 03-3466-1100
◆iTunes Store DIR EN GREY(※iTunesが開きます)
◆DIR EN GREYオフィシャルサイト
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