【ライヴレポート】タイナカ彩智、集大成と呼ぶにふさわしいツアーファイナルを経てネクストステージへ

ポスト

透明感あふれる天使の歌声とバレエ・パフォーマンスを取り入れたライヴなどで独自の世界観を築き、多くの支持を得ているタイナカ彩智が、9月24日(月)、<bland new day>と題した全国ツアーのファイナル公演をshibuya DUOで行なった。

◆タイナカ彩智 画像

名前の表記を変え、新生・タイナカ彩智としてリ・スタートを切って2年。今回のツアーはネクスト・ステージへ向かうための一区切りとして、この2年間の集大成をベスト的内容のライヴで届ける、というのがテーマになっている。

この日、外はあいにくの雨模様で肌寒いほどの気温だったが、会場内はここだけまだ夏の暑さが残っているように終始熱気が充満していた。

1曲目は不思議の国へといざなうナンバー「ワンダーランド」。ステージにはアンティークのサイドテーブルとスタンドが置かれ、オープニングSEは鳥のさえずり。バンドのメンバーが「ワンダーランド」のイントロを鳴らすと、ゴールドのロングドレスを着たタイナカがバレエ・ダンスを踊りながら登場。彼女が澄んだ声で歌い出すと、まるで深い森の中の隠れ家でコンサートがおこなわれているような、現実と非現実が入り交じった空間となり、タイナカワールドがそこに瞬く間に広がった。

続く「まぁいっか」では一転、エレキギターを掻き鳴らしながらワイルドにロックするタイナカ。「大好きな彼は宇宙人」ではサンプリングマシーンを片手に、宇宙人っぽくサンプリングした自分の声とリンクさせながらコケティッシュに歌う。

“タイナカサチ”時代はピアノの弾き語りで切ない曲を歌い上げるイメージが強かった彼女。実際、奏でる楽器はピアノのみだったが、新生・タイナカ彩智になってからは様々な楽器にも挑戦するようになった。この日もギター、ピアノ、ウクレレ、オートハープ、打楽器や鈴、カズーにいたるまで、曲に合わせた多様な楽器をプレイし、より自由に、より多彩に表現。そのたびロックなタイナカや癒しのタイナカ、ガーリーなタイナカ、お茶目なタイナカ……と、タイナカ彩智の多面的な側面も垣間見え、それ自体楽しく、強く惹きつけられた。

中盤では、タイナカの最も基本的なルーツとも言える童謡「ゆうやけこやけ」をバイオリンとピアノをバックに美しい歌声でしっとり聴かせたり、かと思えば“オンナの叫びシリーズ”と称して、シリアスな曲を熱唱して会場を圧倒。もちろん新生・タイナカ彩智になってからの大きな特徴の1つであるバレエ・パフォーマンスも随所で見せ、視覚的にも魅せる。

また、この日は新曲も3曲披露。なかでもツアー・タイトルにもなっている「brand new day」はテイク・イット・イージーな前向きさに満ちていて、次なる新章の明るい幕開けを予感させた。

後半はキラキラしたポップチューンを連打し、オーディエンスと一体感を深めながらラストスパート。そしてアンコール、「炭酸が飲みたい」ではなんと、いたずらっ子のようにドラムを叩きながら(!!)弾けて歌い、みんなを驚かせつつ会場を大いに沸かしたタイナカ。ラストは「この曲があったからみんなと繋がれたし、いろんなかたと歌わせてもらって、とても思い出深い曲です」と、新生・タイナカ彩智のスタートを支えた曲とも言える「And U」を放ち、集大成ライヴを熱くあたたかく締めくくった。

この2年の間に生まれた幅広い楽曲たちに加え、自身のルーツミュージックや“タイナカサチ”時代の曲、さらには次章を予感させる新曲まで、全23曲。タイナカワールドとタイナカ彩智自身の魅力を存分に伝えた2時間半は、集大成と呼ぶに相応しい中身の濃さで、なおかつ楽しすぎて、あっという間。これまでの「最高!!」を大幅に更新した、まさにベストなライヴとなった。

さあ、これでもうネクスト・ステージへと飛び立つ準備は整った。が、その前に……。

「年内にもう1回、ワンマン・ライヴをやります!」とタイナカ。12月23日には大阪、bar musze(東心斎橋)、12月24日には東京、VACANT(原宿)でのライヴが決定。クリスマス・イヴとイヴイヴがスペシャルな夜になることは間違いない。他では観ることができない景色と、心が豊かになるワールド、クリスマスバージョン。絶対に見逃さない方がいい。

取材・文●赤木まみ

◆タイナカ彩智 オフィシャル・サイト
この記事をポスト

この記事の関連情報