プロディジー、現代の音楽シーンを震撼させるモンスター・バンドが放つ最新鋭の激ヤバ最新アルバム『Invaders Must Die』特集

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プロディジー THE PRODIGY 5年ぶりの最新アルバム『Invaders Must Die』リリース大特集

リアム・ハウレット、キース・フリントへのロング・インタビューを含む総力特集

INTERVIEW-01

──オリジナル・アルバムにおいて三人揃っての作業は実に11年ぶりということになりますね。

リアム・ハウレット(以下、リアム):11年ぶりというと、俺たちがその間離ればなれでいてまた一緒になったように聞こえるけど、バンドは一度も解散したことはない。俺たちはバンドとしてこれまでずっとレコーディングや…

キース・フリント(以下、キース):ツアーをやっていた。

リアム:ツアーをやっていて、自分たちはそんな風に考えたことはないな。

キース:ほんと、そうだな。説明し難いんだけど…。

リアム:プロディジーは2つの基盤を持っていて、そのためにみんなに理解してもらえないこともあるんだけど、俺たちはヴォーカル・バンドではない。俺たちはミュージック・バンドだ。ヴォーカルは必要なときにだけ入る。つまり、キースがある曲でフロントに出たとしても、次の曲ではそうならないかもしれない。そして、そのまた次の曲では、マキシムがフロントに出たりするかもしれない。俺たちは、このアルバムをレコーディングするときにバンド・アルバムにしようと決めた。最初から最後までライヴで演奏できるアルバムを作ろうということになった。俺たち全員が影響を及ぼしている作品にしようとした。

キース:それと、『Invaders Must Die』は、前作の後『Their Law』をリリースしてツアーもやったけど、俺たちが11年間一緒にレコーディングしていないことをみんなが気にしているように感じた。それで、今こうしてそれがどういうことだったのか、それでも大丈夫なんだという説明をしているけど、「よし、そういったことは吹っ飛ばして、完全なバンド・アルバムを作ってやろうじゃないか」と話し合った。そういったことに片を付けて、バンド・アルバムを作ろうってね。

リアム:『Invaders Must Die』というアルバム・タイトルは、俺たちからみんなへの声明のようなものだ。評論家やプレスが言うようなことではなくて、防衛を意味している。俺にとってのこのタイトルは、自分にとって大切なことを防御するという意味だ。バンドの一員でいることはギャングの一員でいることのように感じることもあって、他人はみんな敵となる。そういった考えから来ているタイトルで、メンバーそれぞれにとって違った意味を持っていると思う。レコーディングを開始して、意味のあるものとなったんだ。

キース:特に、アルバム・タイトルが先にあったところでアルバムを作ったからな。このタイトルは成長していって、あらゆる面においてアルバムの不可欠要素となった。アルバムのイメージもこのタイトルから来ているし、収録曲の何曲かのタイトルも影響を受けているし、すべてはこのアルバム・タイトルから生まれて来ているんだ。

──本作『Invaders Must Die』はライヴ感に溢れたサウンドに焦点を絞りつつ、これまでのバンドの魅力を凝縮したような作品ですが、このアルバム・タイトルが初めにあってそれに合わせて作られたアルバムということで、このタイトルがテーマの作品ということですよね? どうしてこのテーマを取り上げたのですか?

キース:前作は、バンドが最高と言える状態にはなかった。俺たちもそれはわかっていた。それをどうして更正したらいいかもわかっていた。だから、俺たちは心配していなかった。でも、他の人たちはこのギャップ、つまり弱点があるのを見て、俺たちは強力なギャングではあるけれども、彼らは上手くその弱点につけ込もうとしてきた。友達、ジャーナリストだけでなく…

リアム:ジャーナリストではなく、主に自分たちの陣営にいた人たち数人だ。バンドがしばらくの間あまり活動していなかったから、少し考えすぎてたのかもしれない。俺たちは解散はしてなかった。

キース:決してそんなことはない。

リアム:長期間活動するということはいろんな試練を経験するということで、それだからこそバンドも興味深いものとなる。大変な時期を経験した後に復活することでね。

キース:俺たちもこれでよかったと思っている。そういった辛い時期を経験できてよかったと思っている。何をやるにしても一生懸命に努力しなければならない。何事も簡単にはいかない。簡単に手に入るようなものだったら、それはつまらないもの、または、無意味なものに思えるだろう。

リアム:だから、このアルバムは、タイトルどおりに挑戦的な作品だ。俺たちにとっての勝利の作品だ。2003年、2004年にバンドがほとんど解散してしまいそうな状態までいって、それを乗り超えて作られた。俺たちはもちろん友達で、シングル曲を集めたアルバムのツアーをした5年前に関係を修復したんだ。といっても、特に俺たち3人の間に何か問題があったわけではなくて、パラノイアになっていたって感じかな。

──Does It Offend You, Yeah?のJames Rushentが「Invaders Must Die」に参加し、Foo Fightersのデイヴ・グロールもアルバムに参加していますが、彼らを起用することにした経緯を教えてください。

リアム:Does It Offend You, Yeah?のJamesとは、この5月に出演した『Gatecrasher』に彼も出演していて、そこで知り合ったんだ。ショウの後にJamesがやってきて、「あなたたちの音楽は最高です! 5年間あなたたちのサウンドを盗み取ろうとしてるんですよ。本当に大好きなんです」といったことを言ってきて、それ以来いい友達としてつき合っている。いい奴だと思う。俺はその一週間後にスタジオに戻って「Invaders Must Die」をいろいろと試していて、いいリフはできていて、ある程度の形はできていた。そこで、「Jamesに何かやってもらったらどうだろう?」と思ったんだ。普段は他のプロデューサーとはアルバム作りはしないんだけどね。違った音楽、よりよい音楽にすることだったらやってみようと思っていた。それで、Jamesに少し何かやってもらおうと思ったんだ。実際、あっという間に作業は終わった。彼がスタジオに来てくれて、2日間ででき上がってしまった。大きなスタジオにも行く必要がなくて、「これをこれにつなげたらどうだろう?」といった調子でどんどん作業が進んでいった。とても上手くいった。彼と作業した「Omen」や、もう1曲は…こっちはもっと簡単なサウンドの作業だったけど…彼に参加してもらえて嬉しく思っているよ。

──Daveは?

リアム:Dave Grohlに関しては、すでにアルバムはでき上がってたんだ。Daveとは、その3年前にイギリスの『V Festival』に出演したときに話しをした。バックステージでたまたま出会って、「何してるんだい?」なんて話して、それがDaveと話した最後だった。俺たちがアルバムを作り終えた辺りで彼がEメールしてきて、ツアーを終えたからまたドラムを演奏したいと思っていると言って、俺がどうしてるのか尋ねてきた。彼は自分が叩いたドラムの入ったハードドライヴを俺に送ってきた。俺はそれにインスパイアされて新しい曲を書いた。3分間聴いて…ハードドライヴには4時間ほどのドラム演奏が入っていて、そこから幾つか取り上げて、それらにインスパイされて、「Run With The Wolves」の音楽を書いたんだ。それで、その1年前にキースが書いたヴォーカルがあって、それがそのままになっていた。とても強力なヴォーカルだったけれど、俺がそのヴォーカルに合わせて書いた音楽はそれにマッチしたパワーがなかった。ファンキーすぎた。

キース:あれはあれで格好よかったけどな。でも、2つが一緒になると…

リアム:そのヴォーカルをDaveのドラムに乗せてみたら、「クールじゃないか! なかなかいいぞ」と思った。そういったこともたまに起こる。今回も初期にレコーディングしたものをまた試してみるということは何度かあった。初めはもっとギターやら何やらライヴ・レコーディングできる部屋をセッティングしてあって、最初の4ヶ月はいろいろと試していろんなヴォーカルをレコーディングした。このアルバムの2曲ほどは最初の方でやったレコーディングも使われている。「Run With The Wolves」がその1曲だ。デモを作り終えてデイヴに送り返して、Daveも凄く気に入ってくれて、もう少しドラムをレコーディングしてくれて、それを俺に送り返してきて、それで完成した。だから楽にでき上がった曲だ。一週間ででき上がった。アルバムの最後に作られた曲だ。この曲ができる前にもアルバムは完成したと思ってたんだけど、この曲を作り終えたときにこの曲がアルバムの毒となると思った。

キース:バンドとしてもっとクリエイティヴになっていたのはわかっていたから、俺たちやリアムが他のアーティストとやったことは俺たちの実験過程であって、アルバムの楽曲数曲を作る上で必要としていた自由だった。だけれども、自分たちに十分な力があると気づいたから、俺たちの色を希薄にはしたくなかった。バンドとしての自分たちが戻って来たというスタンプを押したかった。自分たちにもっと自由を与えるために、次のアルバムではもっとコラボを減らして、こういったやり方では作らないかもしれない。

リアム:まだどうなるかはわからない。このバンドにはルールなど存在しない。こういった要素すべてが、俺たちのこの最高傑作を作っているわけだ。それは俺たちのアルバムであって、誰のアルバムでもないからだ。

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