メリー、より生々しいライヴ感を意識しメリーの原点に立ち返る最新アルバム『アンダーワールド』リリース大特集

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メリー 新アルバム『アンダーワールド』リリース大特集

より生々しいライヴ感を意識し人間の持つ別の一面を激しいサウンド構築で提示したメリーの原点に立ち返るアルバム

──“under-world”は、カタカナ表記でアルバム・タイトル『アンダーワールド』になっていますね。

ガラ:“under-world”を辞書で調べると“あの世”とか“裏の世界”とか、ちょっと暗黒なダークなイメージがあるんですけど、僕としては、人間の表と裏、二面ある中での裏の部分、という意味で付けたので。アンダーグラウンドからオーバーグラウンドへ行きたいという気持ちを出したかったんです。

──なるほど。それで夜の猥雑な感じの裏路地や危険な匂いのする景色が見えてくるような歌詞が多いんですね。

ガラ:そういう風景も“アンダーワールド”だと思うし。…でも本当はたぶん、太陽の当たる場所に出たいんですよね。そういう場所に憧れてるからこそ、月明かりの夜の街でもがいてるっていう。実は、そんな自分が好きだったりもするし(笑)。…やっぱり四畳半フォーク好き、昭和歌謡好きが出てしまうんですね(笑)。

──あと、作品の中で見えてきたのは現代社会を嘆くのではなく、ファイティング・ポーズをとってるな、ってことです。

ガラ:あぁ…精神的にパンクでいたいなっていうのがあります。よく“昔はよかった”とか言って時代のせいにしたり、自分の置かれている環境や立場のせい、他人のせいにしたりするじゃないですか? でも、何をするにしても基本は自分だと思ってるので。そういう部分は出ているかもしれないです。

──よくレコーディングでは奇跡が起こると言いますが、今回起こった奇跡は?

健一:一発録りをするためにプリプロに時間をかけて楽曲を完成させてからレコーディングに入ったので、いつもより“レコーディング・マジック”は起こりにくかったんですよ。

テツ:自分的には「under-world」って曲そのものがハプニングでしたね。元々は、ストレートなロック、もっと普通に気持ちよいテンポの曲だったんです。その曲をぶっ壊して、アルバムの最後の1ピースになるような曲にしよう、とガラちゃんが言い出して。それもハンパない壊し方で、テンポもメチャクチャ速くなって全く違う曲になったんですけど、結果、それがタイトル曲になるくらいのものになったっていう。それが自分的には一番のレコーディング・マジックであり、サプライズだったと思いますね。

ネロ:さっきも言いましたが、「under-world」という1ピースが出来て空いていた場所にピタッとハマッて『アンダーワールド』が完成したのは奇跡なのかもしれなくて。そうして出来たアルバムは、“お客さん達がノれるものを作ろう”という僕たちの想いの上…というか先を行ってますね。

──そんな『アンダーワールド』は、ライヴを意識して作られただけに<TOUR09 under-world[GI・GO]>も楽しみです。ツアーにはどんな気持ちで臨みますか?

ガラ:正に、今回の相撲の朝青龍的な感じですね(笑)。あんだけ色々言われつつも、ちゃんと優勝して周りの人を黙らせたのは、めっちゃカッコいいなって。あのパワーがほしい…やっぱり行動で見せるしかないなって思うんですよね。今回は、朝青龍魂で頑張ろうと思います。

ネロ:バンドをやり始めた時の楽しさだったり新鮮さだったり、人に聴かれたり見られることを幸せに思う感覚を大切に、すべてをライヴにぶつけていきたいですね。ライヴに来るお客さん、どんな思いを抱えてライヴへ来ているのかは人それぞれ違うけど、求める者は同じ“良いライヴ”だと思うんですよ。もちろん、ステージに立つ僕たちも今まで以上に良いライヴを求めていきたいですね、今まで以上の。

結生:原点回帰じゃないですけど、メリーってバンドは、いつまでも初心を忘れず、ハングリー精神で逆境に立ち向かっていくのがスゴく似合うバンドだと思うんですよね。その精神を忘れずにツアーに臨みたいです。

健一:自分自身と正面から向き合って挑んで、ツアーで成長したいですね、メリーも自分個人としても。

テツ:ある意味、『アンダーワールド』はライヴ・アルバムだと思っていて。それを再現するためにもお客さんと一緒にライヴを作っていきたいですね。そして成長させたいです。『アンダーワールド』を真のライヴ・アルバムに。

取材・文●増渕公子

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