タイナカ サチ、シンガーとして一皮向けた彼女に会える3rdアルバム『Destiny』リリース特集

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タイナカ サチ シンガーとして一皮向けた彼女に会える 3rdアルバム『Destiny』特集

自分だけの小さな世界を抜け出して一回り大きなものに飛び込む勇気を得たシンガーとして一歩先に進んだ彼女が表現するものに激しく同感

INTERVIEW

好きな先輩が出る試合を応援しにいってる女の子の視点の気持ちをストレートに書いてみた

自分の作品に応募するって珍しいですね。

タイナカ:はい。客観的に自分の曲をみてみたくて。そして見事に負けたっていう(笑)。でも、「運命人」のメロディーを聴いた時に、それこそ“運命”を感じたというか。このメロディーに出会えたことに感謝したいくらいだったんです。あと今回、歌詞を書いてくださった渡辺なつみさんにも、お会いした瞬間、スゴく嬉しいことを言ってくださったんですよ。“声がスゴく好き。その声で私が今、一番届けたい想いを伝えてくれない?”って。もうホンマに嬉しくて、そこからシンガーとしての自分を考えるようになりましたし、この声で何かもっと歌えることがあるなら歌ってみたい、と思うようになったんです。同じ渡辺さんに書いていただいた「夕映えのシネマ」でも、自分の声で歌詞の景色をどこまで色鮮やかに広げられるかに、シンガーとしてチャレンジしています。

本作では書き手としても新しいことに挑戦してますよね。アスリートを応援する「My HERO」とか。

タイナカ:新しいですね「My HERO」は。この曲、東京ドームで巨人戦を見たのがきっかけで書いたんですよ。実は野球を好きになったのは今年のWBCからなんで、好きなチームって特にないんですが(笑)、その後、東京ドームの巨人戦を見に行く機会があって。たまたま坂本選手が14打席ノーヒットでスランプ状態の試合だったんですけど、最後の最後、9回裏で逆転ホームランを打って試合に勝ったんです! その時の坂本選手の表情の変化、ずっとスランプに耐えていた表情が打った瞬間、パッとクリアになって少年のような顔になったのを見て、スゴく感動して曲を書きたくなったんです。好きな先輩が出る試合を応援しにいってる女の子の視点で<プレイする側にはなれないけど自分の力でどうにか元気に頑張ってくれたら嬉しい>という気持ちをストレートに書いてみました。

逆に汗を流してスポーツやってる人達から元気をもらいますしね。

タイナカ:ホント、そうですよね! スポーツって感動的ですよね。自分の限界に挑戦するのは体力だけじゃなく精神力も必要だと思うし。人間が人間に感動を与えてくれるっていうのはホントに素晴らしいことだなぁ、と思います。

『Destiny』を出した後のライヴがメッチャ楽しみなんですよ

あと…恋愛ソングでも「守りたいもの」は今までとはちょっと違いますね。

タイナカ:そうですね。今までは恋愛して苦しい、切ないっていう自分の想いばかりを歌ってきたけど、お互いを思い合い、許し合う大切さを書けたかな、と。少し余裕ができたのかな…以前の私だったら“守りたいもの=自分”でしたから(笑)。その辺、少し大人になったのかなと思います、富士山を見て。

突然、富士山が出てきましたけど…。

タイナカ:実は、この歌詞は環境を変えて書こうと思って一人で富士山の近くまで行ったんですよ(笑)。一泊二日、ノートとペンだけを持って富士山の見える場所に行くって、なんだか危ない人みたいですけど(笑)。でも富士山を見ていたら、ちょっとだけ大きい気持ちになれたんです。何ていうか…私自身が富士山に包まれてる感覚になって…私も誰かを歌で包めたらいいなって思ったんですよね。遠距離恋愛をテーマにした「また明日ね」も、会えなくて寂しいけど、この世界で大事な人がまた明日も笑顔でいてくれたらいいなっていうことを歌っていて。この曲にも、ちょっと成長した部分が出てるかな。

その一方で「さよならを言えばいいのに」「誰にも言えない気持ち」は、今までのタイナカさんぽい恋愛ソングですね。

タイナカ:ホンマに何も考えずに書くと、こういう曲が出てくるっていう(笑)。『Destiny』を作るに際して、“しっかり自分の運命を受け入れ、ありのままの自分を受け入れて、未来を切り開いていこう”というのをテーマに掲げたんです。でもこの2曲は、敢えて、元々の自分というか、原点に戻って書いた曲を入れたんです。確かに自分が初めて作った曲に近い感じのラブソングではあるんですが、これまでと1つ違うのは、客観的に見てる自分がいるということ。こういう曲が自然と出てきてしまうのも自分なんだ、と気付き認められたこと、ですね。それは成長と言えるのかな?

そう思います。

タイナカ:アルバムの中には、恋の瞬間のキラキラだけを封じ込めた広瀬香美さん作詞作曲の「もうキスされちゃった」も収録されてますし、8曲目の「code」はロック・テイストでパンチが効いててライヴで動けそうだし…。この『Destiny』を出した後のライヴがメッチャ楽しみなんですよ、自分でも。

9月27日、渋谷クラブクアトロのライヴでも成長したタイナカさんを見ることができそうですね。

タイナカ:『Destiny』リリース後のライヴなので、お客さん達がノリやすい曲、動きやすい曲が増えるんじゃないかなと、私自身も楽しみなんです。ぜひ、見に来てください! 立ち見でシンドイけど(笑)、気付いたら“えっ、もうラスト1曲?”っていうくらい楽しい時間にしますので。

取材・文 増渕公子

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