最新のサンプリング技術を投入、ソフトウェアピアノ音源「The Grand 3」

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ヤマハ/スタインバーグは、ソフトウェアピアノ音源「The Grand」シリーズの最新モデル「The Grand 3」を発表した。全鍵サンプリング、最大20ベロシティレイヤーといった最新のサンプリング技術による5種類のピアノを搭載するほか、コンボリューションリバーブやイコライザーなどによるサウンドメインキングも可能となっている。発売は2009年9月18日。

「The Grand 3」は最新のサンプリング技術で収録された5種類のピアノを搭載したソフトウェアバーチャルピアノ音源。収録されているモデルは、ヤマハ C7、スタインウェイ Model D、ベーゼンドルファー 290 Imperialの3種類のグランドピアノと、ノルディスカ アップライト、そしてヤマハエレクトリックグランド CP80の合計5モデル。VST、AU、ReWireフォーマットによるプラグインに対応するほか、単独でも起動可能となっている。

ピアノのアコースティックサウンドは、最高のエンジニアチームと最新の録音技術により収録、編集されている。高級マイクロフォン、カスタムメイドのプリアンプ、コンバーターを使用、ピアノ収録のための広大なルームで録音を実施、ナチュラルなサウンドを得るために余分な機材は使用していない。

大容量音源らしく、鍵盤ごとに完全なエンベロープとともに最大20種類のベロシティサンプルを収録。サスティンペダルとソステヌートペダルにも対応しており、わずかな機械音や反響までも再現する。ペダルを踏んだときのノイズまで再現されるのは驚きだ(もちろん、OFFにもできる)。

マイキングの違いによるピアノサウンドの違いが味わえるのも「The Grand 3」の大きな特徴だ。ピアノそのものの響きをとらえるポジションと、演奏者のポジションの2つのポジションで再現するため、12本のマイクを使用して収録。これにより、搭載された4種類のアコースティックピアノは、それぞれ「Close」と「Player」の2とおりのマイクポジションを選択できる。これは言い換えれば、合計8種類のアコースティックピアノサウンドから好きなセットを選択できるというわけだ。

また、ヤマハCP80のサウンドは、ヤマハの開発部門によってオリジナルに忠実に収録されている(CP80はエレクトリックサウンドのため、Close/Playerという2種類のマイクポジションはなく、サンプリングのセットは1種類のみとなる)。

音質にこだわるとパソコン側の処理が重くなるのが難点だが、ありがたいことに「ECOモード」というものが搭載されている。これは、メモリの消費量を減らし、ディスクからのストリーミング処理など、他の処理の負荷を軽減することで、CPUのパフォーマンスを高めることができる。また、メモリ使用を大幅に効率化できる「RAMSave」という機能も搭載、割り当てられているMIDIノートをスキャンし、使われていない鍵盤のサンプルをメモリから取り除くことで、他の処理のためのメモリ容量を増やすというものだ。

残響音を表現するリバーブの品質も特筆すべき点だろう。「The Grand 3」に搭載されたリバーブは、コンボリューションリバーブという種類。「畳み込み演算」と呼ばれる演算により空間のシミュレーションを可能にするもので、実在のスタジオやホールの音の響きが得られるリバーブだ。これは「Cubase 5」に搭載される「REVerence」と同等の技術に基づいている。多様なアコースティック環境をサンプリングし、最高の空間を再現。小さなライブハウスの臨場感から教会の幻想的な響きまで、世界中の著名な音響空間のインパルス/レスポンスデータをステレオおよびサラウンドでプリセット収録しており、一瞬で呼び出すことができるようになっている。

このほか、4バンドのパラメトリックイコライザーを搭載。チューニングでは平均律、コンサートチューニングをはじめさまざまなピアノ調律のプリセットを多数用意する。

本格的なピアノ音源では、DAWでのプラグイン使用以外に単体で演奏に使用されることも多いはず。「The Grand 3」のスタンドアローン動作にもちょっとした工夫がこらされており、スタンドアローン時のみ利用できる、録音機能とメトロノームがそれ。録音機能はスタンダードMIDIファイルへの書き出しが可能。逆にMIDIファイルを読み込んで再生することも可能だ。

<収録されるピアノモデルと特徴>
●ヤマハ C7
ヤマハ C7の洗練された比類なく美しい音色と響きを長いサスティンを含めて余すところなく収録。そして演奏へのリアルな反応が作り上げるサウンドが、演奏者の表現力を余すところなく伝達する。

●スタインウェイ Model D
Steinway D グランドピアノが持つ魅惑的な響きと繊細なタッチを、“Model D”として再現。温かく明るく豊かなサウンドとパフォーマンスを提供する。

●ベーゼンドルファー 290 Imperial
ベーゼンドルファー 290 Imperialの広い音域を、ピアニシモからフォルテシモまで贅沢にサンプリング。このピアノならではの拡張音域は、大型のボディと相まって楽器全体に豊かな響きを与える。

●ノルディスカ アップライト
Nordiska(ノルディスカ)ビンテージアップライトピアノの特徴的なアップライトサウンドは、ロック、ブルース、ジャズ、ゴスペルなど「グランドピアノ」ではなく、よりエッジの効いた音色が求められる場合に最適。

●ヤマハ CP80
ビンテージとして今でも人気の高いヤマハ エレクトリックグランドCP80を搭載した『The Grand 3』は、CPサウンドをトレモロ、フェーザー、フランジャー、コーラスなどの内蔵エフェクトにより思いのままに演出可能。ヤマハでサンプリングされたオリジナルCP80の音源を使用している。

<動作環境>
●Mac
対応OS:Mac OS X 10.5
CPU:Power PC G5 Dual 2.0GHz以上(Intel Core Duo 2.66GHz以上を推奨)
必要メモリー:2GB以上(3GB以上を推奨)
ハードディスク空き容量:32GB以上の空容量
オーディオデバイス:Core Audio対応デバイス
ディスプレイ:1024 x 768 ピクセル以上 - フルカラー(1280 x 800ピクセル以上 - フルカラーを推奨)
その他:Steinberg KeyまたはUSB-eLicenser(別売またはCubase 5などに付属のコピープロテクションデバイス)、デュアルレイヤー対応DVD-ROMドライブ、USB 端子:Steinberg Key / USB-eLicenser接続用、インターネット接続環境(ライセンス認証など)、プラグインまたはReWireとして使用する場合には、VST2、VST3、AUまたはReWire対応ホストプリケーション)

●Windows
対応OS:Windows XP Professional (SP2)/ XP Home Edition(SP2)、Windows Vista
CPU:Pentium/Athlon 2.0GHz以上(Dual Core 3.0GHz以上推奨)
必要メモリー:2GB以上(3GB以上を推奨)
ハードディスク空き容量:32GB以上の発売は空容量
オーディオデバイス:Direct X、またはASIO対応デバイス(ASIO対応ドライバを強く推奨)
ディスプレイ:1280 x 800 ピクセル以上 - フルカラー(1280 x 800ピクセル以上 - フルカラーを推奨)
その他:Steinberg KeyまたはUSB-eLicenser(別売またはCubase 5などに付属のコピープロテクションデバイス)、デュアルレイヤー対応DVD-ROMドライブ、USB 端子:Steinberg Key / USB-eLicenser接続用、インターネット接続環境(ライセンス認証など)、プラグインまたはReWireとして使用する場合には、VST2、VST3、AUまたはReWire対応ホストプリケーション)

◆The Grand 3
価格:オープン
発売日:2009年9月18日

◆The Grand 3 製品情報
◆スタインバーグ
◆ヤマハ

◆BARKS 楽器チャンネル
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